自己啓発

宅建士(宅地建物取引士)を受験してみた 【受験勉強から宅建士証の取得まで】

昨今注目されている宅建士(宅地建物取引士)資格。

筆者も挑戦してみたので、その記録をざっくりまとめてみました。

皆さんの参考になれば幸いです。

宅建士(宅地建物取引士)とは

宅建士とは(イメージ)

宅建士は不動産分野で活用する資格で、ざっくり以下の仕事ができます。

1.重要事項説明

2.重要事項説明書の記名

3.売買契約書の記名

この3つについては独占業務と言われ、宅建士資格がないとできません。

重要事項説明とは、宅建業者(不動産会社など)が一般の方に対して不動産物件を販売する時、物件に関して重要事項を説明します。

「この物件には、こういうリスクやデメリットがあります。それらを理解した上で、この物件を購入されますか?」

物件を購入(売買契約)する前に、ちゃんとリスク等を理解してもらないと、後から「聞いてなかった。金返せ!」等のトラブルが起きかねません。

だから不動産のプロが、きちんとお客様に説明する必要があるのです。

そのための書類が重要事項説明書で、書面の内容をちゃんと説明した証拠として取り交わします。

ちなみに宅建業者が買い手の立場である時は、重要事項説明を行う義務はありません。

「プロだから、いちいち説明しなくても解るよね?」ということでしょう。ただし書類を読まねばさすがに解らない事もあるので、重要事項説明書は渡します。

重要事項説明書と売買契約書には宅建士の名前を記入する欄があり、そこに名前を入れられるのも、当然宅建士に限られます。

まとめると、宅建士の仕事は主に「一般の方が不動産物件の購入すべきか適切に判断する材料として、重要事項を説明する」のがメインです。

ちなみに賃貸物件を借りる時も宅建士が重要事項説明を行います。アパートを借りる時などにも宅建士が出てくるので、意外と身近な存在と言えるでしょう。

宅建士資格がなくても不動産の仕事はできるが……

宅建士の仕事を聞いて、中には

「宅建士ってそれしか仕事しないのか。楽でいいな」

と思われた方がいるかも知れません。

確かに宅建士でなければできない仕事(独占業務)はそれだけなのですが、本当にそれしかしない宅建士はあまりいないと思います。

例えば不動産会社の営業マンなら物件の仕入れや販売活動で大忙しです。

事務員は事務員で日々の業務がありますし、そういつも宅建士資格を活用している訳ではありません。

何だったら宅建士なんかなくたって、不動産の仕事は大半ができます。

ただしお客様に物件を販売する際、重要事項説明のためだけに別の宅建士を頼まねばなりません。これはなかなかだるそうです。

その宅建士が報酬を要求してくるケースもありますし、不動産取引を自身で完結できるよう、宅建士資格は持っておくに越したことはありません。

宅建士の勉強時間例

職業訓練校で一日集中して勉強できたのは、本当にありがたかったです(イメージ)

宅建士試験に合格するための勉強時間は、人によってそれぞれだと思います。

あくまで一例として、筆者の勉強時間を振り返ってみましょう。

職業訓練校に行ってました(3ヶ月間)
5時間×20日×3ヶ月間≒300時間
卒業後(試験まで約2ヶ月間)や訓練期間中の休日(10日×3ヶ月分)
毎日平均0.5時間×(約60日+約30日)≒45時間

合計すると約345時間。意外と頑張ってたんですね、我ながら。

Google先生にうかがったところ、宅建士資格の勉強時間は完全独学&法律初学者だと600時間、スクールでは400時間と言われているようです。

筆者はそれより勉強時間が若干少なく感じますが、おそらくどこかで努力していたはずです。多分。

宅建士試験は年に1回

宅建士試験は毎年10月半ばごろの1回だけです。

選択式なんだからオンラインで随時受験できればいいのにと思いますね。

日商簿記なんかはオンライン受験できるから便利ですよね。

1回落ちてしまったら、翌年までモチベーションを保つのが大変だったことでしょう。

少なくとも筆者は、1回落ちたらもうやめようと思っていました。

職業訓練校のノリで受験した(してしまった?)のですが、受かってよかった……。

試験当日の様子・前編

宅建士(宅地建物取引士)を受験してみた

試験会場にて撮影。もう少しマシなものを撮影しておけばよかったが、それだけ緊張していたのだろう。

当日は雨の中、大学キャンパスへ出向いて受験してきました。

試験は13:00~15:00なのですが、11:00過ぎには一度試験会場に入って、空気に慣れておくようにしました。

お昼ご飯はガッツリ食いたいところですが、眠くなってしまうのでここは我慢します。

(ちなみに朝食はしっかり?摂っているので心配ありません)

脳に糖分を効率よく与えるにはチョコレートがよいと聞いて、試験開始の2時間前に板チョコを2枚+水分を摂取しました。

食ったものは3時間前後で効き始めると言いますから、試験開始から1時間後の14:00、集中力が切れ始めたころに効いてくるはずです。

そんなこんなしている内に、試験時間が迫ってきます。

試験開始直前まで参考書を見ようと思いましたが、試験開始直前5分前でやめました。

代わりにひたすら呼吸を整えます。

2秒で思い切り吸い込んで3秒間止め、15秒かけてゆっくり細く吐き出すのがよい、と昔どこかで聞きました。

これをひたすら何十回。試験用紙が配られて、開始の合図が出る直前まで繰り返します。

試験当日の様子・後編

さぁ始まりました。迷うことなく問25からスタートします。

試験問題をざっくり分けると、全50問のうち前半が民法(権利関係)、後半が宅建業法と法令制限+αという構成です。

前半の民法は複雑なので時間がかかります。それよりは比較的暗記で行ける≒時間のあまりかからない後半の宅建業法と法令制限を先に攻略しましょう。

問題文を一読して、確信をもって答えられない問題は印(例えば☆印)をつけて飛ばします。

どうせ時間をかけても解けないし、それならさっさと次の問題を攻略した方が合格に近づけるでしょう。

バンバン飛ばして一周すると、改めて読み直した問題文の内容が意外に理解できることが少なくありません。

何はなくともまずはすべての問題に目を通してから、引っかかった問題をつぶしていくのがおすすめです。

他にも試験中に心がけたことをまとめておきます。

(1)問題は「正しいのはどれか(いくつあるか)」「誤っているのはどれか(いくつあるか)」を問うてくるので、これを間違えないようにしましょう。
おすすめは問題の番号部分に大きく〇(正しいのはものを答えよ)か×(誤っているものを答えよ)を書いてしまう方法です。
「この問題は確実に解けた」という印は、V(チェック)を用いていました。

(2)権利関係の問題は、必ず人間関係を図にまとめましょう。
問題では「Aさんの所有する甲土地をBさんに売却したが、AさんはCさんに甲土地を譲ってしまい……」などと、複雑な人間関係が出てきます。
略図であっても可視化することで、とても理解しやすくなるでしょう。
「図なんて書いている時間はないよ」と思うかも知れませんが、悩んでいる時間の方がよほど無駄です。ぜひ試してみてください。

まぁそんなこんなとしている内に、早くも残り15分。問題も2巡して、最後の最後まで見直しです。

もうここまでやれば悔いはない。ラスト1分になったら筆記用具も置いて、冒頭の呼吸を3セットばかり繰り返して試験終了。

合否のほどはともかくとして、妙に清々しい高揚感の中を家路についたのでした。

試験合格から宅建士証交付まで

宅建士(宅地建物取引士)を受験してみた

宅建士試験合格証書。これだけではまだ「宅建士」とは名乗れない。筆者撮影

試験から合否発表までは約1ヶ月強。

オンラインで合否速報を見た時は「ッシャア!」と声が出ます。

自己採点は36/50点、ネット上の予想は大体36~38/50点でした。

※宅建士試験は一定の点数を取れば全員合格できる訳ではなく、上位何%を合格させるという方針なので、年によって合格点が上下します。

正直「こりゃダメだな」と思いましたが、予想に反してギリギリ合格できました。

あぁよかったよかった、これで晴れて宅建士……と思ったらまだ続きがあります。

宅建士になるには試験合格から登録、宅建士証の交付というなかなかに面倒な手続きが待っているのです。

合格から宅建士証の取得までは人によって様々ですが、筆者の場合はモタモタしていて約半年かかりました。

【試験合格から宅建士証交付までの流れ】

試験合格⇒登録実務講習(1~2日間)⇒宅建士登録(約40~60日)⇒宅建士証交付申請(約2週間)⇒宅建士証交付

不動産会社での実務経験があったり、試験合格から1年以内に手続きしたりするといくらかショートカットできます。

話は少し前後しますが、不動産会社に勤めていると試験が5問免除されるので、当てはまる方はこれを利用しない手はありません。

その他もろもろ、受験に関する情報はたくさん出回っているので、参考にしてみてください。

終わりに

試験合格から約半年を経て、ようやく交付された宅建士証。筆者撮影

今回は宅建士の試験勉強から宅建士証の取得まで、ごくざっくりと紹介してみました。

せっかく取れた資格なので、今後活用して行きたいですね。

皆さんも宅建士に挑戦される際は、ぜひお疲れの出ませんように。

 

角田晶生(つのだ あきお)

角田晶生(つのだ あきお)

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フリーライター。
 
日本の歴史文化をメインに、時代の行間に血を通わせる文章を心がけております。
(ほか政治経済・安全保障・人材育成など)
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このたび日本史専門サイトを立ち上げました。こちらもよろしくお願いします。
 
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