バングラデシュのジョソール県シャムラガチ村に住む20歳の女性、アリファ・スルタナは、2019年2月25日に男児を出産した。
そして、わずか26日後の2019年3月22日に、双子を出産するという驚くべき体験をしている。
通常に見えた最初の男児出産
アリファは2018年の中頃に、一人目の妊娠が発覚した。
彼女と夫はこのニュースを喜び、家族や友人たちも祝福した。
アリファの健康状態は良好で、妊娠中期にはつわりや疲労を感じることがあったが、全体的には安定した経過を辿り、胎児の成長も順調であった。
2019年2月25日早朝に陣痛が始まり、夫が彼女を病院まで車で連れて行き、立会いのもと、14時30分、アリファは男児を自然分娩で無事に出産した。
赤ちゃんの元気な泣き声が病室に響き渡り、アリファと夫は涙を浮かべて喜びを分かち合ったという。
医師たちは赤ちゃんの健康状態をチェックし、すべてが正常であることを確認した。
アリファは数日間を病院で過ごし、退院後、自宅に戻ったアリファは、夫と生まれたばかりの息子との3人の新しい生活をスタートさせた。
2つ目の子宮の発見と、双子妊娠が発覚
ところが、アリファはある日からしばしば下腹部に痛みを感じるようになり、体調不良を訴えることが増えた。
とくに食後や夜間に痛みが強くなり、日常生活に支障をきたすほどであった。
アリファは当初、産後のホルモンバランスの乱れが原因かと思ったが、痛みは次第に強くなり、頻度も増していったという。
そして、その痛みが数週間前に経験した陣痛と似ていることに気づき、別の病院で精密検査を受けることになった。
その結果、なんと再び妊娠していることが発覚したのである。
医師はアリファの状況をさらに詳しく調べるため、超音波検査を行った。
すると、彼女は体内に子宮が2つ存在する「子宮重複症」であることが明らかになった。
2月25日に出産した男児が宿っていた子宮とは違う、もう一つの子宮に双子の胎児を妊娠していたのだ。
つまり、2つの子宮で、それぞれ異なるペースで胎児が成長していたことになる。
子宮重複症は稀な症状で、一般的には女性の約0.1%から0.5%に見られるとされている。
しかし、2つそれぞれの子宮で同時に妊娠していたケースは極めて稀で、世界でも報告例はなかった。
アリファを診察したダッカのアディン病院の産婦人科医、シーラ・ポダール医師は、以下のようにコメントしている。
「私たちは非常にショックを受け、驚きました。
このような症例は、これまで見たことがありません。
また、アリファさんはこれまでとても貧しく、超音波検査を受けたことがなかったため、体内に子宮が2つあることを知ることができなかったのです。」
医療チームは、早産や合併症の可能性を鑑みて、定期的な検査を行うことにした。
アリファは短期間での2回の妊娠の影響で、腹部の膨張感や痛みが増したため、医師たちは鎮痛剤を処方することもあったという。
初産から26日後に、双子の男女を無事出産
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2019年3月下旬、医療チームはアリファの出産に向けて準備を進めた。
彼女の身体と胎児の命を考慮して、計画的な帝王切開を行うことになり、手術日は3月22日に決定した。
出産当日、アリファと医療チームは万全の体制で帝王切開手術に臨み、彼女の2つ目の子宮から「双子の男女の胎児」を無事に取り出すことに成功した。
第一子は午前10時15分に、第二子は午前10時20分に誕生。
どちらの赤ちゃんも健康で、アリファも夫も医療チームもこの成功に大いに喜び、心から安堵したという。
先の男児が誕生してから、わずか26日後のことであった。
アリファと夫は、誕生日がわずか26日違いの3人の子どもの親になったのである。
しかし、アリファは「子どもたちには満足しているが、経済状況が心配です」と語り、夫は「労働者として月に6,000タカ(約7800円)未満の収入だが、ベストを尽くします」とコメントしている。
アリファの啓蒙活動
アリファのケースは、子宮重複症の女性がどのように妊娠し、出産するかについての新たな知見を提供した。
シンガポールのGynaeMDクリニックのクリストファー医師は今回のケースについて、「卵巣から一度に3つの卵子が排出され、2つの子宮で同時に受精した可能性が高い」と述べている。
アリファ自身は今回の貴重な経験を活かし、同じような状況にある女性たちへのサポートを行い、多くの人々を支援したいと考えているという。
参考 :
Woman gives birth to twins one month after having premature baby boy | The Standard
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