感染症について
新型コロナウイルス感染症等により、医療従事者だけでなく、世間一般でも「感染症」に対しての関心が高まったと感じています。
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖することで様々な症状(発熱、下痢、嘔吐など)を引き起こすことです。つまり、癌のように、体内で悪性の細胞が増殖するような病気と違い、根本的な原因は外からの侵入者(ウイルスや細菌など)となります。
感染症には、大きく分けると「人からうつる感染症」と「人以外からうつる感染症」があり、昨今猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は「人からうつる感染症」になりまね。
「人以外からうつる感染症」は、傷口から感染するという「破傷風」やペットから感染する「狂犬病」「サルモネラ症」などがあります。
「人からうつる感染症」はどのようにして感染するのか?
病原体が体に侵入するには「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の3つのルート(感染経路)があります。
感染症を予防する(病原体の侵入は阻む)ためには、この3つの経路それぞれに対策をしないといけません。
接触感染
病原体が付着した物に触れた手で、手・口・目・鼻などを触ってしまい、それぞれの粘膜から病原体が体内へ侵入します。
感染者の唾液・排泄物・血液などや大勢の人が触れる物(ドアノブ、手すり、エレベーターのボタンなど)に触れる際に注意が必要です。
対策
手袋の着用:感染者の看護や介護(排泄物・嘔吐物の処理)の際には手袋を着用しましょう。使用後の手袋は密閉できる袋に入れて処分し、処置後には手を洗いましょう。
マスクを着用する機会も多いですが、マスクにも病原体が付着している可能性があります。マスクを外したり着用する際にも触れる部分には注意が必要となります。最近ではニュース番組などでも、「耳掛け用のゴム部分を持って外す」などの工夫が紹介されています。手洗い・消毒:食事の前、帰宅時、大勢の人が触れた物に触れた後などのタイミングで手を洗いましょう。
手洗い後、タオルは共用しないように注意が必要です。ペーパータオルなどの使い捨てが良いと言われています。
飛沫感染
飛沫というのは小さな水滴、唾などであり、咳やくしゃみによってこの飛沫が周囲に飛び散ります。
飛び散った飛沫に病原体が含まれていた場合、その飛沫に触れることで、接触感染と同じように粘膜から侵入して感染します。この飛沫が飛び散る距離は1~2m程度と言われており、新型コロナウイルス感染症対策で言われる「ソーシャルディスタンス」とは、「飛沫が飛び散る距離を空ける」という意味です。
対策
咳やくしゃみの際に注意する:所謂「咳エチケット」であり、マスクを着用したり、咳やくしゃみの際にはハンカチなどで口や鼻を押さえるようにしましょう。飛沫が付いたハンカチや口元を押さえた手などから感染する可能性もあるため、後に手を洗うことも必要です。
空気感染
飛沫に付着していた水分が蒸発し、飛沫核という状態になります。病原体が付着した飛沫核を吸い込むことにより感染します。
飛沫と違い、空気の流れで広い範囲に拡散するため、離れていても感染する恐れがあります。
対策
密閉された空間では長時間飛沫核が漂う状態となるため、病原体の付着した飛沫核を排出するために換気をしっかり行いましょう。
ウイルスと最近の違い
「感染症はウイルスや細菌などの病原体が原因」と言われていますが、この「ウイルス」と「細菌」は厳密には全くの別物です。
まず「ウイルス」と「細菌」を比べると「ウイルス」の方が圧倒的に小さいです。
ウイルスはナノの世界(10億分の1メートルの世界)
細菌はミクロの世界(100万分の1メートルの世界)
このように言われています。
また、その組成も別物であり、ウイルスは自分で細胞を持たず他の細胞に入り込んで生きていきますが、細菌は単細胞生物であり、自分で自分の複製を作ること(細胞分裂)が出来ます。
細菌には抗生剤、抗生物質が有効ですが、大きさや仕組みの違うウイルスには抗生物質は効果がないと言われています。
※新型コロナウイルス感染症でワクチン(予防薬)は話題に上がりますが、抗ウイルス剤(治療薬)が話題になりにくいのは、その作成がとても難しいからです。
新型コロナウイルス感染症で「感染症」についての関心が高まっていますが、元々「感染症」とは身近にある存在であり、日頃から、生活習慣としての予防・対策が必要となります。
確かに新型コロナウイルス感染症は怖い病気ですが、新型コロナウイルス感染症以外であっても、「インフルエンザ」「ノロウイルス」「麻しん(はしか)」「溶連菌感染症」「ロタウイルス」…など、生活の身近にある感染症も多いです。
基本的な感染を防ぐ対策は「手洗い・うがい・消毒」、感染させない対策は「マスクの着用など」となりますが、なかには特定の対応が必要な感染症もありますので注意が必要です。
例えば、「ノロウイルス」であれば、感染者の嘔吐物、排泄物が付着した床などは、アルコールではなく「次亜塩素酸ナトリウム」での拭きとり・消毒が必要となります。また「ノロウイルス」は熱に弱いため、排泄物などが付着した衣類・シーツなども85℃以上の熱水で1分以上洗濯することが推奨されていたりします。
このように「感染症」といっても、対応はそれぞれで違います。感染症の応じた予防対策を心掛けていきたいものですね。
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