「ドッペルゲンガー」
みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
テレビや小説や友人との会話など、どこかしらで聞いたことがあるのではと思います。
死の前兆と称されもする『もう一人の自分』
実際のドッペルゲンガーとは、一体どういったものなのでしょうか。
ドッペルゲンガー の語源と現象
「ドッペルゲンガー」とは、ドイツ語だそうです。
『Doppelganger』と綴り、
「重なって歩く者」「二重身」などの意味になります。
そもそもの語源は、『Doppel』。
「二重」や「生き写し」を意味する言葉で、英語でいうところの「double」(ダブル)。
生き写し、などを意味する言葉が元の語源となっていますが、「ドッペルゲンガー」となると、よく似た他人や双子を意味するものではなく、あくまで自分自身の「分身」となるようです。
もう一人の自分自身が目の前に現れる。または、同時刻に自分がいるのとは別の場所で他人に目撃される。
そういった現実的には信じ難い現象であることから、心霊現象や超常現象と考えられています。
また医学においては、『自己像幻視』という「自分の姿を見る症状」として説明されたりもしています。しかしそれだけでは、他人がその人の分身を見ることへの説明がつきません。
故に医学的な説明だけでは、ドッペルゲンガーの現象を解明するのは難しいようです。
ドッペルゲンガーの特性
ドッペルゲンガーには、『共通点』があるといわれています。
・自分自身に関係のある場所にしか現れない。
・周りの人と会話をしない。
また、自分のドッペルゲンガーを見た者は「近いうちに死ぬ」とも言われ、『死の前兆』『不吉の象徴』と捉えられたりもしています。
実際に己のドッペルゲンガーを目撃し(それが原因かどうかは別としても)死に至ったと言われる人々がいます。
有名な人たちを何人かを紹介していきます。
自分のドッペルゲンガーを目撃し、亡くなった人々
エイブラハム・リンカーン
弁護士であり、アメリカ16代大統領であるリンカーン。
彼は鏡越しに、死んだ自分のドッペルゲンガーを目撃したと伝えられています。
リンカーンは自身が暗殺される夢を見たことでも有名で、暗殺される当日にも、自分の暗殺の噂がないか確認したといわれています。
芥川龍之介
『羅生門』や『蜘蛛の糸』などを執筆した日本の文豪・芥川龍之介。
遺作である『歯車』の内容から「晩年に自分のドッペルゲンガーを目撃していたのではないか」といわれています。
作中には、服毒自殺を図った芥川を追い詰めていった不気味な幻視や妄想などが描かれています。
エリザベス一世
イギリスの王女・エリザベス一世。
彼女も死の間際、自分のドッペルゲンガーを目撃したそうです。
「幽霊のような自分の分身を見た」と側近に話したといわれています。
ベッドに横たわる自分のドッペルゲンガーを目撃した後、エリザベス一世は亡くなりました。
モーパッサン
フランスの文豪、ギ・ド・モーパッサン。
彼は「作品をドッペルゲンガーに教えてもらった」と言っています。
モーパッサンの部屋に突如現れた自分のドッペルゲンガーは、執筆中であった彼にその物語の続きを話しだしたそうです。
後日、現れた己の分身が悲しみに暮れる姿を見た彼は、精神病院に入院してから一年後に亡くなりました。
なぜドッペルゲンガーは現れるのか
上記で紹介した事例の他にも、たくさんのドッペルゲンガーがいます。
ゲーテは自分のドッペルゲンガーだけではなく、友人の分身をも目撃していますし、フランスの教師エミリー・サジェは、授業中に自分のドッペルゲンガーが現れ、生徒達によれば、彼女は自分の分身と共に授業をしたそうです。
ではドッペルゲンガーは、なぜ現れるのでしょうか? そしてその正体とは何なのでしょうか。
立証されてはいませんが、様々な説が語られています。
・己の幻覚を見る『精神疾患説』
・幽霊や幽体離脱、臨死体験のような『心霊現象・超常現象説』
・側頭頭頂接合部の腫瘍のより、自身の感覚が離れたように感じてしまう『脳疾患説』
・年老いた自分のドッペルゲンガーの目撃談による『未来の自分説』
・異次元に存在する自分を目撃したとされる『パラレルワールド説』
などがあります。
ドッペルゲンガーは、医学的にも、スピリチュアル的にも定義が難しい事例なのです。
関連文書 : 見てしまう人びと:幻覚の脳科学
この記事へのコメントはありません。