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「パンの歴史」について調べてみた 【日本にパンが伝わったのは戦国時代】

「パンの歴史」について調べてみた

「昔パンを焼いたのは6千年も前のこと 小麦を捏ね上げて、捏ね上げて♪」

と小学生の時のお昼の校内放送で何度となく聞いたこの歌のために

パンって歴史が古いんだなあ」と思ってはいました。

パンは、いつだれが日本に伝えたのか?昨今人気の高級食パンが生まれた経緯は?

などなど気になるので、その歴史について解説いたします。

世界のパンの歴史

パンの始まりは古代メソポタミア

B.C.6000~4000年ごろの古代メソポタミアで、小麦を水でこねて焼いたものがパンの原形とされています。

これは現代の中央アジアで食べられているナンに近いものでした。

発酵パンの起源は古代エジプトで偶然に!

B.C.4000~3000年ごろ、小麦栽培とパン作りは古代エジプトに伝わります。

エジプトでは余ったパン種を放置したものに偶然に空気中の酵母菌がついて自然発酵し、膨らみました。これを試しに焼いてみたら美味しかった!というのが酵母を使った現代のパンの始まりです。

天然酵母パンの始まりです。

葡萄酒作りの技術を生かしたパン製造を行ったギリシャ

B.C.500~400年ごろ、ギリシャがエジプトを占領します。穀物の輸入と共にパンの製法がギリシャに伝わりました。

ブドウの産地でワイン造りが盛んだったギリシャでは、酵母の培養技術が発達していたために安定したパンの生産に成功します。

またバターや牛乳、果実を加えたリッチなパンも作られ始めます。

パンの大量生産、古代ローマ

「パンの歴史」について調べてみた

ポンペイで出土したパン wiki(c)User:Beatrice

B.C.300年ローマがギリシャを征服し、ギリシャ人奴隷によってローマでパン作りが広まります。

職人ギルドの結成がされ、パン学校が設立され、パン専用の焼き窯も発明されます。

ローマ軍の行軍に持ち運びが便利となる兵士用のパンも開発され、ローマ帝国の繁栄と共にパン文化もヨーロッパに広く広まります。

キリスト教と共に広まったパン

ローマ帝国滅亡後、中世ヨーロッパではキリスト教に保護されたパン作りがヨーロッパ全土に広まります。

パンは協会から保護を受けましたが、製粉とパンを焼く権利は協会と修道院だけにあったために、市民は料金を払ってパン焼き窯を借りて、まとめてパンを焼きました。

ルネッサンス

16世紀、イタリアで始まったルネッサンス文化が花開くと共にパンは広く世の中に広まり、一般家庭でも作られるようになりました。

ルイ13世の母がイタリアからフランスのアンリ4世に嫁ぐときにパン職人を連れてきたため、フランスにパンの歴史が始まります。

オーストリアのマリーアントワネットはフランス国王ルイ16世に嫁ぐ際に、クロワッサンやブリオッシュの技術をフランスに伝えました。

同時期にドイツではライムギを使ったパンが、イギリスでは大型の固焼きパンなど、各国独自のパンが生まれていきます。

国家的規模で代表されるパン、ナショナルブレッドの原型が作られ始めます。

大航海時代

15~17世紀、大航海時代にヨーロッパから世界中にパンが広まります。

微生物の発見

1674年、オランダで顕微鏡によって微生物が発見されされます。
1861年、細菌学者のパスツールにより微生物の力で発酵が行われていると発表されます。

18世紀

「パンの歴史」について調べてみた

white bread wiki(c)Rainer Zenz

イギリスでホワイトブレッドが誕生します。のちの日本の食パンの原型となります。

19世紀

1854年、アメリカできめの細かい高品質な小麦粉(パテント・フラワー)を作れる製粉機が発明されます。

フランスでバゲットやバタールなどのフランスパンが完成します。

20世紀

19世紀後半~20世紀前半にかけてドイツで生活改善運動が起り、ライムギパンや全粒粉のパンの伝統が守られ、今日に至ります。

20世紀前半、フランスでクロワッサンが誕生。

20世紀中ごろ、アメリカでロールパンが誕生します。

日本のパンの歴史

日本にパンを伝わったのは戦国時代

「パンの歴史」について調べてみた

日本に来たポルトガルからの代表的な宣教師、ザビエル

1543年、ポルトガルの宣教師によって、鉄砲伝来と共に西洋文化が日本に伝えられます。

パンはその時に日本に伝わりました。

パンの語源はポルトガル語の「pao」であると言われています。

鎖国時代

江戸幕府の鎖国政策によってパン作りは禁止になります。

諸外国との窓口であった長崎の出島で、細々と焼かれるのみになります。

初の国産パン

江戸時代後期、イギリスと中国のアヘン戦争が始まります。

イギリスが日本に攻めてきた時のために、戦地で火をおこし、煙を出すことなく食べられ、携帯に便利なパンが注目を浴びます。

1842年、幕府の命令により伊豆韮山の代官・江川太郎左衛門が自宅にパン窯焼き窯を作り、長崎からパン職人を呼び寄せて乾パンのようなものを作りました。

これが日本人のために作られた国産初のパンと言われています。

国産パンの第1号の試作が焼かれたこの1842年4月12日を記念して、毎月12日は「パンの日」とされています。

文明開化ともに庶民の味へ

幕末から明治にかけて、東京・横浜・神戸などに外国人向けのホテルが増えました。幕末には幕府がフランスから軍事支援を受けていたことからフランス人宿泊者が多く、ホテルではフランスパンが多く焼かれました。

その後幕府が倒れ、明治政府はイギリスから支援を受けたことで、ホテルでもイギリス風の山型パンが焼かれることが主流となりました。

「パンの歴史」について調べてみた

焼きたての山型パン(イギリスパン)※写真AC ohsaka

皮の硬いフランスパンよりも、ご飯になれた日本人にはイギリスパンの方が嗜好に合い、イギリスパンが普及し始めます。

日本発祥のパンが誕生

日本初のパン屋さん

横浜でイギリス人のロバート・クラークさんが開いた「横浜ベーカリー宇千喜商店」がパン屋の始まりです。

その後見習いとして働いていた打木さんが受け継ぎ「ウチキパン」として、今でも横浜の元町で営業しています。

https://www.instagram.com/p/BTv7EODB73P/

ちなみにこのロバート・クラークさんの息子、エドワード・クラークさんは日本ラグビー発祥の慶応大学ラグビー部を指導し、日本にラグビーを伝えた人物の一人として有名です。

日本人好みのパン「あんぱん」の誕生

木村安兵衛

倒幕と共に失業の憂き目にあった武士が当時沢山生まれました。その中に木村安兵衛がいます。

明治政府の軍隊の下級武士はそれ以前に食べていた麦飯と異なり、支給される白米を食べたことによってビタミンB1不足に陥って脚気になる人が増えました。居留地のドイツ人病院に入院させられた兵士は、ビタミンB1が豊富なミルクとパンのおかけで脚気が改善され、パンは脚気の薬という認識となりました。

銀座木村屋を創業した木村安兵衛は日本人好みの酒種を使ったパン生地を開発。その生地であんを包んで焼いた「あんぱん」は大ヒットしました。アンパンは明治天皇からも太鼓判を押されました。

日本でも主食なったパン食

「パンの歴史」について調べてみた

コッペパン 写真ac Greentea

1945年の終戦後、食糧難の時代、アメリカからの輸入小麦を使ったコッペパンの学校給食が始まりました。

当時アメリカには大量の余剰小麦を抱えていました。給食用の小麦に関してはタダで供給されましたが、給食内容については施行細則がありました。

「給食内容はパン(これに準ずる小麦粉製品などを含む)、ミルク、およびおかず」

これにより毎週5回のパンとミルクとおかずによって、子供たちは飢えから救われました。

この余剰小麦を日本に無償で提供したアメリカ政府の意図とは、米食の日本人の食事を小麦食に変えて、将来アメリカの小麦のお得意様にすることでした。

昨今の日本人1人当たりの米の消費量は60㎏、1960年のころに比べて半分以下の消費となり、アメリカ政府の壮大な実験は成功したと言えるでしょう。

近代のパン事情

1955年

全国に大きなパン工場が次々と建設せれ、パンの生産量は戦前の6倍以上になりました。
1964年東京オリンピックをきっかけに食生活は洋風化。デニッシュペストリーなども登場します。

1980年代

冷凍パン生地の技術が発達し、フレッシュベーカリーのチェーン店化がされます。

1990年以降

コンビニエンスストアの急増により、いつでも手軽に多種多彩なパンを購入できるようになりました。
情報網が拡大し、ご当地パンや食パンやコッペパンなどの専門店が人気となるパンブームが到来します。

2011年に総務省が行った家計調査では、パンの購入額が初めてお米を上回りました。

現在では製パン技術の進歩により国産小麦を使った高品質なパンや、ヘルシー志向の全粒粉や米粉のパンなども商品化され、海外からも日本のパンが注目されています。

日本発祥のオリジナルパン

あんぱん

前述した1869年開業したベーカリー木村屋総本店で、1995年に発売されたのが始まりです。

ジャムパン

「パンの歴史」について調べてみた

ジャムパン 写真ac HiC

日露戦争当時、ジャム入りのビスケットを陸軍に納めていた木村屋の三代目主人木村儀四郎が、これに用いていた杏ジャムをパンに活用したいと1900年にジャムパンを発売。あんぱんと区別するために木の葉型に作られたのが今に至っています。

当時のジャムパンは杏ジャムが主流。イチゴが日本で栽培されるようになったのは大正時代からで、イチゴジャムが一般的になったのは昭和20年代後半です。

カレーパン

明治10年創業の名花堂(現カトレア)の2代目社長が、昭和2年に実用新案登録した洋食パンが元祖とされています。

クリームパン

1904年「新宿中村屋」の創業者の相馬愛蔵が、初めて食べたシュークリームに感動してパンに応用したのが始まりとされます。

メロンパン

1910年に帝国ホテルの大倉喜八良が満州のホテルから引き抜いた、アルメニア人のパン職人がフランスのガレットをもとに発明したのが元祖とされています。

最近はやりの高級食パンの発祥地は?

粉もん愛の大阪が発祥です。

関西で高級食パンの先駆けとなったのは、大阪・上本町に1号店をオープンした「高級『生』食パン専門店 乃が美」です。1本(2斤)864円で販売。全国111店舗展開しています。

現在では行列ができるほど人気の高級食パン店が続々と出店。人気の店とパンを一部ご紹介します。

俺のBakery&Café 銀座の食パン~夢~ 900円(2斤)
嵜本 極生 ミルクバター 950円(2斤)
銀座に志かわ 水にこだわる高級食パン 864円(2斤)
高匠 湯種食パンTokyoRich 850円(2斤)
乃が美 高級「生」食パン 864円(2斤)
一本堂 日本の食パン 360円(1斤)
食パン道 ゆたか 380円(1斤)
LA・PAN 高級クリーミー 生食パン(Lサイズ) 880円(2斤)

またセブンイレブンでも高級食パンに近いものが販売されています。

セブンプレミアムゴールド もっちり食感 金の食パン 149円(厚切り2枚)

 

今回はパンの歴史を見てみましたが、こうした経緯も理解するとパンがより一層美味しく味わえそうですね。

素敵なパンライフを楽しんでください。

 

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猫田茶々丸

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