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アメリカの金融業界を支配した 「モルガン家」の歴史

世界三大財閥と言えば、ロックフェラー家ロスチャイルド家モルガン家が有名である。

この中でアメリカの金融業界を握ったのが、モルガン家の作った会社である。
モルガン家は何故ここまでアメリカの金融業界に影響を及ぼすことが出来たのだろうか?

今回はモルガン家の歴史について紐解いてみる。

モルガン家を大きくした ジョン・ピアポント・モルガン

モルガン家

ジョン・ピアポント・モルガン

モルガン家がここまで大きくなったのは、ジョン・ピアポント・モルガン(以下ジョン・モルガン)の功績が大きい。

ジョン・モルガンは、1837年にコネチカット州ハートフォードで生まれた。

父・ジュニアス・スペンサー・モルガンは、ロンドンの銀行業で成功していた。

モルガン家

ジュニアス・スペンサー・モルガン

母・ジュリエット・ピアポントは、教会の牧師の娘だった。
ジョン・モルガンは父親により子供のころから英才教育を施された。

1848年秋、ハートフォード・パブリック・スクールに転科した後、チェシャの英国国教会アカデミーに首席で進学。

1851年9月には、イングリッシュ・ハイスクールへ入学した。
ジョン・モルガンは、この学生時代にフランス語とドイツ語を習得。このことが世界中での仕事をする上で有利に働くことになる。

1857年、父の経営する銀行のロンドン支店に入社。

1858年、ニューヨークに移り、ジョージ・ピーボディ・アンド・カンパニー(ロンドンで活動するアメリカ人銀行家、ジョージ・ピーボディ銀行)のアメリカ代理店であるダンカン・シェアマン・アンド・カンパニーに勤務する。

モルガン家

ジョージ・ピーボディ

1860年J・P・モルガン・アンド・カンパニーを設立。
1864年、ダブニー・モルガン・アンド・カンパニーを創設。

1871年、フィラデルフィアの銀行家であるアンソニー・J・ドレクセルと提携し、ドレクセル・モルガン・アンド・カンパニーを設立した。ドレクセルが1893年に死去した後、1895年にJPモルガン・チェースとなる。

1869年、鉄道開発家のジェイ・グールドジム・フィスクから、アルバニー・アンド・サスケハナ鉄道の経営を奪取。
1885年、ニューヨーク・ウェスト・ショア・アンド・バッファロー鉄道を再建。
1886年、フィラデルフィア・アンド・レディング鉄道を再建。
1888年、チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道を再建。

1889年と1890年に鉄道会社の首脳を集めた会議を開き、各鉄道会社が新法に合わせた営業活動を行うことと、「公共的で、安価で、一定で、安定した運賃」を維持するための協定を結んだ。

1901年には実業家のエドワード・ヘンリー・ハリマンとの間でシカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道の争奪戦が起こり、ノーザン・パシフィック鉄道株買い占め事件と呼ばれる株式の異常高騰を誘発した。この出来事は1901年恐慌へと発展した。

1902年、セオドア・ルーズベルト大統領は巨大になりすぎた企業群に対して「巨大企業は公益の立場から政府の規制を受けなければならない」という理念の元、独占禁止法を適用し、モルガンの支配する鉄道グループ(企業群)、北方証券会社を起訴し、同社は解散を余儀なくされた。

1910年11月、モルガンが所有するジキル島クラブで連邦準備制度の設立に向けた秘密会議が開催された。そこにはジョン・ロックフェラー、ウィリアム・キッサム・ヴァンダービルト、そしてバンカーズ・トラスト(現ドイツ銀行)のベンジャミン・ストロングなどが出席した。

1913年、ジョン・モルガンはイタリアのローマで死去。75歳であった。

モルガン家の戦争による事業拡大

ジョン・モルガンは南北戦争普仏戦争において資金調達や援助を行い、利益を膨らませていった。

南北戦争1861~1865年

南北戦争とは、奴隷解放を掲げる北軍と奴隷制の維持を掲げる南軍との間で起こったアメリカ史上最大の内戦である。

この戦争でジョン・モルガンは北軍に資金援助を行い、北軍が勝利したことによりその後のアメリカ社会で発言力が増した。

彼は旧式のライフルを安く仕入れて修理後に高値で転売することで利益を得た。しかしこれは世間から大きな批判を受けた。
さらに富裕層であったことから、賄賂を渡すことで兵役を免除してもらってもいた。

モルガン家

南北戦争 青が北部(アメリカ合衆国)諸州、赤が南部(アメリカ連合国)諸州。水色は合衆国に留まった奴隷州

普仏戦争1870~1871年

普仏戦争は、ドイツ統一を目指したプロイセン王国と、それを阻止しようとしたフランスとの間に起きた戦争である。
ジョン・モルガンはフランス側に資金援助をしていたが、この戦争はフランスが敗北した。

しかしヨーロッパでの金融基盤を作ることに成功し、父・ジュニアス・スペンサー・モルガン他界後に、ニューヨーク、フィラデルフィア、ロンドン、パリ、のモルガン一族の企業を「J.P.モルガン商会」に統合し、巨大な金融財閥として当時の主要国に対して大きな影響力を得た。

鉄道事業の成功

南北戦争後、ジョン・モルガンは鉄道事業に着手。近代化が進むアメリカでは鉄道事業が活発化していた。

ジョン・モルガンは、鉄道事業に対し多額の資金を融資し、多数の鉄道会社を自身の鉄道会社グループの傘下に入れることで巨大な鉄道会社グループを形成した。
さらに機械・石炭・鉱業・公益事業といった国家的事業に関わる会社に資金援助をはじめる。

ゼネラル・エレクトリック

ゼネラル・エレクトリックは1892年、ジョン・モルガンの出資により設立された会社である。

会社の設立時の事業は白熱電球の製造であった。以後多くの企業を買収することで医療用機器・宇宙開発事業や軍需産業・なども手掛ける企業へと成長した。

U・S スチール

U・Sスチールは、1901年にジョン・モルガンによって設立された鉄鋼会社である。

A・カーネギー」「W・H・ムーア」「J.P.モルガン」の3つの資本グループ傘下の鉄鋼会社を統合し、世界初の10億米ドル企業として誕生した。設立当時はアメリカ国内の鉄鋼生産シェアの約65%を占めていた。

それ以外にも、ゴムや石油・石炭・製紙・食品などさまざまな企業へ援助を行い、経済界での影響力を強めていった。

更に金融事業のさらなる強化を目指し、ファースト・ナショナル・バンクやナショナル・シティ銀行と資本提携を結んだ。

金融業界での支配

積極的な金融事業の結果、1912年時点でのモルガン財閥のグループ全体の事業内容は

・アメリカの機械生産60%
・アメリカの粗鋼生産53%
・アメリカの鉄道路線34%

のシェアがあった。

その当時のモルガン財閥の事業は、ジョン・モルガンから息子のジョン・ピアポント・モルガン2世(以下ジョン・モルガン2世)に引き継がれましている。

ジョン・モルガン2世は父から引き継いだ企業への投資だけでなく、フランス、イギリス、ドイツのヨーロッパ主要国をはじめとする各国政府への国債の引き受けや援助を行った。

1914~1918年に起こった第1次世界大戦では、連合国によるアメリカでの軍需物資買い付けを援助し財閥の資産と影響力をさらに拡大させた。この時期に大企業および国家への融資や戦争への物資調達を行うことで、モルガン財閥は最盛期を迎えた。

1920年代にはウォール街最大の金融財閥へと成長した。

モルガン家の資産

ジョン・モルガンの総資産は、2,608億9,800万米ドルと推定されている。日本円にして26兆898億円(1ドル100円で計算)

現在では「銀行業」「高度技術産業」「航空宇宙」「軍需産業」「ハイテク産業」が主な事業である。

モルガン家まとめ

モルガン家はジョン・モルガンによりアメリカを代表する財閥に成長した。

戦争中は軍需産業や戦争国への資金融資。鉄道が活発になれば鉄道会社の買収と再建。
グローバル化を見据えた世界各国への金融業の拡大など、彼の先見の明は多岐にわたる。

モルガンの企業群の中には巨大になりすぎた故に解体させられたグループもあった。ロックフェラーのスタンダードオイルも独占企業であったことでアメリカの司法の判決で解体されている。あまりに大きくなりすぎたが故に国が企業解体し影響力を下げるのである。

しかしモルガン家が現在も世界金融を、ロックフェラー家、ロスチャイルド家と共に支配していることには変わりはない。

 

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
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