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指揮者になるための道を調べてみた

もう10数年ほど前になるのか。日本でちょっとしたクラッシクブームが起きた。それまでクラシックに興味がなかった若年層を取り込み、数年間はブームが続く。

その火付け役となったのは、マンガ「のだめカンタービレ」だった。後に、実写ドラマ化され、アニメ化もされた。

作中で使われた楽曲を演奏するコンサートも開催されて大変な人気だった。折りしも、「世界の小澤」こと小澤征爾(おざわせいじ)が指揮活動を再開したことで注目されており、佐渡裕(さどゆたか)もメディアで分かりやすくクラシックの魅力を伝えていた時代である。

すでにブームは去ったが、「のだめカンタービレ」で注目されたのは指揮者の存在である。主人公の1人である千秋真一がプロの指揮者を目指して海外を目指す構成は、それまでの音楽ドラマにはない設定だった。

では、プロの指揮者になるためにはどのような過程があるのだろうか?必要な素質などとあわせて調べてみた。

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指揮者の役割

指揮者
※ヘルベルト・フォン・カラヤン

指揮者は、オーケストラだけに存在するわけではない。吹奏楽・合唱・ビッグバンドなどで各パートをまとめる役割を担う。そのためには、指揮をする楽曲のスコア、関連する音楽史上の文献などを読んで構造などを把握し、表情づけの方法などを検討し、練習の手順を計画しなければならない。

表情づけとは、スコアに込められた作曲者の意図を理解しつつ、自分らしい表現方法を楽団員に伝えることだ。音のバランスやテンポを調整するだけではなく、演奏そのものをどう表現するのかを示す。そのため指揮者によってその演奏は素晴らしくもなり、その反対にもなってしまう。誰が指揮をしても同じ演奏になるのなら指揮者は職を失ってしまうだろう。

特に現在のクラシックでは、さまざまな地域で作曲された楽曲を演奏し、さまざまな国の楽団を指揮する機会が大幅に増えており、スコアの原語での読み込みを始め、リハーサルで細かなニュアンスを伝えるためには、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語など、複数の外国語の能力も欠かせなくなってきている。

このように世界を回りながら異なるオーケストラで指揮をするスタイルを確立したのは「クラッシックの帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan, 1908年4月5日 – 1989年7月16日)といわれている。カラヤン以前には、指揮者は一つ処でオーケストラやオペラハウスの顔をするのが普通であった。

もちろん、団員との意思疎通のためにも欠かせない能力である。特に「コンサートマスター(コンマス)」と呼ばれる第1バイオリンの最前列(通常は指揮者から見て左手の最前列となる)に座り、指揮者を補佐する人物とは呼吸をあわせなくてはいけない。オーケストラなどの大きな演奏団体では、指揮者が置かれるが、実際の細かな音の出だしや切る位置、微妙なニュアンスは、指揮では示しきれないことも多い。

このような場合、ほかの団員は指揮を見るのと同時にコンサートマスターを見て演奏し、コンサートマスターは必要に応じて指示を出すわけだ。

指揮者への第一歩

指揮者になるための「資格」というものは存在しない。
一般的には音楽大学の指揮科で学ぶことになるが、そのためには高度なピアノの演奏技術と和音の知識が必要になる。その曲がどのような音がするのか、ピアノ等の楽器で演奏して音を確かめられる能力が要求されるためだ。

これは読譜能力の問題なので、本来はピアニストのように流暢に弾ける必要はなく、何段にも分けて書かれたスコア(総譜)の音を同時に読みとって弾く能力が要求される。しかし、実際には高いピアノ技術は課題として必須なので、幼い頃からピアノに触れていたほうがいい。

ピアニストが指揮者として活動する例が多いのはこのためでもある。ヴォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch, 1923年8月26日 – 2013年2月22日)、ウラディーミル・ダヴィドヴィチ・アシュケナージ(1937年7月6日 – )などがこの例だ。

音楽大学卒業後は、メジャーの国際指揮者コンクールに入賞するのが一番の早道だが、指揮者コンクールで入賞するためには音楽に関する高度な知識や技術ばかりでなく、卓越した芸術感覚が何よりも必要とされる。

そのため、ジュリアード音楽院(アメリカ)、ウィーン国立音楽大学(オーストリア)、フランス国立高等音楽院など、海外の名門音楽学校に入学し、そこで学びながらコンクール入賞を目指すことが多い。

しかし、実際に世界的に有名な指揮者になるには「運」も必要となる。師事する指揮者などによっても将来が左右されるため、「総理大臣になるより、指揮者として成功するほうがむずかしい」とも揶揄される。

指揮者 の素質

指揮者になるためには必要な素質もある。
まずは、耳の良さ。これは聴力ということではなく「音の聞き分け」や「楽器の音色を正しく把握する」能力のことだ。これは読譜能力にも関連している。つまり、演奏者が正しい音を出しているかどうかを判断できなければならない。指揮者コンクールで「間違い探し」と呼ばれるのがこれで、オーケストラの楽員にわざと間違えた音を演奏させ、受験者がその間違えを指摘しなければ不合格となる。

これは集中力と、その前提になる読譜能力の問題なのだ。次に指揮者は、実際にオーケストラでの演奏において、明らかに間違いではないものの、好ましくない音を正さなければならない。これは微妙なピッチの狂いであるとか、音色の設定などを正せる力が必要になる。そのため指揮者は自分の望む音のイメージを持っていなければならない。

もうひとつは素質ではなく、経験によって培われるところが大きいが、「統率力」も必要である。何と言っても指揮者は演奏者が協力して音を出してくれないことには、何の意味もない。初めて指揮をする楽団員とは円滑なコミュニケーションをとり、自分のイメージを正しく表現しなければならない。特に若い指揮者に対しては、古株の楽団員は厳しくその才能を評価する。とはいえ、媚びてしまってもいけない。時にはイメージ通りにならないパートにはしっかりと指示を伝え、かつ調和を乱さないようにコントロールする力が必要なのだ。

最後に

どんな世界でも成功するには大変な努力が必要になる。
それは指揮者も同じだが、楽団に指揮者は1人しか必要ない。そのため競争は激しく、若くして世に出られるものはとても少ない。そのため、身体を使う仕事であるにもかかわらず、大器晩成的な性格もある。40代、50代でも「若手」などと呼ばれ、その中でも「マエストロ」と呼ばれる尊敬すべき指揮者になれるのはほんの一握りだ。
それほど厳しい世界なのである。

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