ミリタリー

モンタナ級戦艦 〜大和を凌ぐアメリカ海軍幻の巨大戦艦

計画のみに終わった幻の戦艦

モンタナ級戦艦

※モンタナ(BB-67)の完成予想図

モンタナ級戦艦はアメリカ海軍において計画された最大の戦艦でしたが、机上の計画のみに終わり実際に建造されることはなかった幻の戦艦です。

アメリカで実際に建造された最大の戦艦はアイオワ級でしたが、モンタナ級はこれを遥かに越える戦艦として計画されました。
モンタナ級戦艦は主砲こそアイオワ級と同じ50口径40.6cm砲でしたが、この3連装主砲を4基12門の搭載とし1基3門を増加させて火力を高めていました。

また同じく全長もアリゾナ級戦艦の約270.427mを10m以上延長した281.940m、全幅も36.799mとアメリカの戦艦として初めてパナマ運河の通航ができる最大幅の33mを超過し、満載排水量も70,000tを超える世界最大級の大きさの戦艦として計画が進められました。

日本の戦艦への対処

アメリカの巨大戦艦の計画は1936年時点まで遡ります。この年に第二次ロンドン海軍軍縮条約の枠から仮想敵国である日本が離脱したため、同条約を批准していたアメリカも他のイギリス・フランスと協議の上、条約の上限を超える戦艦の建造に対し、1938年3月にエスカレータ条項によって踏み切る事になりました。

当時のアメリカ海軍は、既に日本が条約の制限以上の規格である46,000t、16インチ主砲(40.6cm)級の新型戦艦を建造しているものと見ており、自らもこれに対抗しうる戦艦の建造を企図しました。

実際には日本海軍の大和型戦艦は、満載排水量72,800t、45口径46cm(18インチ)3連装主砲3基9門とアメリカの想像よりも巨大な戦艦ではありました。

太平洋戦争の趨勢

但しモンタナ級の主砲50口径40.6cm砲は12門を搭載することから、アイオワ級のアメリカ戦艦と主砲自体は同様としつつも1基3門を増加させたことで火力の向上が図られており、斉射の弾量は約14.7tで13.1tの大和型と比べても上回る程の火力を備えていました。

モンタナ級はその重武装故、速力は27ノットとアイオワ級の33ノットと比較すると低速な戦艦となっていました。
しかし1939年にナチス・ドイツがポーランドに侵攻したことで第二次世界大戦が勃発すると、翌1940年7月に建造予算が承認されました。

但し、既に建造が始まっていたアイオワ級戦艦が優先的に建造されることになり、1941年12月に日本が真珠湾を攻撃したことで太平洋戦争が始まると、航空機が海戦の主力兵器であることが表面化し、航空母艦の建造が優先されたことでモンタナ級戦艦の必要性は低下していきました。

パナマ運河側を拡幅

そうした状況下において、アメリカ海軍内部でもアイオワ級ではなくモンタナ級を優先すべきという従来の大艦巨砲主義に基ずく意見も出されたと言われていますが、結局大統領であったルーズベルトによってモンタナ級戦艦の建造中止が決定されました。

そもそもアイオワ級戦艦でパナマ運河を通航できる最大限の幅に達していたまで二も関わらず、モンタナ級戦艦はそれを超過する全幅となっており、太平洋と大西洋に挟まれたアメリカにおいて現実的とは言い難い計画であったとも言えました。

※パナマ運河の全体図

但しパマナ運河自体に拡幅工事を行って新型戦艦の通航を可能にするという、第二次世界大戦中には実現が厳しそうな案も提唱されていたと伝えられています。

大艦巨砲主義の終焉

モンタナ級戦艦は、太平洋戦争が開始されたことで日本海軍が保有していた最新型の戦艦・大和型を凌駕する戦艦であると、一時期は戦意高揚の点からも喧伝されていました。しかしあくまでも計画段階の机上のスペックを基にしたものであり、現実的には長すぎる全長から凌波性や動揺性能に課題があったとも言われています。

寧ろ日本側の真珠湾攻撃やマレー沖海戦で戦艦に対する航空機の優位が判明しなければ、そのまま改良を加えて建造されたかもしれないとも思われる逆説的な軍艦とも言えるものでした。

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