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年間読書数100冊超えの筆者が選ぶ!作家別オススメ作品《重松清・編》

この記事では、年間100冊以上の小説を読む本の虫・アオノハナが、作家別のおすすめ作品についてご紹介していきたいと思います。

国内国外ジャンル問わず、さまざまな小説を読みふけってきた筆者だからこそ、他の王道ランキングとは一味違った、オススメの作品をご紹介できるかと思います。

第二弾は、数々の文学賞を受賞し、「日本の家族」を描いた感動作品を多く生み出している、重松清さんのおすすめ作品についてご紹介していきたいと思います。

重松清とは

はじめに、重松清さんのプロフィールについてまとめてみました。

重松清(しげまつ きよし)

1963年、岡山県生まれ。出版社勤務を経験したのち、執筆活動を始める。
1991年に『ビフォア・ラン』で小説家デビューすると、次々と作品を発表。
1999年『ナイフ』で塚田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。さらに2001年には『ビタミンF』で直木賞を受賞している。
その他の著書に『流星ワゴン』『きみの友だち』『くちぶえ番長』などがある。

重松清さんの作品は、引きこもりや家庭内暴力など、現代社会における家庭内の問題を題材にした、リアルで繊細な物語が特徴的です。
また、少年が大人になるまでの、甘酸っぱい青春の物語を多く執筆し、少年期特融の繊細さや情熱を感じられると、重松作品には根強いファンの方も多いです。

そんな重松作品ですが、一貫して“家族”についてのテーマで作品を書いているというところが、おすすめポイント。

重松作品に登場する“家族”は、たいていの場合、両親と子どもの核家族で、ニュータウンと呼ばれる新興住宅地に住み、同じような問題を抱えています。
日本中、どこの家庭にもこんな問題はあるのではないか、と思えるような身近な問題を取り扱っているのです。

そのため、読者は物語の登場人物に共感しやすく、物語の中にどんどん引きこまれて行きます。
そして、なんといっても読後感がよく、読み終わるとさわやかな気持ちになれるのです。

重松清 オススメ作品①「ナイフ」(2000年刊行)

<あらすじ>

「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!
ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。大介は辛さのあまり、教室で吐いた。
子供を守れないふがいなさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。
失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。
その闘いは、決して甘くはないけれど。

<おすすめポイント>

この作品は、“大人も子どもも共有できる優れた作品”に与えられる、塚田譲治文学賞を受賞しています。
学校内でのいじめをテーマにした、いくつもの短編からなるオムニバス集なのですが、“いじめ”に関するさまざまな立場からの目線で、物語が構成されています。

まるでゲームのような感覚で行われるいじめ。親に心配をかけたくないという思いで、いじめられていることを口にできない子ども。
いじめの描写がとても生々しく、思わず目をそむけたくなってしまうのですが、その問題に立ち向かい、抗い、苦しむ子どもと、親の姿がリアルに描かれています。
もしも自分の子どもがいじめを受けているとしたら?子どもがいじめている側だとしたら?
親としては一体どんなことができるのでしょうか。

子どもはもちろん、大人の方にぜひ読んでほしい一冊です。

重松清 おすすめ作品②「疾走」(2003年刊行)

<あらすじ>

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮らす中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の4人暮らしだった。教会に顔を出しながら、陸上に励むシュウジ。が、街に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれて…。

<おすすめポイント>

上下巻セットの超長編小説ですが、まさにタイトルの「疾走」のごとくあっという間に詠み終わってしまう一冊です。シュウジの激動の人生を追体験することで、読書中の疾走感がとてつもなく感じられます。
均衡を保っていたはずの“家族”が崩壊したとき、子どもの背負わされる運命というのはこれほどまでに重いのか…と痛感させられました。主人公・シュウジが運命に翻弄される様子を、生々しいほどの感性で描き切った作品です。

どっしりと人生について考えこみたい時に、じっくり読んでみてはいかがでしょうか。

重松清 オススメ作品③「とんび」(2011年刊行)

<あらすじ>

昭和37年夏、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男・アキラが誕生し、家族3人の幸せをかみしめていたが、それは突然の悲劇によって奪われてしまう…。
アキラへの愛があまって、時に暴走し途方に暮れるヤスさん。わが子の幸せだけを願う、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。

<おすすめポイント>

この物語を最後まで読むと、タイトルの本当の意味がよくわかります。
そして「とんび」というタイトルに一層の愛情が湧くような気がします。主人公のヤスさんは、まさに“昭和の男”!といった、寡黙で無粋で、頭のかたいタイプなのですが、その分、愛する者への想いは人一倍。そんなヤスさんの愛情たっぷりの子育て奮闘記には、読みながら何度も泣かされてしまいました。
そして、そんなヤスさんとアキラ親子の周りには、いつも力を貸してくれる周囲の人々の存在があるんです。

人と人とのつながりって、とってもいいものだと思わせてくれる一冊です。

最後に

この記事では、重松清さんのオススメ作品についてご紹介しました。
重松清さんは、デビュー時から一貫して、不滅のテーマである“家族”についての問題に向き合い続けています。

現在では、家族間の関係が破綻していることが、多くの事件を引き起こしています。
また、家族の中での会話やルールが少なくなることで、社会的なモラルの低下を引き起こしている、というデータもあるようです。
家族”というのは、社会の最小単位なんですよね。

そんな“家族”の中で起きるさまざまな問題や、いつの時代も変わらない愛。
重松清さんの作品を読んで、“家族”というものについて考えてみませんか?

 

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アオノハナ

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