教育

最も数が多い文字体系「漢字」 ~中国、日本、台湾の違い

漢字とは

普段何気なく使っている漢字。

漢字を読めない欧米人からすると一種の芸術であり、解読できない一種の暗号である。

最も数が多い文字体系「漢字」

外国人のタトゥー

外国人がおかしな漢字のタトゥーを入れていたり、恥ずかしいような漢字のTシャツを着たりしているのは良く見かける光景である。漢字を訳すことはできても母語の人間だけが理解できる微妙なニュアンスまでは理解できないようである。

漢字とは古代中国の黄河文明で発祥した表記文字であり、四大文明で使用された古代文字のうち現用される唯一の文字体系である。また最も数が多い文字体系であり、その数は約10万字以上に上る。古代から周辺諸国家や地域に伝わり、漢字文化圏を形成し言語のみならず文化上に大きな影響を与えてきた。

20世紀に入り、漢字圏内でも中国語と日本語以外は漢字表記はほとんど使われなくなったが、なお約15億人が使用している。

約50億人が使用するラテン文字に次いで、世界で2番目に使用者数が多い文字体系となっている。

漢字の表記について

ラテン文字に代表されるアルファベットは1つの音価表記する音素文字であるのに対し、漢字はそれぞれが個別の意味をもち、音節に対応している形態素である。
しかし現代中国語の単語は、大部分が二つ以上の漢字を組み合わせたものである。

漢字は正確には音と意味両方を表記する表語文字であり、1文字が1語を表している。
しかし1つの音の持つ語が派生義を生んで、1字が複数の(全く正反対の、あるいは無関係で一方の字義からは想像することはできないような)字義を持っていたり、読み方が変わって複数の字音を持っていたりする場合もある。

また外来語を表記する場合など単純に音を表すために作られた漢字もあり、字義を持たない場合もある。字義の有無を問わず、1音節を表す文字という点において音節文字である日本語の仮名とは近い関係にある。

日本における漢字

日本においての漢字は、表音文字である仮名(平仮名,片仮名)と並んで日本語を表記するための主要な文字となっている。現在日本語の表記は文部科学省の漢字制限(常用漢字、教育漢字)を受けている。

常用漢字とは「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」である。

教育漢字とは「義務教育で習う常用漢字2136字のうち,小学校6年間のうち学習することが文部科学省によって定められた1026字の必修漢字の通称」となっている。

現代における漢字の一般的な表記法は漢字仮名交じり文であり、漢字と平仮名を交えて表記する。漢字は実質的な意味を表す語に使われ、平仮名は主に活用語尾や助詞に使われる。

日本語では和語にも使われ外来語を除いてほとんどの語に使われる。

例外として、煙草(タバコ)や合羽(カッパ)珈琲(コーヒー)など大航海時代以降にヨーロッパから入った語彙には、外来語であるにもかかわらず漢字が使われるものがある。

国訓

日本語の漢字には2種類の読み方がある。「音読み」と「訓読み」である。

音読みは、中国語起源の読み方である。
漢字は元々中国大陸から伝わってきたので、日本語の漢字の意味と中国語の漢字の意味は大体同じである。ところが国訓と呼ばれる日本だけで通じる訓読みがある。

例えば「走」は中国語では「歩く」という意味がある。中国語の走るは「䋯」である。その他にも動植物の名前などにみられる。

最も数が多い文字体系「漢字」

漢字の読み方 国によって描き方も読み方も違う

台湾の漢字

台湾では日本のように平仮名や片仮名がなく、全て漢字表記である。

外来語の表現も個性的である。

先日テレビでNBAを見ていた時のことだ。シカゴブルズ(あえて片仮名表記する)vs レイカーズの試合が行われていた。この二つのチームは漢字表記でシカゴブルズは「公牛」でレイカーズは「湖人」となっていた。シカゴブルズの方は「シカゴ」を全く取り入れていない翻訳である。それに対しレイカーズはレイクの湖に英単語擬人化法を取り入れ湖人としている。なんとも面白い。

最も数が多い文字体系「漢字」

覚えやすさや聴きやすさも考慮に入れての翻訳であろう。

片仮名がないので外来語も全て漢字表記なのである。時には英語の意味を取り、時には読みの方をとっている。

ちなみにホットドッグは「熱狗」であり、そのまま「熱いイヌ」という意味である。

漢字は日本の今を表す

日本では毎年1年を総括して話題になった新語や、流行語や世相を表す漢字が発表される。

毎年思うことであるが、たった1文字で1年間を表せる漢字とはなんと振り幅の広い文字なのであろうか。

パソコンやタブレット、スマホが主流の現代。漢字を書くということが極端に減った。

字を打つと親切に漢字を選ばせてくれ、自分で思い出す必要もなくなった。時々このままでは漢字を忘れてしまうのではないかと不安になる。とはいえ時代の流れに逆らうことはできず、仕事でもパソコンを使うし私生活ではスマホが欠かせない。

今後、漢字文化はどのように変化していくのであろうか。

 

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草の実堂編集部 新井弘樹

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