海外

【900円で買った胸像が4億6000万円に】 倉庫のドアストッパーにされていた名作胸像

スコットランドの町インバーゴードンで、ある倉庫で眠っていた胸像が、18世紀のフランス人彫刻家エドム・ブーシャルドンの作品と認定され、250万ポンド(約4億6000万円)の価値があると判明し、話題になっている。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Haykoff Gallery(@haykoffgallery)がシェアした投稿

この胸像は、1930年にわずか5ポンド(約900円)で購入されたが、現在は250万ポンド(約4億6000万円)の価値があるという。

しかも、発見時には倉庫でドアを開けたまま固定するための「ドアストッパー」になっていたというのだから、驚きだ。

2023年11月現在、インバーゴードン市議会では、胸像の売却の是非を巡って、議論が続いている。

この胸像は、インバーゴードンにとって大きな財産であり課題でもあるため、今後どのような決断が下されるのかが注目されている。

胸像発見の経緯

胸像は、25年前にインバーゴードンの倉庫で発見された。

当時、倉庫で捜し物をしていた元町議会議員の女性が発見したが、ちょうど良い大きさと重さだったため、倉庫のドアストッパーとして使われていた。

胸像の価値

胸像の価値が判明したのは、2018年のことである。

インバーゴードン市議会が、美術鑑定家の鑑定を依頼したところ、胸像はエドム・ブーシャルドンの作品であると認定され、その価値が140万(のちに250万)ポンドにのぼることが明らかになった。

画像 : 胸像を制作したエドム・ブーシャルドン CC BY-SA 4.0 Deed

これは、ブーシャルドン作品としては、史上最高額の値段である。
胸像の価値を高めた要因のひとつは、作者であるエドム・ブーシャルドンの価値である。

胸像の作者であるブーシャルドンは、バロック彫刻の巨匠として知られるフランスの彫刻家として知られており、その作品は世界中の美術館に所蔵されており、高額で取引されることが多い。

胸像の価値を高めたその他の要因としては、モデルであるジョン・ゴードン卿の価値や、18世紀に制作されたにもかかわらず、状態が良好だったことにある。

胸像は大理石製で、顔立ちや衣装などの細部まで精巧に表現されているという。

胸像の今後の行方

今後、胸像は売却されるのか、公共の場に展示されるのかについてはまだ決まっておらず、協議に委ねられている。

この胸像が売却される場合、インバーゴードン市の財政状況を改善する絶好の機会となる。インバーゴードンには社会的に恵まれない地域があり、必要とされている地域プロジェクトの資金調達に役立てることができる。

胸像は新たなオーナーのコレクションに加わり、一般の目に触れる機会が少なくなってしまうだろうが、明らかにされていない購入希望者の提案により、レプリカが展示されることになるかもしれない。

しかし一方で、この胸像がスコットランド国外の人に購入されることを望まない勢力もあり、インバーゴードンにとって貴重な文化財を失うことへの懸念も広がっている。これらの人々は「胸像を博物館や美術館に貸出してはどうか」と考えているようだ。

公共の場に展示される場合、胸像の歴史や芸術的価値をより多くの人々に知ってもらう機会にもなる。しかし、その資金は美術館や博物館の運営などに充てられ、インバーゴードンにとってのメリットはほとんど見込めない。

また、胸像を保管する場合、高額な保管費用や修復費用を支払う必要があり、恵まれない地域を救うためのプロジェクトにあてる資金を調達するどころか、負担が増えることになる。

そのため胸像の所有権を持つハイランド評議会は、この売却について住民相談を行うことを可決し、胸像の売却の是非を巡って議論が続いている。

この彫刻の売却の可能性について住民相談を行うことは、2015年の「コミュニティエンパワメント(スコットランド)法」に基づいて義務付けられており、少なくとも8週間は公開協議が行われることになる。

さいごに

このエドメ・ブシャルドンの彫刻(胸像)が、約250万ポンド(約4億6000万円)もの評価を受けていることは冒頭でお伝えした。

胸像の所有権が調査された時、1930年にキンディアースでオークションにかけられ、市議会が5ポンドで購入したことを示す書類が発見された。

なぜ5ポンドという安い金額で売り出されたのか、不思議に思う方も多いのではないだろうか?

筆者の考察で申し訳ないのだが、次のようなことが原因だったのではなかったかと考えられる。

胸像が落札された1930年はちょうど世界恐慌の時期であり、失業率の増加や景気の後退が進み世界全体の景気が冷え込んでいた。

そのような状況だったので、当時の所有者であったゴードン家の誰かがオークションに出品したのではないだろうか。

 

  • Xをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。
アバター画像

lolonao

投稿者の記事一覧

フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
antiX Linuxを愛用中。頻繁に起こる日常のトラブルに奮闘中。二女の父だがフィリピン人妻とは別居中。趣味はプチDIYとAIや暗号資産、マイクロコントローラを含むIT業界ワッチング。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

草の実堂Audio で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 【迫る都知事選】今こそオルテガの『大衆の反逆』を読む 「多数決は…
  2. オ・ウニョン医師の韓国での活躍 「韓国のカリスマ女医 ~精神医学…
  3. 【ギネス世界記録】40年間で69人の子を出産したロシア妻 バレン…
  4. 日本人にはあまり馴染みのない「中国の数字にまつわる面白い迷信」
  5. 【世界最年少の母親】5歳で出産したリナ・メディア「父親は今も不明…
  6. 条約に見る北方領土・プーチン外交でロシアの勝利か?
  7. 異文化社会の立役者 マレーシアのペナン島 【4つの宗教が混在する…
  8. カラカウア国王について調べてみた【幻のハワイ,アジア連合】

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

オーストラリアの真夏のクリスマスはどう過ごしているのか? 「クリスマス・イン・ジュライ」

雪が降り頻るなか、トナカイが引くソリに乗ったサンタクロースがプレゼントを届けに街にやってくる…

『顔認識で人を追跡し殺傷するAIドローン』 たった数時間で作成可能

遊びで作ったはずのAIドローンの危険性に気づく2024年3月2日、アメリカの起業家で技術者の…

【月百姿】 月岡芳年が描いた月の光 「最後の浮世絵師 血みどろ芳年」

月岡芳年(つきおか よしとし)といえば「血みどろ芳年」の異名で知られる通り、残忍な無残絵で名…

戦国時代の火縄銃による暗殺の逸話 「信長を狙った杉谷善住坊、宇喜多直家の日本初の狙撃暗殺」

「暗殺」は、古来より世界中で多く行われてきた。日本においても、古くは飛鳥時代に中大兄皇子…

Appleが世界企業に成長した意外な理由とは? スティーブ・ジョブズが学んだ「無駄」な教養

1970年代、コンピュータと人々の距離1970年代、パソコンの画面に表示されるのは、このよう…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP