2019年1月22日現在、トランプ政権は歴史上最長となる政府閉鎖を受けています。
その影響は国立公園、博物館、果てにはホワイトハウスにまで出ていることは皆さんもニュースを通してご存じのことかと思います。最近では、ホワイトハウスのシェフが政府閉鎖により、出勤しておらず、大統領が自腹でハンバーガー300個を調達したと話題になっています(個人的には格式ばった食事よりそっちの方がいいですが)。
しかし、日本にいると政府閉鎖と言葉はピンとこない方も多いのではないでしょうか?
実際に私も生まれてこの方ずっと日本にいますが、日本政府が閉鎖されたという記憶がありません。恐らく政府閉鎖という言葉は知っていても、それが何を意味するのかを知っている人が意外に少ないのではないかと思います。
今回は、政府閉鎖に関して解説します。
政府閉鎖 とは予算が決まらないという事
まずアメリカにおいて政府閉鎖というのは予算が関わってきます。日本と同様に米国においても予算案は議会において決議されます。
日本は議院内閣制のため、内閣が出した予算案が国会において否決されることはあまりありません。しかし、アメリカにおいて大統領は選挙により選出されます。そのため、上下院に置いて過半数を握っている政党と大統領が所属する政党が異なり、予算に関してもスムーズに通らないことがあります。
典型的なケースとしては大統領が主張する政策に反対するために議会が予算案を通さないケースがありますが、大統領が政府閉鎖を引き起こすケースもあります。アメリカでは、議会が通した予算案も法案も大統領が署名をすることで効力が生じます。日本でも国会での法案成立後に署名を行いますが、アメリカの大統領は署名を拒否し、予算案や法案を廃案に出来るのです。
今回の政府閉鎖は
2018年8月、上院は国防総省、労働省、教育省、健康保健省向けの予算案を承認しました。また9月には他の政府機関向けの2018年12月7日まで適用される短期の予算案を通しました。
この短期の予算案には、トランプ大統領がかねてから主張しているメキシコとの国境に設置する壁の建設費も含まれていましたが、あくまで短期の臨時予算、本格的な予算の成立はまだでした。その後、この短期の予算案は12月21日まで適用されると改められました。これは民主党・共和党間の予算案に関する協議が難航していたからです。民主党は壁の建設費用抜きの国境警備予算案を提案しました。
そして去年12月、トランプ大統領は壁建設の予算が含まれていない予算案が通った場合に政府閉鎖をすると警告しました。
トランプ氏はその後、民主党と交渉する姿勢を示していましたが、その後方針転換、現行予算案の適用期間を2019年の2月までにする上院が承認した延長案への署名を拒否することを表明しました。そして下院においては現在すでに設置されている国境沿いのフェンス(壁ではない)を維持するための費用を含む予算案を通しました。
しかしこれではトランプ氏が望んでいた壁の費用は得られません。その後も議会幹部を中心に再交渉の動きもありましたが、その努力は実らず、政府閉鎖となったのです。
全ての期間が閉鎖になっているわけじゃない
今回の政府閉鎖では全ての政府機関が閉鎖されたわけではありません。すでに議会で関連する予算案が通った政府機関に関しては稼働しております。
また一つの政府機関内でも閉鎖の影響を受けている職員と受けていない職員がいるようです。しかしそうはいっても政府機関が一部閉鎖になることはアメリカ市民の生活、そして経済に大きな影響を及ぼす問題であることには間違いありません。
次回以降、この政府閉鎖がアメリカ社会にどのような影響を及ぼすのかを書いていきます。
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