事件史

カルロス・ゴーン氏のこれまでの経歴と業績

カリスマ経営者の突然の逮捕

カルロス・ゴーン氏のこれまでの経歴と業績

※カルロス・ゴーン氏 wikiより

2018年11月19日に突然そのニューズは伝えられました。

日産自動車を立て直した辣腕経営者として日本のみならず世界的な著名人であったカルロス・ゴーン逮捕という驚きのニュースでした。

カルロス・ゴーンと言えば、フランスを代表する自動車会社であるルノーの取締役会長兼CEOであり、その傘下の日産自動車会長・社長と、さらに三菱自動車工業の会長をも務めていた業界のカリスマ経営者でした。

今回日本の検察・東京地検特捜部は、「金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)」の容疑で逮捕に踏み切ったものですが、あまりの衝撃に一部では陰謀論も囁かれる事態となっています。

カルロス・ゴーン氏のこれまでの足跡

カルロス・ゴーンの両親は中東のレバノン人で、ゴーン自身は両親の移住に伴いブラジルで幼年期を過ごしました。

その後、フランスのパリ国立高等鉱業学校に学び、卒業後の1978年にフランスに本社を置く世界的な自動車タイヤ会社であるミシュランに入社しました。

※F1のミシュランタイヤ wikiより

ゴーンは入社7年後の1985年には30歳にして南米ミシュランの最高執行責任者(COO)に就任し、同部署の事業の黒字化・立て直しに功績を挙げ、1990年の35歳の時には同社の北米事業の最高経営責任者のポストに就きました。

その後、ミシュランでの業績を高く評価されたゴーンは、1996年にルノーの上席副社長としてにスカウトを受け、その3年後となる1999年にルノーが日産を傘下に収めたことで、日産の最高執行責任者(COO)を兼務することになりました。

ルノーでの業績改善

元はフランス国営の自動車会社だったルノーが民営化されたことで、ゴーンはその経営手腕を見込まれてスカウトされたといういきさつがありました。

ゴーンはここで積極的なコスト削減で実績を上げます。

具体的には、ベルギーにあったルノーのビルボールド工場等の採算の在っていなかった部門の閉鎖、各部品調達外注先の一本化などの方策を断行しました。

これらの効果によって慢性的な赤字を抱えていたルノーの財務状態を瞬く間に黒字化させることに成功しました。

これらの施策の実行から、経営者としてのゴーンは「コストカッター」「コストキラー」と呼ばれることになりました。

日産での業績改善

ゴーンは日産においても同様の手法で経営完全に取り組みました。

1999年にゴーンが送り込まれた当時の日産は凡そ2兆円に及ぶ有利子負債を持ち、日本国内の販売においては46車種中のわずか3車種しか利益が出ない状態にあったと伝えられています。

この状態を、ルノーとの部品の共有化や部品購買の共同実施などで徹底したコスト削減を行いました。

この中で不採算であった武蔵村山工場の閉鎖や、従業員約21,000名の早期退職などを進めると、5年後の2003年には有利子負債の返済を完了させてV字回復を達成しました。

様々な陰謀論へ飛び火

今回のゴーン逮捕は、日産の2011年3月期から2015年3月期の期間にゴーンの役員報酬は99億9800万円だったにも関わらず、これを49億8700万円という少ない金額で有価証券報告書に記載したことが金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)にあたるというものでした。

この逮捕劇には、日産内部から司法への告発が行われたとされており、一部では陰謀論もまことしやかに囁かれています。

曰く、フランスなどヨーロッパの報道では、日本政府の陰謀にゴーンが堕とされたとするものや、アメリカでも同しようなトーンの陰謀論が囁かれています。

一説には永田町においてはトランプ政権が仕組んだものとする陰謀論も飛び出しており今後の捜査の行方が注目されています。

 

アバター

swm459

投稿者の記事一覧

学生時代まではモデルガン蒐集に勤しんでいた、元ガンマニアです。
社会人になって「信長の野望」に嵌まり、すっかり戦国時代好きに。
野球はヤクルトを応援し、判官贔屓?を自称しています。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. ヨーゼフメンゲレ 〜南米に逃亡したナチス狂気の医師
  2. ミシシッピ計画について調べてみた 【世界三大バブル】
  3. 大阪弁小説の神髄、田辺聖子の生涯
  4. 戦争へ世論を導いた「影の実力者」、徳富蘇峰について調べてみた
  5. 伊藤野枝 ~自由恋愛の神と呼ばれたが殺された女性解放運動家
  6. 「働いたら負け」を生涯貫いたニートの天才詩人・中原中也 「お金と…
  7. 「伝説のスパイ」 ウォルフガング・ロッツとは
  8. 日蓮宗の僧侶が起こしたテロ・血盟団事件とは

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

現地取材でリアルに描く『真田信繁戦記』 第6回・大坂夏の陣編 ~狙うは大御所家康の首一つ

エピローグ大坂冬の陣の後、徳川家康は大領を与える条件を示し、真田信繁を味方に引き入れよう…

F-22について調べてみた

米空軍の現在の主力戦闘機「F-15 イーグル」は初飛行から40年以上が経ち、F-15の不足を補うため…

歴史上の天才達のIQを調べてみた 【アインシュタイン、ダヴィンチ、ノイマン 他】

歴史上には各分野で天才と呼ばれた人達がいる。・アリストテレス・レオナルド・ダ・ヴィンチ…

戦国三英傑の特徴(性格)について調べてみた 「信長、秀吉、家康」

はじめに戦国三英傑とは、数多くの武将たちが争いを続け領土を取り合った戦国時代に、天下統一…

秀吉から名城を任された武将・中村一氏

中村一氏とは中村一氏(なかむらかずうじ)は、豊臣政権の三中老の一人であり、岸和田城主だっ…

アーカイブ

PAGE TOP