9月21日未明、UEFAヨーロッパ・リーグ(EL)の開幕戦がヨーロッパ各地で行われました。
三笘が所属するブライトンは、ホームでAEKアテネを迎えました。
三笘も先発した試合でしたが、残念ながらブライトンは2−3で破れています。
今回の記事では、ブライトンのEL初陣となった試合を振り返りたいと思います。
キャプテンのダンクがベンチ外
まずはブライトンの先発メンバーを見ていきましょう。
GKはスティール。
DFは左から、エストゥピニャン、ファンヘッケ、イゴール、ミルナー。
イゴールはブライトンに移籍後、初出場、初スタメンです。
中盤の底は、グロス、ギルモア。
前線は左から三笘、ファティ、マーチ。
ワントップにペドロです。
驚いたのが、キャプテンであるルイス・ダンクの名前がなかったことです。SNSの情報を集めると、ベンチ外の理由は怪我のようです。
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今回のEL開幕戦に向けて、監督のデゼルビは万全の準備を整えてきました。
9月16日に行われたプレミアリーグ第5節のマンチェスター・ユナイテッド戦で、デゼルビはソリー・マーチとエストゥピニャンをベンチ外としました。チームの核である2人を外した理由は、EL開幕戦に向けての温存だったと思われます。
それにも関わらず、ブライトンは試合を支配します。
マンチェスター・ユナイテッドを3−1で粉砕。三笘も勝利に貢献しています。
主力を温存しつつも、ビッグクラブを倒して勢いに乗るブライトンは、万全の体制でEL開幕戦に臨めるはずでした。
しかしルイス・ダンクの欠場によって、デゼルビの計算が大きく狂ってしまいます。
同じセンターバックのウェブスターは、先日のウェストハム戦で力不足を露呈。そうなると、ダンクの代役はイゴールになりますが、いまだにイゴールは公式戦に1試合も出場していません。
デゼルビからすると、ダンクの怪我は大きな誤算だったと思います。以前の記事でブライトンの懸念事項は、センターバックと指摘しましたが、早くも課題に直面することになってしまいました。
試合が始まると、やはり2人のセンターバック(ファンヘッケとイゴール)は、不安定なプレーを見せます。
ダンクは自分の仕事だけではなく、仲間に適切な指示を送る司令官タイプのディフェンダーでもあります。ファンヘッケとイゴールはどちらも司令官タイプではないため、自信を失ったようなプレーが散見されました。
3失点の内、2失点はセットプレーから。最後の3失点目は、簡単なロングボールの処理ミスから、ファンヘッケが最後振り切られてしまいました。
マンチェスター・ユナイテッド戦では、相手エースのラッシュフォードに食らいついたファンヘッケですが、やはりもう1人の相棒の質に左右される選手かもしれません。
ブライトンのオーナーであるトニー・ブルームは「冬(1月)にビジネスはしない」と言っていましたが、個人的には来年1月の補強で、センターバックを早急に補強すべきだと思います。
「同サイド圧縮」を徹底したAEKアテネ
以前の記事で「ブライトンはカウンターに弱い」という話をしました。対戦相手のAEKアテネは、見事なまでにブライトンの弱点を突いてきました。
簡単な図を使って説明したいと思います。青がブライトンの選手、赤がAEKアテネの選手です。
まずAEKアテネは、GKからビルドアップされるパスコースを限定してきました。
ブライトンのセンターバック、またはボランチを徹底的にマークし、パスを出させないようパスコースを塞いだのです。
パスコースを塞がれたGK、センターバックはサイドにボールを散らします。
するとAEKアテネの選手は、サイドでボールを持つ選手を一気に囲みます。
サイドに追い込まれたブライトンの選手は、プレーの選択肢が限定されてしまいます。フィールド中央でボールを持っていた場合、パスとドリブルの選択肢(方向)は360度ありますが、サイドに追い込まれた場合は180度、つまり半分の選択肢に限定されてしまうのです。
選択肢を失ったブライトンの選手はボールを失い、カウンターに繋げられてしまいます。
AEKアテネが採用した戦術を「同サイド圧縮」と言います。まさにブライトンの天敵です。
この試合では、右サイドに位置したマーチのボールロストは18回を重ねました。出場選手のなかで最も多く、また左サイドの三笘も14回を記録しています。ハイライト見ていただくと3失点目は、相手選手に囲まれた三笘のボールロストからでした。
これから対戦チームは「同サイド圧縮」を徹底してくるでしょうから、ブライトンも対策をしなければなりません。
当然、デゼルビも分かっていると思います。
日曜日には早くもリーグ戦
悔しい敗戦を期したブライトンですが、休む間もなくプレミアリーグ第6節(対ボーンマス)が24日(日)に行われます。
28日(木)にはカラバオカップ3回戦(対チェルシー)、30日(土)にはプレミアリーグ第7節(対アストンヴィラ)があり、怒涛のスケジュールが待ち構えています。
ハードな日程をどのような乗り切っていくのか、デゼルビの手腕に注目したいと思います。
参考文献:Leo the football、木崎 伸也(2023)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』KADOKAWA
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