菊花賞 (3歳オープン 牡・牝 国際・指定 定量 3000m芝・右)は、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で毎年10月に施行する重賞競走(GⅠ)である。
三冠(皐月賞・日本ダービー・菊花賞)の最終関門のレースで「最も強い馬が勝つ」といわれる。
京都競馬場特有の3コーナーから4コーナーにかけての坂の上り下りを2回こなし、3歳馬たちにとって初体験の3000mのコースを走破するスタミナとスピードが必要とされる。
この菊花賞について創設からの歴史をひもといてみる。
なお2001年(平成13年)から競走馬の年齢表記が数え年から満年齢に変更された。この記事ではレース名以外は現在の表記で記す。
菊花賞の誕生
菊花賞は1938年(昭和13年)にイギリスの「セントレジャー」(3歳牡・牝 芝 距離14ハロン115ヤード(約2900m))に範をとり「京都農林省賞典4歳呼馬競走」として京都競馬場の芝3000mで創設された。
イギリスのセントレジャーは1776年に創設、当初から3歳馬が一度だけ出走できるレースとして施行され、後発の2000ギニー(1809年創設)とダービー(1780年)と合わせてイギリス三冠の最終レースになった。
1970年のニジンスキー(牡)以来、イギリス三冠馬は出ていない。
京都競馬場の歴史
京都の競馬場は1907年(明治40年)に京都市下京区の島原に島原競馬場として新設されたが、1912年(大正元年)の火災や馬券発売の禁止により閉鎖。
京都府須知町(現 京丹波町)に移転したが手狭になったため、1925年(大正14年)に現在地に移転した。
1938年(昭和13年)にスタンドを新設。この年に新設された第1回菊花賞の優勝馬はテツモン(牡)である。
菊花賞の歴史
1943年(昭和18年)(第6回)「京都農商省賞典4歳呼馬」の名称で施行された菊花賞で、初めて牝馬が優勝した。牝馬初のダービー馬クリフジである。
第12回東京優駿に勝ち、当時は秋に行なわれていた第6回オークス(優駿牝馬)で圧勝。そして菊花賞では10馬身以上の差を付けて優勝した。
1944年(昭和19年)は能力検定競走「長距離特殊競走」として行なわれたが、全馬コースを間違えたため競走不成立となった。
1945年(昭和20年)は太平洋戦争のため中断。
1946年(昭和21年)(第7回)名称を「農林省賞典4歳馬」に変更して再開された。
その翌年の第8回の優勝馬はブラウニー(牝)だが、これ以降菊花賞に勝った牝馬はいない。
1948年(昭和23年)(第9回)名称が現在の「菊花賞」に変更された。
1984年(昭和59年)(第45回)グレード制導入、GⅠに格付けされた。
1995年(平成7年)(第56回)地方競馬所属馬の出走が可能になった。
2001年(平成13年)(第62回)外国産馬も出走可能になる。
2007年(平成19年)(第67回)日本はパートⅠ国に昇格したが、菊花賞は外国調教馬の出走を認めていなかったため、格付表記がJpnⅠに変更された。
2010年(平成22年)(第71回)国際競走に指定され、外国調教馬は外国産馬と合わせて最大9頭まで出走可能となった。また格付表記がGⅠ(国際格付)に変更された。
2013年(平成25年)(第74回)外国調教馬の出走枠が拡大された。
二冠馬のまとめ
皐月賞、日本ダービーに加えて菊花賞でも優勝した三冠馬については別記事の「中央競馬での歴代三冠馬を一覧にしてみた」にまとめているので、ここでは二冠馬をまとめる(2020年6月現在の情報による)。
《皐月賞と日本ダービーに勝った二冠馬》
()内は菊花賞優勝馬
1950年(昭和25年)クモノハナ (ハイレコード)
1951年(昭和26年)トキノミノル (トラツクオー)
1952年(昭和27年)クリノハナ (セントオー)
1953年(昭和28年)ボストニアン (ハクリヨウ)
1960年(昭和35年)コダマ (キタノオーザ)
1963年(昭和38年)メイズイ (グレートヨルカ)
1970年(昭和45年)タニノムーティエ (ダテテンリュウ)
1971年(昭和46年)ヒカルイマイ (ニホンピロムーテー)
1975年(昭和50年)カブラヤオー (コクサイプリンス)
1981年(昭和56年)カツトップエース (ミナガワマンナ)
1991年(平成3年)トウカイテイオー (レオダーバン)
1992年(平成4年)ミホノブルボン (ライスシャワー)
1997年(平成9年)サニーブライアン (マチカネフクキタル)
2003年(平成15年)ネオユニヴァース (ザッツザプレンティ)
2006年(平成18年)メイショウサムソン (ソングオブウインド)
2015年(平成27年)ドゥラメンテ (キタサンブラック)
《皐月賞と菊花賞に勝った二冠馬》
()内は日本ダービー優勝馬
1949年(昭和24年)トサミドリ (タチカゼ)
1954年(昭和29年)ダイナナホウシユウ (ゴールデンウエーブ)
1974年(昭和49年)キタノカチドキ (コーネルランサー)
1985年(昭和60年)ミホシンザン (シリウスシンボリ)
1987年(昭和62年)サクラスターオー (メリーナイス)
1998年(平成10年)セイウンスカイ (スペシャルウィーク)
2000年(平成12年)エアシャカール (アグネスフライト)
2012年(平成24年)ゴールドシップ (ディープブリランテ)
《日本ダービーと菊花賞に勝った二冠馬》
()内は皐月賞優勝馬
1943年(昭和18年)クリフジ (ダイヱレク)
1973年(昭和48年)タケホープ (ハイセイコー)
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