オーストラリアの2倍の面積を誇りながらも、全土の約98%が平均2kmもの厚さの氷で覆われた南極大陸。
気温の低さもさることながら、強風が調査の行く手を阻む。2010年には最低気温-93℃を記録しており、研究所はあるものの、本格な探検は進んでいない。
そうしたことから、ミステリーの舞台としてはうってつけだった。南極にはUFOの基地があることが噂され、ピリ・レイスの地図には氷に閉ざされる前の南極が描かれていたことを「南極で不時着のUFOがGoogle Earthに写り込む【英紙報道】」ではお伝えしたが、今回はさらに驚くべき情報を入手した。
アイスブリッジの成果
2009年から、NASA(アメリカ航空宇宙局)では、飛行機に各種の観測装置を搭載して南極・北極の氷を観測する「Operation IceBridge(オペレーション・アイスブリッジ)」を継続しているが、これは、2018年に打ち上げ予定の地球観測衛星「ICESat-2」にデータを引き継ぐ役割を担っている。
その主な目的は、南極や北極の氷の変化を観測することだが、時には幻想的ともいえる風景を収めることもできた。
[画像.The Bluest of Ice]
「最も青き氷」と名付けられたこの氷は、2017年11月に南極で撮影された氷山で、水面下で侵食された氷が海面上にあらわれたことで、ここまでの青さを見せるようになったという。「最も青き氷」は右上に広がる氷河から分断して、いずれは崩壊すると予測されている。
このようにアイスブリッジは恐ろしささえ覚えるような美しい画像を捉える一方で、信じられない観測結果を我々に突きつけてきた。
考古学者を悩ませる集落跡
最新の調査により、南極の氷の下、約2.3kmの深さに人工的な集落跡のようなものが写っているという情報がリークされた。
さらにそこには構造物のような大規模な痕跡まで残っていたのだ。
[画像.レーダー画像]
左が氷上を撮影したという航空写真で、右がアイスブリッジで撮影されたというレーダー画像である。
ピラミッドのような人工物の痕跡もあり周囲の地形も自然にできるものではないと素人でも分かるはずだ。インドのコルカタ大学のアショカ・トゥリパーティー博士(考古学)によると、これは古代人類の集落跡ではないかという。さらに、他の場所にも似たような痕跡があるかもしれないが、何より不可解なのは、南極の氷のはるか下に埋もれているということだ。
これについてはトゥリパーティー博士も頭を悩ませている。
そして、事の発端となった問題の動画がこちらだ。
氷に覆われる前の南極
【※アイスブリッジで撮影された南極の棚氷】
以前紹介した「ピリ・レイスの地図」は、16世紀にトルコのレイス提督が古地図を元に書き写した地図で、そこには当時はまだ発見されていない南極の一部らしきものが描かれていた。しかも、海岸線が現在の南極と一致しているほか、氷に閉ざされる以前の姿が描かれているという話だ。
これは超古代に南極に文明が栄えたのではないかという説にまでたどり着いたが、科学的には南極が氷に閉ざされたのは約1,500万年前だとされている。1986年にはアメリカ・オハイオ州立大学の研究チームが南極で約300万年前に繁殖していたと見られる温帯森林の痕跡を発見しているが、それにしても人類(ホモサピエンス)がアフリカで誕生したのが30~20万年前というのだから、はるか昔だ。
南極大陸は約2億年前にゴンドワナ大陸というひとつの超大陸の一部だった。それが、1億8,000万年ころから分裂を始め、2300万年前後には南アメリカ大陸とも完全に切り離されて完全に孤立している。
誰が、何のために?
南極が比較的温暖で完全に氷に覆われる前の最後の時代は、約6,000年前とされてきた。
それでも、人類は南極を発見するどころか、到達すらしていない。そこに人間が生活していた痕跡を発見したとは前代未聞の大発見!
となるはずだったが、2018年3月になり、アイスブリッジのレーダー画像が偽者であるという事実が判明した。
この画像はエジプトのサッカラという場所にあるピラミッドを撮影したGoogle Mapの航空写真を加工したものだという。誰がいつ加工したのかは不明だ。
実際にGoogle Mapで「Pyramid of Khendjer」と検索して、航空写真に切り替えると確かにソックリの画像に見える。
ちなみに問題となった写真の左側の氷上写真は、ランドサット8号が2013年頃に撮影したもので、右の写真は2011年頃に撮影された写真を加工したという。
これは当時、探査衛星が赤外線を使い、砂漠の下に眠るピラミッドを発見するために撮影されたものであった。さらに、このデータがGoogle Mapの航空写真にも反映されたことで今回のような騒動になったと思われる。。
最後に
なぜかは分からないが、1本の動画が多くの人々の好奇心を動かし、あっという間に拡散したようだ。それだけに検証されるのも早い。
ロマンのある話だったが、今回は外れだった。しかし、南極の氷が解け切らなければ、その下に何が眠っていてもおかしくないのは事実なのだ。
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