セミの寿命は1週間しかないといわれています。(※成虫後)
昆虫は一般的には短命なイメージですが、意外と長生きな昆虫も存在しています。
今回は世界一長生きな昆虫と、他の長寿な昆虫をいくつか紹介いたします。
100年生きる、ナスティテルメス・シロアリの女王
ナスティテルメス・シロアリは、オーストラリアに生息してるシロアリの一種です。
100万種類を超える昆虫の中で、ナスティテルメス・シロアリの女王は最も長く生きるとされています。
その寿命はなんと100年以上。
このシロアリの女王は長寿とともに産卵数も驚くほど多く、蟻塚は6メートルにも及び、300万匹を超える大家族となっています。
体長は10センチほどもあり、小さな夫とともに王室に住んでいます。その巨体のせいかあまり動くことはなく、他のアリに食事の面倒を見てもらいながら産卵に専念します。
一生の産卵総数は50億個にもなります。昆虫界でもナンバーワンの産卵数で、まわりの夫や従者は順次世代交代がおこります。
名前からすると蟻(あり)の仲間のようですが、実は蟻とは全く違う系統の「ゴキブリの仲間」とされています。
ブプレスティス・スプレンデンス~タマムシ
ブプレスティス・スプレンデンスは、タマムシの一種で、なんと51年も生きた個体も存在します。
昆虫には幼虫期間があり、ブプレスティス・スプレンデンスはセミと同じように幼虫期間が長い昆虫です。
幼虫の期間はおよそ3~5年で、切り株や伐採木の中で過ごします。
幼虫期間が経過すれば、約10日間をサナギとして過ごし成虫になります。
成虫になってからの生存期間は約1ヵ月から2ヵ月といわれています。
タマムシは日本のどこにでもいる綺麗な昆虫ですが、環境にデリケードで飼育するのは非常に困難とされています。
長生きするセミとは?幼虫時代が長い
最も長生きするセミは、北アメリカ東部に生息する周期ゼミです。
周期ゼミという名称は種の総称であり、ひとつの種の呼称ではありません。
周期ゼミは17年で成虫になるグループと、13年で成虫になるグループがいます。
17年周期のセミは3種類、13周年周期のセミは4種類存在しています。
周期年数が素数であることから素数ゼミとも呼ばれています。
他のセミは幼虫期間も入れて寿命は1~7年ほどなので、この周期ゼミは大変長寿なセミだといえます。
なぜ素数年で成虫になるのかは様々な説がありますが、理由はまだはっきりわかっていません。
長命虫といわれるクマムシとは?
クマムシは非常に強い生命力を持つため、チョウメイムシ(長命虫)とも呼ばれています。
クマムシは緩歩動物門に属しています。ミミズ、ゴカイの仲間と昆虫の間に位置する生物と考えられています。
クマムシという名前は8本の足でゆっくり歩くところから名付けられました。
クマムシの種類は約1200種類で世界中に生息しており、ヒマラヤのような高い山や南極、深い海でも発見されています。
通常の寿命は1ヶ月から1年ですが、周りに水がない状態では「たる」のような形に縮み、「乾眠(かんみん)」状態になって不死身のような抵抗力を発揮します。
「博物館のコケの標本の中にいたクマムシの乾眠個体が、120年後に水を与えられて蘇生した」という逸話もあります。
空気のない宇宙空間に10日間さらすという実験でも蘇生しました。
150度の高熱や、マイナス237度の猛烈な寒さにも耐え、地球上にはありえない75000気圧という高い圧力にも耐え、人があびると即死するといわれる強い放射線でも生き抜く生命力があります。
クマムシの最大体長は1.7ミリほどで、電子顕微鏡で見ないとよく確認できません。
クマムシがなぜ極限状態でも生きていけるのか、その謎を解明するためにロシアやアメリカ、東大など世界中で研究が行われています。
最後に
昆虫は一般的には寿命が短いイメージですが、100年以上生きるナスティテルメス・シロアリの女王や、10年以上生存する昆虫も存在しています。
我々の身近にいる昆虫ですが、我々脊椎動物とあまりに違う独自の生態系や進化の過程など、まだまだ謎に包まれています。
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