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非日常が味わえる 「マレーシアのランカウイ島」

画像:イーグルスクエアに設置された大鷲像

マレーシアの楽園「ランカウイ島」は、年間約350万人の観光客で賑わう白い砂浜が広がるリゾート地だ。

マレー語で『ランは鷹』、『カウイは大理石』の意味を持つ「ランカウイ島」の名前通り、数多くの野鳥が生息し、大理石を特産品としているマレーシアの離島である。

『カウイ』は他にも『赤茶色』という意味を持つため、『イーグルスクエア』という広場に赤茶色の大鷲像を設置し、観光客を出迎えている。

マレーシアの国内線を利用し、約1時間で到着するリゾート地「ランカウイ島」は、マレーシア国民の間でも人気の観光スポットだ。

リゾート地へ生まれ変わった「ランカウイ島」の秘話

99個の島々で構成された大自然に囲まれている「ランカウイ島」。

未だ手付かずのままの姿であるマングローブの森は、自然を間近で見学できるレジャー体験の名所になっている。長年マレーシア政府は、「ランカウイ島」の開発に力を入れることなく、島は放置状態のジャングル化としていた。

しかし、マレーシアの政界に現れた「ランカウイ島」出身のマハティール・ビン・モハマド元首相が、ジャングル化した「ランカウイ島」のリゾート開発事業の後押しを開始する。

これを機にマレーシア政府全体もリゾート地の計画に賛同し始め、現在のリゾート地「ランカウイ島」が誕生したのだ。

マハティール・ビン・モハマド元首相

2001年にはレストラン、お土産、スパなどの50店舗の店を構える『オリエンタルビレッジ』を発案する。

ケーブルカーや動物と触れ合えるアクティビティ豊富な内容が話題を呼び、「ランカウイ島」のリゾート開発事業は成功を納める形となった。

「ランカウイ島」が、マレーシア屈指のリゾート地として生まれ変わったことで島の住民たちの生活も豊かになった。

「ランカウイ島」に残る2つの悲恋伝説

「ランカウイ島」には、ある2つの悲恋伝説が今も尚、島で語り継がれている。

・「ランカウイ島」悲恋の伝説その1『新しい命を授かるダヤン・ブンティン湖』

画像:ダヤン・ブンティン湖

昔、「ランカウイ島」の王子と恋に落ちた女性が、ダヤン・ブンティン湖の水を飲んだ後に王子の子を授かった。

しかし、王子の父親によって2人は離別してしまう。

それでも彼女と子供に会いたかった王子は、必死に彼女が住む島へ会いに行くが、嵐に遭い家族全員が命を落としてしまう。

2人の間に生まれた子供は白いワニへ転生し、女性は岩に姿を変え、王子の乗った船は島になった。

・「ランカウイ島」悲恋の伝説その2『マスリ王女の墓』

マレーシアのオーナメントとキャドル

タイで生まれた美しい女性マスリは嫁ぎ先の「ランカウイ島」の住人からとても愛されていた。

夫が戦争で家を空けていた間も、懸命に夫の帰りを待っていたマスリ。しかし、自分の息子が帰らない心配と焦りそして、マスリの美しさに嫉妬した義母は、根も葉もないマスリの噂を島中に流し始めた。

そのことをきっかけにマスリは王である義父によって命を落とす。死の直前まで身の潔白を主張したマスリは、潔白を意味する白い血を流し亡くなったという。

この2つの悲恋伝説の場所は、時を経て多くの女性たちが訪れるパワースポットとなり、『マスリの墓』はマレーの人々の暮らしの歴史と文化を展示しているコタ・マスリ記念館にて保管されている。

楽園と親しまれる「ランカウイ島」の知恵

「ランカウイ島」に訪れる理由として一番多い答えは、『非日常の世界を味わうため』だ。

都会を離れ、自然のエネルギーを体感することで、日常のストレスと悩みから解放された日々を過ごすことができる。訪

れた人々が前向きなパワーをもらえる癒しのパワースポットの島「ランカウイ島」では、そんな観光客の想いを叶えるかのように、海と森をテーマに建設された自然を肌で感じられるホテル産業が進んでいる。

「ランカウイ島」のホテル産業で最もこだわりを見せているのは、ホテル周辺の環境作りだ。

「ランカウイ島」に立ち並ぶ数多くのホテルに共通している点は、海と緑の密接だ。宿泊しているホテルの外から聞こえる波の音で目覚める朝の贅沢な時間と、野鳥が生息する熱帯雨林の自然の壮大さを毎日、体感できる環境作りを意識している。

ランカウイの海面

歴史ある熱帯雨林とジャングルの自然の中に囲まれたホテル環境は、緑豊かな空間と癒しを人々に与えてくれる。

ホテル自体を白い砂浜のビーチまで歩いて行ける場所に建設することで、リゾート地の醍醐味である海へのアクセスに時間を割く心配もなく、家族連れの観光客も足を運びやすい。大自然のありのままの姿の空間を活かしたホテル産業は、「ランカウイ島」の自然と歴史、文化を一度に味わうことができる観光業を成立させることにも繋がっている。

これは、1997年から開始された『エコツーリズム』に精通している部分でもある。

ランカウイの海岸

また、「ランカウイ島」の徹底された熱帯雨林や野生動物の環境保護と安全対策が認められ、2007年にユネスコジオパークに認定されている。

その美しい自然の保護活動は現在でも続けられており、「ランカウイ島」が実現させた『エコツーリズム』を、今後実現させたいと願う国々との国境を越えた交流会議が例年行われている。

自然の魅力と伝説が溢れるリゾート地「ランカウイ島」には、世界が羨む観光の知恵と、人々を魅了する非日常の世界が広がっている。

 

草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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コメント

    • 名無しさん
    • 2021年 9月 29日 5:02pm

    ランカウイ島の最大の特徴である全島TAXフリーの記述が無いですね。
    旅行者だけてなく島内全てでノーTAXなんですね。
    マレーシアに工事のあるカールスバーグは4リンギ100円少々。
    車買うんでもTAXないから安い。

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