中国人のソウルフード
中華料理と聞けば一番に思い当たるのは「餃子」ではないだろうか。
餃子は中国人のソウルフードと言っても過言ではない。日本人にとっては「おかず」だが中国人にとっては「主食」である。
お祝い事はもちろん、年越し、家族が集まる行事などの多くの場面で餃子が食べられている。
中国人は主に水餃子を好む。水餃子を大量に作り、残ったら2日目に焼き餃子にして食べる。
タレも皮も自家製である。皮は小麦粉、塩、水を合わせてこねたものだ。作るのは簡単だが広げて丸く整形するのには技が必要である。ちなみに筆者は何度となく教わったが未だに習得できていない。
それぞれの家庭でそれぞれの作り方があり具もさまざまだ。
筆者が食べたことのある変わり種の餃子の中には、羊肉の餃子、人参の餃子がある。
羊肉は独特の臭みがあることから日本人にはあまり好まなれない。しかし実際は新鮮な羊肉はとても美味しい。餃子にしても臭みはほとんどなく美味しく食べる事ができる。
中国では多くの家庭で母親から子供達へ餃子作りは受け継がれている。男性も餃子を作ることができるから驚きである。
フォーチュン餃子
中国最大の祝日「春節」つまり日本で言う年越しには、餃子が振る舞われる。
一般的に家族が多いため一家の母親は徹夜して餃子を包む。そしてその中のいくつかにコインを仕込む。それを食べた人は今年一年いいことがあるといった具合だ。
フォーチュンクッキーならぬフォーチュン餃子なのである。
中国の餃子の歴史
中国の餃子の歴史は古く、春秋時代の紀元前六世紀頃に山東省で誕生したとされている。
そこから満州民族による清朝成立後に広く華北一帯に普及し、中華料理の代表的な料理の一つとなった。
餃子は発音が交子「子を授かる」と同じであることや、清代のお金に似ていることから縁起のいい食べ物としても珍重されている。
面白いことに世界各国に餃子を模した食べ物がある。
ヨーロッパ、北米、ブラジル、と言った国々にも餃子に近い食べ物がある。
それぞれの国でアレンジされ好まれているようだ。
日本の餃子
「日本式餃子」として一般に認識されているのは焼き餃子である。皮が薄く、パッリッとした食感やごま油の匂いが食欲を誘う。
日本で初めて餃子を食べた人物は江戸幕府水戸藩第二代目藩主、徳川光圀とされている。あの水戸黄門である。
明末清初の動乱で日本へ亡命していた朱舜水という中国明の儒学者が伝えたと言われている。
明治時代にも餃子を出す店は存在したが、あまり知られておらず、中国語の発音そのままを採用し「チャオツ」と言う呼び名だったそうだ。
日本で一般の日本人が餃子を食べるようになったのは第二次世界大戦後のことである。
満州からの引揚者が広め、おかずとして薄目の皮を使用した日本独特の焼き餃子が主流となった。一説には引揚者が茹で餃子を作ろうとしたが、鍋がなく代わりに鉄板を使ったことが始まりとされている。
日本で初めて工場で作った生の餃子を販売したのは株式会社紀文食品で、現在は多数の食品会社や餃子店がチルド食品や冷凍食品として各種餃子を販売している。
餃子と家族団欒
中国人が「餃子を作ろう!」と言うと人がワラワラと沢山集まってくる。
主食であるため、餃子だけで本当にお腹が一杯になる。
皮は手作りのためモチモチしており、いくつ食べても飽きない味である。
餃子の茹で汁を飲みながら消化を促す。一家の母親が皮を麺棒で上手にクルクルと丸く広げ子供達が包む。この光景はなんとも微笑ましい。
家族や周りの人との絆が薄くなってきたと言われる現代。こう言った習慣はぜひ続いてほしいものである。
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