福岡の八女にある、地域密着型天文台「星の文化館天文台」。
プラネタリウムは当たり前。
なんと宿泊もできちゃう!
「星と泊まれる天文台」というキャッチコピーもなかなか粋ではないですか。
ツーリングで行ってみたいけど、九州はちと遠いなぁ。
まぁ機会があれば絶対行くので、待っておれよ。
‥ということで、この天文台が2019年5月13日につぶやいたツイート「空に浮かぶ怪しい光の正体は?」、これがなかなか面白いのです。
「UFO見た!」ハイ、冷静に
空に怪しげに光る光、妙に明るかったり大きく見えたり、妙な動きをしているとか、昼間でも星のようにはっきり光って見えたりとか。
そうした現象をすぐに「UFOを見た!」と断定する人たちが少なくありません。
いや、多すぎる。
中には「物理学者」を名乗る大学教授さんまで。
UFOというのは”Unidentified Flying Object”の略であり、文字通りならそれは「未確認飛行物体」なわけで、正体不明の飛んでるモノはすべからくUFOであることは間違いありません。
しかし問題は、こうした人々が「未確認」という意味でUFOを使っていない点です。
彼らにとってUFOとは、「宇宙人の乗った宇宙船」以外の何物でもないのです。
「冷静に分析」を手助けする、天文台作成「Yes/No表」
という私の心の叫びが通じたのか、先述したツイートに出てくるYes/NO表がこちらです。
これが分かりやすい!
もしUFOと思しき物体を空に発見したら、あるいは過去に見たものがあったとしたら、この表で辿ってみてください。
それは何だと考えられるのか、が分かります。
面白いのは、この表の行き先の中に「宇宙人の乗った乗り物」という選択肢がない点。
ツイートでも「意味ありげに宇宙人くんが説明に乗り気ですが彼の乗り物はここにはありません…」とにべもない。
注意点を挙げるとすれば、過去の経験(過去のUFO目撃体験の記憶)には、記憶違いが伴う可能性があること。
光の強度、大きさ、動きなどが、驚きの感情と共に誇張されて記憶されることがあることには、注意が必要です。
また、この表にはあまりはっきり書かれてませんが、空に光る点というのは、周囲に対象となるものがないためその距離や大きさがつかみにくいのです。
だから例えば、金星であるにもかかわらず「あの山の上に、100メートル位の物体が‥」
というような目撃談が出来上がるし、自分が動いていると、相手も高速で追いかけてきているかのように見えるなど、動きについても誤解が生じることもあリます。
日本では定着に程遠い「クリティカルシンキング」の考え方
“Critical Thinking”
日本語では「批判的思考」や「批評的思考」と訳されます。
どちらもどうもしっくりきませんが、他に言いようもないのかもしれません。
要は、感情とか自分の主義主張、好み(宇宙人の乗り物はあって当然だ、とか)に流されずに、客観的に情報に接し、多面的にこれを咀嚼する、ということです。
科学者の言う「批判的」とはこういうこと。
ものすごく大事なことなのです。
現象や言説を前に出来る限り調査し、その内容や事実関係に「抜け」が無いかどうか検討する。
このフィルターを通ったものを当面正しいとして受け入れつつ、その後も検討は続ける。
その時の調査や自分の思考自体にも「抜け」の可能性が常にあるからです。
もし何の検討もせずに物事を受け入れてしまうと、それが概念であれ人物であれ、信仰に近いものになってしまう恐れがあります。私たちの心は、先入観や偏見といった誤認の要因に対して常に脆弱であることを忘れてはいけません。
また、ここで言う「批判的態度」とは、決して他人を貶めたり、とんがった性格を売りにするタレント的な姿勢を指すものではありません。
最後に一言‥
「夢」は自然の本当の姿、真実を真摯に求める先にこそあると思います。
参考:『星の文化館』(https://www.hoshinofurusato.jp/constellation/)
文 / 種市孝 校正 / 草の実堂編集部
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