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秋華賞の歴史を調べてみた「フラッシュ厳禁」 エアグルーヴ

秋華賞の歴史を調べてみた「フラッシュ厳禁」 エアグルーヴ

クロノジェネシス(第24回秋華賞出走時)

秋華賞(3歳オープン 牝馬限定 国際・指定 定量 2000m芝・右)は、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で毎年10月上旬に施行する重賞競走(GⅠ)である。

1995年(平成7年)まで牝馬三冠の最終レースだったエリザベス女王杯が古馬(4歳以上)牝馬に開放されたため、代わって秋華賞が新設された。

この秋華賞について創設からの歴史をひもといてみる。

なお2001年(平成13年)から競走馬の年齢表記が数え年から満年齢に変更された。この記事ではレース名以外は現在の表記で記す。

秋華賞の歴史

秋華(しゅうか)」は中国の詩人の杜甫張衡が「あきのはな」として漢詩の中で用いた言葉による。

牝馬三冠レースのうち歴史の古い桜花賞優駿牝馬(オークス)はその創設目的が「優秀な日本産まれの繁殖牝馬を選定する」ことにあったため、外国産馬や外国調教馬への門戸の開放は遅れていた。

外国産馬が出走可能となったのは桜花賞2004年(平成16年)、オークス2003年(平成15年)。外国馬は桜花賞・オークスともに2010年(平成22年)から可能になった。

しかし秋華賞は創設の時から地方競馬所属馬と外国産馬の出走が可能である。外国馬にも一足早く2009年(平成21年)に門戸が開かれた。

2009年(平成21年)(第14回)国際競走に指定され、外国調教馬は9頭まで出走可能となった。また格付表記がGⅠ(国際格付)に変更された。

秋華賞の回顧

競馬には血統のロマンがある。秋華賞は歴史は浅いが3歳牝馬の秋の大目標であるため数多くのドラマがある。

ここでは5頭のストーリーをご紹介する。

初代女王はフランス産まれ ファビラスラフイン

1996年(平成8年)の第1回優勝馬は外国産馬のファビラスラフインである。

外国産馬なので桜花賞とオークスには出走できなかったため、そのような外国産馬の受け皿となって「残念ダービー」と揶揄されたニュージーランドトロフィー4歳ステークス(GII)に出走して優勝した。

同じ年に新設されこちらも外国産馬の出走が可能なNHKマイルカップ(GI)では大敗したものの、夏の休養後に臨んだ秋華賞で初代女王に戴冠した。

「フラッシュ厳禁」 エアグルーヴ

第1回秋華賞で1番人気を集めたのは、第57回オークス優勝馬のエアグルーヴだった。

母のダイナカール(第44回)と親子2代のオークス馬で、新設GIで二冠目を狙っていた。しかしパドックで客のカメラのフラッシュに驚いて暴れ、その上レース中に右前脚を骨折してしまった。結果は10着。翌年の6月まで長期休養を余儀なくされた。

中央競馬のパドックに「フラッシュ厳禁」の札を持って警備員が立っているのは、この件が契機となっている。

母の無念を晴らした エアメサイア

2005年(平成17年)第10回の優勝馬はエアメサイアである。

秋華賞の歴史を調べてみた「フラッシュ厳禁」 エアグルーヴ

エアメサイア wiki(c)TRJN

彼女の母は1998年(平成10年)の第58回桜花賞3着、第59回オークス2着、第3回秋華賞3着と無冠に甘んじたエアデジャヴーだ。

エアメサイアの同期の牝馬はラインクラフト(第65回桜花賞と第10回NHKマイルカップの変則二冠馬)、シーザリオ(アメリカンオークス(GI)優勝馬)、ディアデラノビア、デアリングハートなど強者揃いで、エアメサイアはたびたび苦杯を喫していた。

前哨戦のローズステークス(GII)でラインクラフトを2着に下したエアメサイアは、秋華賞でもゴール前でラインクラフトを交わし、母が掴むことができなかった栄冠を手に入れた。

三連単1000万 ブラックエンブレム

秋華賞は始めの頃は固くない、荒れ気味なレースが多かった。

2008年(平成20年)第13回秋華賞は、桜花賞馬レジネッタとオークス馬のトールポピーなど人気上位馬を差し置いて、レース中先頭を逃げた16番人気プロヴィナージュを11番人気のブラックエンブレムと8番人気のムードインディゴが捉えきって、1着2着になった。

3連単の配当がGI史上最高額(当時)で、JRA史上第3位(当時)の1098万2020円となる大波乱のレースだった。

三冠が幻に…… ブエナビスタ

秋華賞に敗れたため牝馬三冠を逃したのは、2009年(平成21年)のブエナビスタ1頭だけである。(2020年6月現在)

三冠を目指すブエナビスタは断然の1番人気に推された。前を走るレッドディザイアとゴール前の壮絶な叩き合いの結果、写真判定によりハナ差の2位に敗れた。

しかも4コーナーで馬場の外側に進路変更する際に、後を走っていたブロードストリートの進路を妨げたとして、3着に降着処分となってしまった。

かたや桜花賞とオークスで、ずっとブエナビスタの2着に敗れていたレッドディザイアは、ようやく雪辱を果たすことができたのだった。

秋華賞創設以降の三冠牝馬と二冠牝馬一覧

秋華賞に勝って牝馬三冠の栄誉に輝いたのは

2003年(平成15年)スティルインラブ
2010年(平成22年)アパパネ
2012年(平成24年)ジェンティルドンナ
2018年(平成30年)アーモンドアイ
2020年(令和2年)デアリングタクト

の5頭である。

秋華賞に勝ったことで二冠を達成したのは

1997年(平成9年)メジロドーベル
1998年(平成10年)ファレノプシス
2001年(平成13年)テイエムオーシャン
2006年(平成18年)カワカミプリンセス
2007年(平成19年)ダイワスカーレット
2013年(平成25年)メイショウマンボ
2015年(平成27年)ミッキークイーン

の7頭である。(いずれも2020年10月時点の情報)

 

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