2日目も盛り上がるNFLドラフト
4月29日から5月1日までの3日間に渡って行われたNFLドラフトは、コロナ対策によって人数こそ限られたものの、大きなトラブルもなく終了し、259人の有望な選手がNFLのチームから指名を受け、プロの世界へと足を踏み入れた。
2巡と3巡の指名が行われる2日目は、かつてチームで活躍した選手が登場してファンを煽りながら指名選手を読み上げるため、初日に負けない盛り上がりを見せる。
フィラデルィア・イーグルスは、ドラフト初日にデボンテ・スミスを指名してファンも選手も大騒ぎだったが、2日目はどのように動いたのだろうか。
今回は、イーグルスのドラフト2日目を振り返る。
本当のドラフトの幕開け
初日にスミスを指名した時点でイーグルスファンは大満足で、2日目は誰が指名されるか楽しみにしていたが、時間が経って冷静になるにつれて頭の痛い現実と向き合わなければならなくなる。
イーグルスのポジションは穴だらけであり、更には補強するための予算もない以上、再びスーパーボウルで勝つチームを作るにはドラフトで失敗が許されないプレッシャーがのし掛かる。(NFLはサラリーキャップによって年俸総額が決まっているため、ルーキー契約によって額が抑えられている若く優秀な選手をどれだけ多く抱えられるかが一つのポイントになっている)
初日に選ばれるのは大学のスターしかいないが、2日目以降も素行やケガによって評価を下げた選手や、目立った成績は残せなかったものの入るチームによっては覚醒する可能性を持ったスター候補が多数存在する。
その中で一人でも多くの「アタリ」を引けるかが大事であり、スカウトの眼力が試される2日目からがむしろ「本番」だった。
気になる全体37位は?
2巡と3巡の指名が行われる2日目は即戦力級の選手が多数残っており、37番目の指名権を持つイーグルスにとって落ちて来た1巡候補といった大物(未来の主力)を指名する大チャンスである。
前述の通りドラフトで優秀なCBの指名は必須であり、2巡のモックを見ると過去にチームに在籍したアサンテ・サミュエルの息子であるアサンテ・サミュエル・ジュニアの指名を予想する声が多かった。
勿論、優秀なCBならサミュエル以外でもOKなのだが、即戦力の指名を楽しみにしながら2日目が始まる。
絶対にスミスと願っていた初日と違い、ネタバレなど気にする事もなく見られる心理状態だったためTwitterでリークするツイートを検索していた。
イーグルスの番が近くなると、Twitterでは公式よりも早くアラバマのOL、ランドン・ディッカーソンを指名したかという情報が入って来る。
With the No. 37 pick, the @Eagles select: Landon Dickerson, C, Alabama@Landon_2012 | @AlabamaFTBL
📺: 2021 #NFLDraft on NFLN/ESPN/ABC pic.twitter.com/3MMEjZXsyJ
— NFL (@NFL) April 30, 2021
1987年から1992年までイーグルスでプレーしたマイク・ゴーリックが登場すると、既報通りランドン・ディッカーソンの名前を読み上げる。
イーグルスからドラフト指名の連絡を受けて家族と一緒に涙を流して喜ぶディッカーソンの姿にファンも感動する一方、CBは放置するのか?と一瞬考えたが、C(センター)にG(ガード)とOLの複数ポジションを守れる器用さはありがたく、引退説が毎年のように囁かれるジェイソン・ケルシーの後釜を早めに確保する意味では残っている中でベストの選手を指名するBPA(best player available)優先のドラフトも悪くないとポジティブに考える。
名門アラバマの上位候補として期待したいところだが、ポジションを選ばない万能さを頼もしく思う反面、大学生活の大半をケガとの戦いに費やし、2020年も前十字靭帯断裂(ACL)でシーズンエンドとなったディッカーソンの負傷歴がどうしても気になる。
ピーダーソン時代のイーグルスはケガ人続出であり、ニック・シリアンニに体制が変わったとはいえ、選手の管理面が未知数すぎるため、ギャンブルとしては少々リスキーに感じた。
実力は一級品ながらケガで試合に出られるかどうか分からない、典型的な「ケガがなければ」という選手だが、ルーキーキャンプや春の合同練習にも参加しているので、焦らず復帰して、将来的な主力になって欲しい。
3巡目も世代交代優先のBPA指名
穴埋めより世代交代を優先した結果、サミュエルは2巡47位でロサンゼルス・チャージャーズに指名されてしまい、即戦力級のCBはいなくなってしまう。
ニーズを重視したDBの指名は期待出来ないので3巡もBPAでいいと思っていたところ、全体73位でルイジアナ工科のDT/DEのミルトン・ウィリアムズを指名する。
メジャーな大学の出身ではなく、185センチとDLとしては小柄な体格だが、プロデイで優秀な数字を叩き出した事で評価を上げた選手である。
大学では通用した能力任せのプレースタイルがNFLでも通用するのか?
大学でも試合によって活躍したか消えていたかの差が激しい
など厳しい評価が気になるが、NFLでもトップクラスの身体能力がある事は間違いないので、当たれば大儲けの宝くじと思って、数年後にはDLの要として活躍する彼の姿を期待する。
未来への投資だった2日目
2日目を振り替えると、期待していた即戦力の指名はあったかと言われたら答えは
「ノー」である。
実力派あるが試合に出られるか分からないケガ人に、実力未知数の能力お化けと、数年後を見据えた育成(完治)前提の指名だったため、最低でも2年は様子を見なければ結論は出せない。(勿論、スミスが期待外れに終わる可能性もゼロではない)
即戦力をスルーした分、伸び代のある選手を加えたのは世代交代を視野に入れた未来への投資と考えれば悪くない指名だった。
3日目こそ将来的な戦力となるCBを指名して欲しいところだが、8つある指名権を有効利用して欲しい。
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