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アジアの女性人生ドラマが支持され続ける理由 「東京タラレバ娘、39歳、30女の思うこと〜上海女子物語」

女性の友情や人生の選択、そして死生観を描くドラマは、いつの時代も視聴者からの熱い支持を受け続けている。

世界でジェンダー平等が叫ばれる中でも、職場における女性のポジション、結婚後の生活、出産を終え母親として生きる人生には、悩みや葛藤が絶えないものだ。

3つの異なる人生を歩む主人公たちに自分を重ねる視聴者

同年齢の友達との友情を軸に、物語が展開されていくドラマの特徴として多いのが、ドラマの主人公となる女性像を3つのパターンに分けて描く点だ。そこには、女性の多様な生き方を伝える意味合いもあるが、視聴者をドラマの世界観に引き込むための秘策も存在している。

3つの異なる人生を歩む女性主人公をドラマに登場させることは、視聴者自身の実情や思考に近い人物を描いていることに等しい。

視聴者の誰もが、主人公の人生に当てはまるとは限らないが、主人公の選択や感情に共感を覚える頻度が高くなることは間違いない。時には主人公とは真逆の考えであるという反論の意見もあるが、職業や家族構成、人生観の異なる3人の女性を描いたドラマは、放送される度に様々な反響を呼び、話題性を一気に集める特性がある。

「東京タラレバ娘、39歳、30女の思うこと〜上海女子物語」

友人同士 Pixabay

日本で描かれ続ける女性3人が主人公のドラマにも、その特性は活かされており、2017年放送の『東京タラレバ娘』は、多くの視聴者からの人気を得て、スペシャルドラマとして3年後に続編も放送された。

高校時代から変わらない友情を育んできた3人の恋愛観にスポットを当てた『東京タラレバ娘』は、「あの時、あーだったら…」「もっとこーしていれば…」と「タラレバ」を並べながら、互いに励まし合い、不器用ながらも30歳を機に新たな恋愛に踏み出す3人の姿が多くの反響を呼んだ。

日本だけに留まらず、韓国や中国においても、全く異なる境遇を生きる女性3人を主人公とした話題作が続々と制作され始めていることから、節目の年を迎え、自身の存在価値に葛藤し続ける女性の心情は、万国共通の課題とも考えられる。

韓国ドラマ「39歳」が描く女性の死生観と友情の在り方

今年の2022年、NETFLIXにて放送された韓国ドラマ「39歳(原題:서른, 아홉)」は、40歳を前に余命宣告を受けた親友と共に叶えたい夢、恋愛、そして結婚に踏み出す3人の女性の生き方を描いたヒューマンドラマだ。

「東京タラレバ娘、39歳、30女の思うこと〜上海女子物語」

韓国ドラマ「39歳(서른, 아홉)」 wiki c Naver

親友の死生観を尊重する女性の友情をドラマの主体とする一方で、「39歳」まで変わらぬ友情を築いてきたミジョ、チャニョン、ジュヒの3人の主人公が各々抱える出生の秘密、既婚者との恋愛、仕事への失望といった問題も物語を盛り上げる要素として取り入れている。

親友のためなら、どんな時でも駆けつける、代わりに喧嘩もするし、一緒に泣くこともできる、誰もが理想とする友情の形と、3人で集まれば止まらない愚痴で笑い合う女性のリアルな生活の描写が、世界中の女性の共感を得た韓国ドラマ「39歳」の魅力だ。

アラサー女子が抱える悩みは中国でもホットな話題!!

2020年に中国で放送された「30女の思うこと〜上海女子物語〜(原題:三十而已)」は、同時間帯視聴率1位をキープし、中国の社会現象となった大ヒットドラマである。

その人気はすぐに評判となり、アジアの国々でリメイク版を制作する動きもあるという。

キャリアだけを追い求め仕事だけが生き甲斐のマンニー、自分を犠牲にしてでも家族を守る良妻賢母のジア、結婚後も自分の時間を重視しているシャオチンといった、人生に求める生き甲斐も価値観も全く違う3人が、ある事件を切っ掛けに出会い、友情を築いていく所から物語は大きく展開していく。

「東京タラレバ娘、39歳、30女の思うこと〜上海女子物語」

​​中国ドラマ「30女の思うこと~上海女子物語~(三十而已)」 wiki c

女性の「30歳」という年齢を意識した主人公のキャラクター設定には、中国における個人のプライド、金銭感覚、結婚事情、将来への不安が明確に反映されているため、家庭、仕事、子育てなど様々な観点から視聴者が楽しめるドラマになっている。

結婚とは何か、母親とは何か、そして自分の幸せとは何か、一人の人間としての生き方に自信があると言い切れない等身大の女性の姿が、話題を呼んだ。

ドラマが伝える女性の生き方に寛容な時代を願うメッセージ

いくら職場や家族間で、女性の昇進や子育てに寛容な見方が増えたとしても、何かを得るためには、何かを手放す、諦めるという人生の分岐点に立たされるのは、未だ女性の方に偏っている世の中の流れも拭い切れない。

そんな女性の生き方を率直に描くドラマは、感情移入しやすく、親しみを感じる最大のテーマでもあるため、多くの視聴者から支持を受けやすい側面がある。

また、年齢を意識した女性の人生ドラマを描くことで、女性自身の中にある年齢や性別を『人生の物差し』として捉えてきた考えに対して、「女性自身の固定観念を崩すことが、社会の見方を変える最善の行動である。」という力強い激励のメッセージを世界中の視聴者に発信しているのだと思う。

[ikemenadoyoko]

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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