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台風について詳しく解説 【命名法、種類、熱帯低気圧との違い】

台風について詳しく解説

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台風の卵「熱帯低気圧」ができるまで

台風シーズン、天気予報で「熱帯低気圧から台風に変わりました」といった言葉を耳にしますが、「熱帯低気圧」と「台風」の関係って?と気になったことはありませんか?

台風の卵が「熱帯低気圧」のことで、発達すると「台風」になります。

「熱帯低気圧」って?

発生場所は、地球上の熱帯地方(赤道近く)と呼ばれる気温の高い地域で、その地にある海の水は、太陽にあたためられて蒸発し水蒸気になります。これが上空に向かって上昇していき雲になるのです。

そのときに大量のエネルギー(潜熱)を放出して周りの空気はあたたまり、軽くなった空気はどんどん上昇していきます。上昇するにつれ気圧は下がり、熱帯低気圧となるのです。

「低気圧」とは

周囲より気圧が低い部分のこと。雲をともなって雨や風をふらせたり、周囲の空気や風を引き寄せます。(北半球では反時計回りに、南半球では時計回り)

どうなると台風と呼ぶ?

台風について詳しく解説

画像 : マサコ アーントによるPixabayからの画像

「熱帯低気圧」が発達し、「台風」になるのは分かりましたが、違いは何なのでしょうか?

台風」は、「北西太平洋に発生した熱帯低気圧のうち、低気圧域内の最大風速が約17m/秒(34ノット、風力8)以上に発達したもの」を呼びます。

直径数百km ~1万km ほどの渦で、風は反時計回りに中心に向かってふき、中心から数10km 離れた場所にきつく吹きます。

特に台風の進行方向右側にあたると要注意です。

右側に強い風が吹く理由は、台風の渦の向きと、台風が進む向きが同じだからです。中心部分は比較的静かなのは、皆さんよくご承知の通りで、台風の目に入ると、信じられないほどの晴天だと言われていますね。

※「台風」は発生した場所で呼び名が違います。大変な被害をもたらす「ハリケーン」と「サイクロン」は発生した場所が違うだけです。

ハリケーン

アジア以外の北大西洋・カリブ海・メキシコ湾で発生。

サイクロン

インド洋・太平洋南部で発生。

この2つは、最大風速32.7m/秒(64ノット)以上の「熱帯低気圧」のことをいいます。

台風の名前は140もあった!

台風◯号の番号は、毎年1月1日以後発生した台風の番号のことです。

番号だけではなく、後ろに◯◯とつく名前を、最初の頃はアメリカ人が英語の人名をつけていました。

平成12年からは、「台風委員会(日本を含む14ヵ国)」の加盟国が提案した名前を台風につけています。

台風委員会
北西太平洋・南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府機関組織のことで14ヵ国(正しくは12ヵ国と2領域)が加盟。
(アメリカ・中国・香港・日本・ラオス・フィリピン・韓国・タイ・カンボジア・マレーシア・ベトナム・シンガポール・マカオ・北朝鮮)

台風の名前はこの14ヵ国が10個ずつ名前をつけ、合計140個の台風の名前があります。

例えば平成12年の台風第1号には「ダムレイ」=「象(カンボジア)」とつけられ、それ以後は140個の台風の名前が順番に使われているのです。
平成12年は1~23番、平成13年は24番~といった形で、140番までまわると1番に戻ります。(※1年で平均25.6個発生しているため、だいたい5年で140個をまわる計算。シンガポールは名前を提案しておらず、代わりにミクロネシアが提出しています。)

例外もあって、大きな被害をもたらした台風の名前は、それ以後発生する台風と同じ名前を使用しません(※2015年の台風24号は89番目で「コップ」だったようなのですが、フィリピンにかなりの被害をもたらしたということて、その後に「コグマ」に変えられたようです。)

各国それぞれが選んだ台風の名前には、ユニークなものも結構あり、どんな意味があるのか1度覗いてみてください。(気象庁のHP にありますよ)

2019年発生した台風
1号 34番 パブーク(淡水魚の名前) ラオス
2号 35番 ウーティップ(蝶) マカオ
3号 36番 セーパット(淡水魚の名前) マレーシア
4号 37番 ムーン(6月) ミクロネシア
5号 38番 ダナス(経験すること) フィリピン
6号 39番 ナーリー(百合) 韓国
7号 40番 ウィバー(女性の名前) タイ
8号 41番 フランシスコ(男性の名前) アメリカ
9号 42番 レキマー(果物の名前) ベトナム
10号 43番 クローサ(鶴) カンボジア
11号 44番 バイール(白鹿)中国

ちなみに日本が提案した名前は、テンビン・ヤギ・カジキ・カンムリ・クジラ・コグマ・トカゲ・ハト・コンパス・ウサギの10個です。

お気付きになりましたか?すべて星座に由来しています。

こうして見ると、星座にも知らないものが沢山あるんですね。(私があまりにも知らなすぎたのかもしれませんが)

台風の強さや範囲

台風について詳しく解説

台風の大きさや強さについては、これも「大型で非常に強い台風◯号は…」といったような言い方をされています。

すごい台風」ということは分かりますが、よく聞いていると「大型…超大型…」「非常に…猛烈な…」など少し言い方が違っているんです。

[大きさ]を表す表現

[風速15m/秒以上の半径]が、500km以上から800km 未満だと大型(大きい)
800km 以上だと超大型(非常に大きい)

[強さ]を表す表現

強い   -    風速33m /秒(64ノット)以上~44m/秒(85ノット未満)
非常に強い  -  風速44m/秒(85ノット)以上~54m/秒(105ノット未満)
猛烈な   -   風速54m/秒(105ノット)以上

このように、大きさと強さをプラスした表現を意味しています。

台風の種類

台風の種類にも大きくわけると4つあります。

夏台風

太平洋高気圧に遮られて、日本にはなはなは近づけない台風でスピードもノロノロしています。コースも迷走するものが多く、小型、中型のものが多いようです。

秋台風

9月以降は太平洋高気圧が弱まるせいで、日本列島に最も近づきます。
スピードも偏西風にのるためかなり早く、秋雨前線の影響も加わり大雨をもたらせます。大型の台風が多くなります。

雨台風

大雨が降るため、雨による被害が大きくなります。土砂崩れ、河川の氾濫などを引き起こします。

風台風

風がかなりきつく、風により木が根こそぎ倒れたり、物が吹き飛ばされたりする被害が起こります。

最後に

台風の大きさなどによっては、大変な被害を及ぼすものも過去に沢山ありました。

台風による突然の大雨、突風による被害、地震、自然災害はいつ起こるか分かりません。準備しておける時に、少しずつでも手掛けていかないとと感じています。

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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