箸文化
アジアの食文化の代表といえば、箸文化ではないだろうか。
和食には欠かせず、日本は「お箸の国」と言われたりもする。
日本の子供は幼い頃から箸を使う練習をする。箸を上手に持てる様に練習する補助器具などもある。ところが現代の若者世代は箸を上手に使えず、マナーも知らない人が増えているそうだ。
箸文化は中国から伝わってきたとされる。中国と日本、そして韓国の箸には違いがあるのだろうか?
今回は、それぞれの国の箸の特徴について簡単に解説する。
韓国の箸
典型的な韓国の箸は平くて銅や銀やアルミでできている。長さはだいたい23-25cmである。
日本の箸より長く、中国の箸より短い。金属でできているのでなんとなく使い勝手が悪いイメージだ。
韓国の箸はどうしてこの様な形になったのだろうか?
3つの理由を取り上げよう。
①金属の箸を使って食事をするとエレガント?
金属の箸を使うと、ご飯を食べるスピードがゆっくりになり優雅な感じを醸し出せるという。
確かに金属の箸を使えば子供もご飯をガッつきにくい。子供にマナーを教える面でも良いかもしれない。
②金属の箸が毒味してくれる
韓国人はキムチを作る習慣がある。しかも容器の中に野菜を丸ごと入れる。
金属の箸を使えば、変色するかなどを見ることによってキムチに毒が入っていないか確認することができるという。
③一番実際的な理由。洗いやすく衛生的
韓国の食文化はスープを中心としている。そして一緒にキムチなどを食べる。そのせいで箸がすぐに油っぽくなってしまい、竹や木の箸を使うと洗う時に不便だという。
金属の箸は味が残りにくく何種類もおかずを食べる時に便利で、実はとても日用的なのだ。
金属の箸は初め富裕層のみが使っており、一般家庭では陶器の箸が使われていたという。
日本の箸
日本では、箸を使ってやってはいけないことが25種類もあるという。
和食を食べる時は特に箸を使う技術が問われる。魚の骨をきれいに分けて食べることができるのも日本人の特徴ではないだろうか。
日本の箸は先が尖っており、上が広く下にいくにつれて細くなり、長さも中国や韓国の箸に比べて短い。
それは日本の食習慣に関係がある。
日本人は食事の時におかずを一人分それぞれの目の前におく。中国や韓国のように大皿を机にドンと置いて、それをみんなでとって食べるということが少なかった。
つまり箸が長い必要がなかったのである。
日式の標準的な箸は、江戸時代からすでに男女の区別があったようである。男性は23cm、女性は21.5cmとなっている。
これは当時の男女身長と手の大きさから弾き出された長さだという。
中国の箸
原始時代の箸は2本の枝で、鍋の中で煮えているおかずをすくうために使われていた。
明の時代、経済の発展に伴い多くの外来食材が取引される様になり、箸もそれに合わせて進化して丸く改良された。丸い箸は持ったとき手にすんなり馴染み、力を入れやすい。
中国人は特に「食事=家族団欒」の傾向が強い。テーブルの上に大皿のおかずをいくつも並べて一緒に食べる。
自分に近いおかずも遠いおかずも食べやすい様に、箸は三国の中で一番長く24-26cmである。
中国では木や竹の箸がよく使われる。だが台湾の南では木の箸はあまり見られずプラスチックやアルミが多い。筆者が思うに湿気がすごいのでカビてしまうからであると思う。
今回は、隣国三国の箸事情について調べてみたが、それぞれの文化で最も使いやすいように進化してきたようである。
箸の観点から、それぞれの文化を知るのも面白いかもしれない。
この記事へのコメントはありません。