掃除

耳かきの白いフワフワ を調べてみた

はじめに

男性のみなさんにぜひお聞きしたいことがあります。

それは、女性に膝枕で耳掃除をしてもらったことがあるか? ということ。

逆に女性のみなさんは、膝枕で男性の耳掃除をしてあげたことがありますか?

 

というのも、時代劇によく出てくるのです、このシーンが。

ごろりと膝の上に寝ころぶ男の耳をかんざしで掃除する女の画。

艶っぽく情感あふれる場面です。

耳かきの白いフワフワ

なぜかんざしが耳かき機能を持ったのか?

ちょっと寄り道でかんざしの話を。

かんざしの歴史は古く、縄文時代までさかのぼります。

当時は木の枝一本にも呪力が宿るとされていて、魔除けとして頭にさしていたようです。

この髪挿し(かみざし)がかんざしの語源という説もあります。

その後、安土桃山時代から今でいう日本髪(髪を結うスタイル)が広まるとともにかんざしも広まり、江戸時代中頃から末期にかけて、かんざしはピークを迎えました。


日本髪 wikiより

専門の飾り職人の手による芸術的なかんざしが数多く生みだされ女たちの頭を飾っていました。

しかし享保年間の頃になると奢侈禁止令(しゃしきんしれい)によって町屋の婦女子は華美な服飾品を禁じられてしまいます。

そこで、かんざしのアタマに耳かきをつけることで「これは贅沢品ではなくて実用品です」とお上の取り締まりを避けたとか。

 

さらに、耳かきだけではなくて護身具としての役割もありました。

イザという時に相手の目を刺したのだそう。

 

そして現在、日本髪は非日常のスタイルとなり、かんざしも誰もが持っているものではなくなりました。

耳かきは専用の道具で行うのが一般的となったわけです。

 

耳かきの白いフワフワの正体

耳かきには多種多様な商品があります。

竹製、金属製、プラスチック製、LEDライトやカメラつき、小型掃除機のようなクリーナーまで。

昔から愛用されていたのが、白いフワフワのついた竹製の耳かきです。

あの白いフワフワ、正式には「梵天(凡天)・ぼんてん」といいます。

アヒルなどの水鳥の羽毛を束ねたもので、姿かたちが修験者の着る梵天袈裟についている白い房に似ていることから、その名称である梵天と呼ばれるようになったという説が一般的です。

江戸時代は「耳垢取屋」なる職業が存在し、「松」のコースは金の耳かき、「竹」は銀や象牙の耳かき、「梅」はクギの頭を使っていたという記録が残されているので、梵天つき耳かきの製造は明治以降かと考えられます。

 

「梵天」のお手入れをしたことはありますか。

使っていれば当然、汚れてきます。

シャンプーや石鹸を手のひらで水に溶かして、やさしくなでるように洗うといいようです。

仕上げにドライヤーで乾かせば白いフワフワな梵天が復活します。

耳かきの白いフワフワ

 

耳掃除の話

耳かきをはじめとする耳関係のことをいろいろと調べたなかで一番驚いたのが、「耳掃除はしなくてもいい」ということでした。

にわかには信じられませんが、実は耳垢には立派な役割があるのだそう。

外耳道と鼓膜の保護、乾燥防止、潤滑作用。そして、感染防御(耳垢の成分には抗菌抗真菌作用が含まれているそうです)、昆虫などの異物の侵入防止

つまり耳垢は「耳を守るために作られている物質である」ということです。

しかも外耳道には自浄作用があり耳垢がたまると外へ排出するそうです。

逆に、綿棒などで耳掃除をすると耳垢を奥の方につめこんでしまうことがあります。

耳掃除のしすぎで、外耳道に湿疹や炎症が起きる人も多いのだそうです。

耳掃除は1か月に1回くらいでいいという耳鼻科医もいます。

耳のためには耳垢が少し残っているくらいでいいそうです。

 

世界的に見ても日本人は耳掃除好きな民族であるようですが、もっと適当でいいということでしょうか。

耳の入り口付近を梵天でフワフワなでて掃除するくらいがちょうどいいのかもしれません。

 

 

kechako

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時代劇と園芸と保存食作りを愛するご隠居様予備軍のkechakoです。
最後の晩餐は「梅干しおにぎり」と決めております。

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