喫煙者が「煙たがられる」現代社会
肺ガンや生活習慣病などの治療に、膨れ上がる日本の医療費…
タバコ税を引き上げ、国民を喫煙から遠ざけようとする先進国…
それらの影響を受け、東京五輪(オリンピック)・パラリンピックを控えた日本でも健康増進法が改正されることとなった。
2020年4月1日から本格的な 受動喫煙防止対策 が試行され、原則として屋内は全面的に禁煙を義務付けられるようになる。
ここ10年ほどの間、段階的に禁煙・分煙に切り替えた飲食店も見られたが、今回の改正健康増進法による対策は「努力義務」ではなく「罰則つき」となった。
特定の持病を持った人や子育て中の親、タバコ嫌いの人達にとっては待ち望まれた法改正である一方、愛煙家たちにとっては「狭い肩身が更に狭くなった」と嘆きの声が聞こえてくる。
タバコの百害
タバコが忌み嫌われるのは、その匂いも一つの要素だが何よりも健康に害があることが最大の理由だ。
肺ガンなどのガン罹患リスクを高めることはもちろん、心臓病や動脈硬化等の誘因ともなりうる。
すっかり世界中で恐れられるようになった新型コロナウイルスによる肺炎も、喫煙者のほうが発症・重症化リスクが高まることは専門家も認めている。
他にはタールによる歯周病、胎児への催奇形性、タバコそのものへの依存性など、まさに百害と言って差し支えないだろう。
これに関しては、
「本来のタバコ葉にはそこまでの害や依存性はなく、燃焼剤など数多くの化学物質が添加されているため毒物のようになっているのだ」
「タバコより大気汚染やストレスのほうがよほど健康に悪い」
といった反論も見られるが、それがタバコの害を打ち消す力を持っていないことは誰もが認めるところだろう。
タバコが毒ではなかった時代
さて、では何故人はそんな毒物のようなタバコを吸うのだろうか。
喫煙者にとってみればタバコは美味い、ほっとするものだと言われるが、他のドラッグのような激烈な快楽や知覚的体験が伴うわけではない。
南米に起源を持つニコチアナ・タバカムは現在のタバコ葉の先祖だが、古代マヤ文明圏では薬用として、また宗教行事の際にも用いられていた。
探検家クリストファー・コロンブスは1492年に新大陸である西インド諸島に上陸する。
その際に原住民から贈られたものの一つがタバコの葉であったという。
そこでは先住民たちの喫煙の様子も目撃され、その様は絵としても残されている。
新大陸のタバコ葉はヨーロッパに持ち込まれるようになり、16世紀末にはアジアやアフリカにも広められていった。
タバコが広まった多くの文化圏では、その薬効性そして嗜好性が認められ民衆の間定着した。
また、タバコといえば現代では紙巻タバコがイメージされるが、その楽しみ方は様々だ。
葉巻、パイプや煙管、嗅ぎタバコ(スニッフ)に噛みタバコ、そして水タバコといった喫煙方法が各地域で定着していった。
中でも水タバコは、飲酒が禁じられた中東のイスラム文化圏で一般的な嗜好品となっている。
タバコのフレーバーにはフルーティーな物も多数あり、アロマ的な感覚で味わうことができる。タワー状の喫煙具本体から延びる管を複数人で吸い、憩いの時間をもたらしている。
タバコが日本に入ってからも、450年以上もの歴史がある。
タバコは文化であり、コミュニケーションの歴史でもあるのだ。
タバコを吸うメリット
ほぼ毒物扱いされている現代のタバコにも、吸うメリットはある。
本来薬として利用されていたタバコ。
ニコチンの薬理作用は大きな魅力だ。
適量のニコチンそれ自体は、ADHDや強迫性障害、アルツハイマー病等に有効な作用があると報告されている。
また、単純に煙を立ちのぼらせているので蚊などの虫よけにもなる。
革命家チェ・ゲバラは、虫よけのために葉巻をくゆらせていたことは有名なエピソードだ。
社会的な面では、やはり喫煙所でのコミュニケーションがある。
仕事場では緊張してしまう相手でも、一息つきながらちょっとした話をできる格好の場所が喫煙所だ。
話したい相手とは話しやすく、話したくない時でもタバコに集中していれば不自然ではない。
人のコミュニケーションには、きっかけが不可欠なのだ。
手持ち無沙汰の気まずさを埋めるのに、タバコほど優秀なものも少ない。
日本のタバコ税は欧米先進国に比べてまだ低いが、それでも税として余分に国に納めているのも事実だ。
その税の内訳は「国たばこ税」「地方たばこ税」「たばこ特別税」そして「消費税」の4つだが、これを合わせるとタバコの税率は6割以上にものぼる。
一般的なタバコは、全体の4割ほどをフィルターが占めているが、そう考えると実質喫煙可能な部分はすべて納税分ということになる。
ガンガン働き、マナーを守って喫煙する喫煙者は日本経済の主役といえるかもしれない。
害悪視をしても、喫煙者は気を悪くするだけで禁煙はしない。
彼ら彼女らが喫煙するメリットに非喫煙者も理解を示せば、煙に隔てられた両者の壁は薄くなっていくかもしれない。
マナーを守ってタバコ文化も守ろう
吸い殻のポイ捨てやスモーキングハラスメント、道端に痰を吐く人や口や服、持ち物に付着するヤニ臭など、マナーの行き届かない喫煙者には嫌われ非難されるべき理由が確かにある。
しかし、常識を配慮を持ち、適度に楽しむ分にはタバコは違法行為ではない。
それどころか、人間同士の交流のきっかけとなり、日常の中にあるストレスを煙と共に吐き出すこともできる。
タバコは、百害あって一利なしと言われるが、喫煙者は「利」があるからこそ禁煙外来を受診することもなく吸い続けるのではないだろうか。
肩身が狭くなったからとひねくれず、マナーの良い喫煙者として振舞おう。
そうすることによって、非喫煙者にもタバコ文化が尊重されるようになるかもしれない。
コミュニケーションはタバコ無しでも出来ます。
また、このような記事を書く際には自分のポジションを表示するべきでは?
害悪害悪と言う割に、煙草が主因で亡くなった人はどれだけいるんだろうね?
昔は受動喫煙に配慮しなかったと言うが、50年前にも年寄りや幼児はいて、長生きもしているんだけどね。
横浜の受動喫煙裁判では、受動喫煙症を訴えた原告側が高裁まで行って負けてますよ。
健康に考慮するのは結構だが、確かに健康被害はあるのか、それこそ歴史を紐解いて確かめてみたら?