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ドイツ軍の戦車の系譜を調べてみた

ドイツ軍の戦車の系譜を調べてみた
※整列するティーガー

第二次世界大戦において、ドイツ軍は精鋭無比の戦車軍団でヨーロッパを席巻したイメージがある。ポーランドへの電撃戦に始まり、北欧、フランスへと軍を進めたが、その中核には常に戦車の存在があった。

しかも、開戦から短期間で進化を続けて、終戦時には物量でこそ連合軍に負けたが、性能そのものはドイツ軍の戦車が上回っていた。

その進化とはどのようなものだったのか、ドイツ軍の戦車の系譜を調べてみた。

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Ⅰ号戦車・Ⅱ号戦車


※Ⅰ号戦車

戦車が実戦投入されたのは第一次世界大戦のことである。ドイツ軍はA7Vを戦場に送り込んだが、芳しい戦果は挙げられずに終わった。
戦後はヴェルサイユ条約によって戦車の開発を禁じられていたドイツだが、「トラクター」の名目で戦車の試作が行われた。トラクターと呼べたのも、当時の生産技術では全長4mクラスの戦車が限界だったからだ。

ヴェルサイユ条約によって、制限されたものは他にもある。それが兵器の貯蔵量の限界を定めたもので、歩兵を援護するための機関銃も制限されてしまった。そのため、戦間のドイツでは制限の掛けられなかった「対空機銃」の名目でMG-34機関銃を開発、後に対空から車両搭載、歩兵による運用までできる傑作機関銃が生まれた。


※MG-34

将来的には10~15トン級の主力戦車の開発を目指すも、それまでの「繋ぎ」として、Ⅰ号戦車が完成した。

全長:4.02 m
全幅:2.06 m
全高:1.72 m
重量:5.4 t
主砲:7.62mm機関銃×2

これが、ドイツ軍最初のモデルとなった。
主砲とは書いたが、この口径は歩兵が運用する機関銃と同じものであり、実際には「砲」とは呼べない。そこで、さらなる繋ぎとして開発されたのがⅡ号戦車である。Ⅰ号戦車よりわずかに全体が大きくなり、2cm機関砲を搭載することで火力も向上した。
これにより、派生系も含めてⅠ号戦車は1500輌、Ⅱ号戦車は1700輌余りが生産されてポーランド侵攻(1939年)では主力となった。


※Ⅱ号戦車

Ⅲ号戦車・Ⅳ号戦車


※Ⅲ号戦車

ヒトラー率いるナチス・ドイツのもとで再軍備を開始したドイツ陸軍では、主力戦車の本命としてⅢ号戦車を開発した。そして、これを支援する戦車として期待されたのがⅣ号戦車であった。

Ⅲ号戦車は、1941年以降の製造となったが、それまでの「歩兵支援」から「戦車戦」を想定して作られ、Ⅳ号戦車との連携により敵陣地の制圧まで可能だとされた。

全長:6.41 m
車体長:5.56 m
全幅:2.95 m
全高:2.51 m
重量:22,7 t

乗員もⅠ号が2名、Ⅱ号が3名だったのに対し、Ⅲ号では5人となり今の我々が知る戦車の形状になってきた。

しかし、戦車戦を想定して開発されたⅢ号戦車でさえ、フランス戦で遭遇したイギリスのマチルダⅡ戦車に対して威力不足だと判明すると、急遽、Ⅳ号戦車の攻撃力強化が図られる。マチルダⅡは歩兵支援戦車だったが、それにもⅢ号は通用しなかったのだ。Ⅳ号戦車には設計に余裕があり、1942年には改良型のF型の途中から対戦車戦を想定した43口径長という長砲身の7.5cm野戦砲が搭載された。この主砲はマチルダⅡをはじめ、連合軍の戦車のほとんどを撃破できる性能であり、1943年には主砲を48口径長にまで延ばしたH型も生産された。

アニメ「ガールズ&パンツァー」ではメインの戦車として描かれ、物語の終盤ではH型に改良されて登場している。

思わぬことに、支援戦車として生まれたⅣ号が主力戦車となったのである。


※Ⅳ号戦車

Ⅴ号戦車パンター


※パンターG型後期型

開戦前年の1938年、陸軍は生産性を高めるためⅢ号、Ⅳ号戦車の役割を統合した新型戦車の開発に着手した。しかし、1941年に始まった独ソ戦で姿を現したソ連のT-34中戦車に大きなショックを受ける。現行のⅣ号戦車では全く歯が立たなかったのだ。

これにより、新型戦車は30t級までスケールアップしたⅤ号戦車パンターの開発に着手した。

パンターには、T-34と比較して主砲、機動性、防御力のすべてを上回る性能が要求された。結果、主砲の7.5cm砲は口径こそT-34の7.62mm戦車砲より小さいが、砲身の長さでは70口径長もあった。砲身を長くするには高い技術力が必要だが、これによる砲弾は、飛距離・精度ともに向上することになる。

その試みは見事に成功したが、コストが高いために主力として切り替えられるほどの数は製造できず、引き続きⅣ号戦車との並行生産が行われた。

Ⅵ号戦車ティーガーⅠ


※第502重戦車大隊のティーガー(1943年6月、東部戦線)

1942年夏に登場したティーガーⅠ重戦車は、第二次世界大戦でもっとも有名な戦車のひとつである。ドイツ軍が開発した分厚い装甲によってあらゆる攻撃を跳ね返し、通常の交戦距離において、その8.8cm戦車砲の絶大な威力に耐えられる連合軍戦車は存在しなかったからだ。

ティーガーⅠの開発は1941年に始まったが、すでにベースとなるⅢ号、Ⅳ号戦車で車内レイアウトも決まっており、大きく異なるのは装甲の厚さにあった。それまでに前例のない重装甲で、車体の前面は主に100mmの厚さがあり、側面や後部でも80mmの厚さが確保されていた。

全長:8.45 m
車体長:6.316 m
全幅:3.705 m
全高:3 m
重量:57 t(戦闘重量)

ティーガーⅠの出現は、戦車の戦術も変えた。パンツァー・カイル(くさび型陣形)は、先頭に攻撃力・防御力の高い重戦車を配置し、それを続くように逆V字型で隊列を組む。これにより、ティーガーⅠが突破口を開き、後続の戦車が相手を制圧するフォーメーションが生まれた。

しかし、ティーガーⅠは構造の複雑さや自重とつり合わない駆動系の非力さからトラブルも多く、大局を変えるまでには至らなかった。


※側面に着弾しながらも貫通しなかった砲弾痕

その脅威は、映画『フューリー(2014年)』において、アメリカ軍のM4シャーマン戦車3輌を相手にティーガー1輌で相手をするなど、リアルに描かれている。

最後に

ヴェルサイユ条約により戦車の開発を禁じられたドイツだったが、戦間、開戦後の短期間で目覚しい発展を遂げたことがわかった。

さらにはティーガーⅡへとその系譜は続くのだが、それだけでひとつの記事になってしまうので、それはまたの機会に調べてみたい。

 

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