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中国、台湾の臭いけど美味な 「臭豆腐、毛豆腐」

臭豆腐とは?

「臭豆腐、毛豆腐」

画像 : 臭豆腐

日本でも納豆やクサヤの様に、臭いは独特だが多くの人に愛される食品がある。

台湾でも臭いは独特だが、庶民に愛される食品がある。

それは「臭豆腐」である。

台湾の夜市を訪れると、必ずといっていいほど「臭豆腐」が売られている。
その強烈な臭いは、外国人観光客は顔を背けるほどである。

「臭豆腐、毛豆腐」

画像 : 揚げ臭豆腐を調理する光景(台北市)wiki c

これは豆腐を発酵させたもので、油で揚げたり火鍋に入れたりして食べる。アンモニア臭が強く、臭豆腐のお店があったり屋台があるとかなり遠くからでもその臭いが確認できる。

最近では、臭豆腐をフライドポテトのように細く切って、ポテト風に販売している店もある。
タレがついており、各店によって味が違う。辛めが好きな人は、食べるラー油の様な唐辛子をつけて食べる。少し酸味のある漬物(キャベツや人参)と一緒に食べると美味である。

筆者の好みであるが、臭豆腐は熱々だからこそ美味であり、冷えてしまうとただの硬く臭い物体である。

臭ければ臭いほど美味とされ、台湾人はスナック感覚で食べている。食事のおかずという概念ではない。

臭豆腐は中国でも食べることができる。

臭豆腐は台湾のものという説もあるが、今回は「臭豆腐」の由来について解説する。

臭豆腐は中国の美食?それとも台湾の美食?

「臭豆腐」の由来は、言い伝えによると中国・の時代に遡る。清康熙朝の時代である。

王致和という豆腐商人がいた。

彼は「※豆腐乳」を作っている時、壺の蓋を閉め忘れた。(※豆腐乳も豆腐を発酵させた食品である)
発見した時、ものすごい臭いを発していたので、てっきり腐っていると思い破棄しようとした。

ところが、それは微生物による発酵を経て、新しい食品を生み出していたのである。
実際に食べてみるとなんとも美味であった。臭いからは想像できないその美味しさに商品化して販売することを決めたという。

様々な言い伝えはあるものの、調べてみると中国からやってきたものという説が有力のようである。

台湾はもともと大豆を生産しておらず、1949年に国民党が台湾にやって来た時に湖南省の兵士が伝えたともされている。

臭豆腐は健康的な食品?

臭豆腐の中には、発酵の過程で生産された多くの栄養成分が含まれている。

主にビタミンB12や乳酸菌などで、およそ100gの臭豆腐の中に10mgのビタミンB12が含まれている。ビタミンB12は老人の痴呆防止、乳酸菌は胃腸の健康を保つのに効果がある。

だが気をつけるべき2つの要素がある。

1. カロリーが高い

だいたい一皿に5、6個の臭豆腐がのって販売されている(約100台湾ドル)

油で揚げたものは一皿約500キロカロリーもある。白ご飯2杯分である。
蒸したものも、一皿約300キロカロリーで、白ご飯1杯分である。

2. 塩分高め

臭豆腐の付け合わせの漬物やタレを含めると、一日に摂取してよい塩分の量を軽く超えてしまう。

食べ過ぎは注意である。

毛豆腐

「臭豆腐、毛豆腐」

画像 : 毛豆腐

中国や台湾には、その他にも非常に興味深い豆腐料理がある。

中国の安徽省には「毛豆腐」なる食べ物が存在する。豆腐に真っ白な毛の様なものが生えている。

これは豆腐に菌糸が伸びたものである。

安徽人は「豆と水にこだわって作っているので、安心して食べてほしい」と言う。菌糸の伸びた食品を安心して食べて、というのもなんだか微妙な気持ちにはなるが。

長い毛が伸びるまで4、5日かかるという。その毛は遠くからみると鳥の羽毛の様に見える。そして毛の上には黒い小さな粒(胞子)が見える。

毛豆腐を油であげると白い毛はなくなってしまうのだが、そのパリパリとした食感と独特の臭いが人々を魅了しているという。

この独特な臭いの臭豆腐や毛豆腐を食べる人たちも「日本の納豆は臭すぎて食べられない」と発言する。

「臭豆腐、毛豆腐」

画像 : 臭い食べ物のアラバスター単位(におい成分の成分量の単位)wiki c

確かに臭い食べ物の代表例を見ると「臭豆腐」より「納豆」の方が臭い数値は上である。

臭さのレベルの違いか、はたまた臭さの種類の違いか。

食文化の違いは非常に興味深く、面白い。

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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