古代文明

【1960年代に発見されたスペインの財宝】 地球外の金属で作られていたことが判明

 

画像: ヴィリェナ宝飾品:隕鉄製の剣の柄頭 CC BY 4.0

1960年代にスペインで発見された、青銅器時代の財宝・ヴィリェナ宝飾品の中に、地球外からの金属が使われていた遺物があったことが新研究で明らかになった。

紀元前1400~1200年に製作されたとみられる鉄製品2点が、100万年前に地球に落下した隕石由来の鉄で作られていたのだ。

60年以上前に発見されたスペインの財宝

画像: スペインのヴィリェナの財宝のレプリカ。CC BY-SA 4.0

60年以上前にスペインで発見されたヴィリェナ宝飾品は、青銅器時代の貴重な宝物のコレクションだ。

今回、新たな分析によって、この宝飾品の一部が隕鉄製であることが判明した。

ヴィリェナ宝飾品とは、1963年にスペインのアリカンテ州ヴィリェナで発見された青銅器時代の宝物のコレクションだ。
金、銀、琥珀、鉄で作られた59点の精巧な装飾品が含まれている。

ヴィリェナ宝飾品がスペインのアリカンテ州の砂利採掘場で発見された際、研究者たちは鉄製の遺物の一部に奇妙な点があることに気づいた。

当時のスペインの新聞「エル・パイス」によると、研究者たちはそれらを「暗い鉛のような金属で、一部は光沢があり、割れた鉄のような酸化物で覆われている」と表現していたという。

今回、新たな研究によって、そのうち2つの遺物の鉄が、約100万年前の隕石から作られていたことが判明した。

これらの2つの遺物は、どちらもおよそ3,400~3,200年前の青銅器時代に作られたものだ。

金と鉄はどちらも古代において非常に重要で、特別な意味を持つ素材だったという。

また、当時のイベリア半島にはまだ王国は存在していなかったため、おそらくは地域社会全体が所有していた隠された財宝だった可能性があるという。

新研究で鉄製品が「隕鉄製」と判明

画像: セベレル鉄隕石 – 中国、南丹市 CC BY-SA 3.0

研究チームは、質量分析計と呼ばれる装置を使って、金属の分子量と電荷の比率を測定した。

すると、2つの鉄製遺物からは微量のコバルト・ニッケル合金が検出され、その含有量が宇宙由来の鉄(隕鉄)と同じだったことがわかったのだ。

研究責任者は、以下のようにコメントしている。

2つの遺物の成分は非常に似ていることから、同じ隕鉄から作られた可能性が高い

この鉄の加工技術は、銅をベースにした金属加工や金銀などの貴金属加工とは全く異なる。したがって、新しい技術を開発し、革新しなければならなかったはずだ。

起源の謎は残る

画像 : Tesoro_de_Villena

研究チームは、ヴィリェナ宝飾品の鉄製遺物はイベリア半島で確認された史上初、かつ最古の隕鉄製遺物であるとした。

さらにこれらの遺物は、青銅器時代後期の金属加工技術についても新たな知見を与えてくれている。

他の隕鉄を使った遺物としては、スイスのモーリゲンで発見された紀元前900年頃の矢じりと、紀元前800年頃のポーランドのいくつかの遺物しか知られていない。

しかし、ヴィリェナ宝飾品の鉄製遺物がどこで作られたのかはまだ解明されていない。

地中海東部からも同じ時代の類似遺物、例えばツタンカーメン王の墓から出土した短剣などが発見されていることから、そちらから持ち込まれた可能性も考えられる。

なお、これらの鉄製遺物はスペインのヴィリェナ考古学博物館のコレクションの一部となっている。

さいごに

今回の研究で、青銅器時代の工芸家が入手困難な隕鉄を使い、宝飾品を製作していたことが明らかになった。

これは青銅器時代の人々が、希少金属の価値を理解し、新しい素材を取り入れようとする実験的・革新的精神を有していたことを示唆する発見だ。

起源の謎は残るが、今後も青銅器時代時代の高度な技能と素材活用の実態が、さらに明らかになっていくことだろう。

参考 :
Bronze Age ‘treasure’ was crafted with extraterrestrial metal | Live Science

 

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フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
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