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『指輪物語』の作者、J・R・R・トールキンの生涯

トールキンの生涯

※Tolkien 1916

ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン(John Ronald Reuel Tolkien CBE : 1892~1973)は、イギリスの作家、詩人、そしてイギリス陸軍の軍人である。

世界中でヒットし、日本でも30年以上にわたり、多くのファンに愛されている『指輪物語』、『ホビットの冒険』の著者である。

この2つのファンタジー小説は、いずれも映画化し、特に『指輪物語』は、『ロード・オブ・ザ・リング』として、世界的な大ヒットを記録した。

この記事では、そんなトールキンの生涯や、『指輪物語』『ホビットの冒険』の世界観について、詳しくご紹介していきたいと思う。

トールキンの生涯

(トールキンの生涯は、「トールキン 旅のはじまり」というタイトルで2019年8月に映画化され、日本でも公開されている)

トールキンは、イギリスを代表する文学者、C・S・ルイス(彼は世界的に有名な児童文学『ナルニア国物語』の作者である)などと親交を深めており、敬虔なカトリック信者であった。

その傾向は、自身の著作の中にも反映されており(このことは後述する)、『指輪物語』は『ナルニア国物語』と並び、キリスト教的教えが深い作品である、と評されている。

トールキンはオックスフォード大学を優秀な成績で卒業し、第一次世界大戦時、イギリス陸軍に入隊することになった。
そして、少尉の地位に就き、戦争中は通信士官を務めていた。

この戦争で、トールキンの多くの友人たちが戦死し、自身も塹壕熱という病気に罹患し、療養生活に入ることとなる。
この療養生活の間に、物語の着想が芽生え始めた、とされている。

陸軍を退役後、辞書の編纂の仕事をしたり、英語学の講師をしたりしながら働きながら、物語を書くことを始めたトールキンは、1925年秋ごろから、オックスフォード大学の教授となった。

そして、教授としての生活を送る中で、『ホビットの冒険』と『指輪物語』シリーズを執筆したのである。

『ホビットの冒険』と『指輪物語』


(映画化された『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』は、現在も世界各国で人気を誇っている)

『ホビットの冒険』、『指輪物語』はともに、ハイ・ファンタジーの基礎を築いたと言われている作品たちである。

ハイ・ファンタジーとは、現実の世界ではなく、架空の世界で起こりうるファンタジー作品のことを指すが、トールキンの生み出した、【中つ国】の中の綿密な世界観は、まさに、ハイ・ファンタジーの礎だといえるだろう。

それまで、ファンタジー作品と言えば、子供向けの“おとぎ話”にしか過ぎないと思われていたものの、『ホビットの冒険』や『指輪物語』の誕生によって、ファンタジー作品は、大人も子供も楽しめる読み物へと変貌したのである。

【中つ国(Middle-earth)】とは、トールキンの生み出した架空世界のことである。
この【中つ国】は、人間やドワーフ、トロールにエルフなど、多くの種族が共存する世界である。

当然ながら、いくつもの言語が存在しており、【中つ国】で話される多くの言語は、トールキン自身が生み出した、とされている。
つまり彼は、物語を書く上で、数種類の言語を一から考え、辞書が作れるくらいの言葉を生み出したのである。

これは、例えば、「ある国で話される言葉を、自分1人で作った」というレベルの偉業である。

このことからも分かるように、トールキンは物語の舞台を徹底的に設定し、まさに「ひとつの世界」を作り出した、創造主のような仕事をしたのだ。

この物語の中に出てくる、エルフやドワーフなど、人ではない種族の存在については、“北欧神話”の影響を受けていると言える。

トールキンの生涯

※エルフ(イメージ画像)

エルフは、日本では妖精と訳されることも多いが、元々は、人間くらいの大きさをした、半神的な存在であったと言われている。
ドイツの民話の中では、人間や家畜に疫病をもたらしたり、悪夢を見せたりするいたずら者だと考えられており、各地方で、エルフに関する認識が違っていたようだ。

トールキンは、数々の国や地域で信仰されていたエルフという存在のイメージを、大きく変えたことでも知られている。

『指輪物語』の中で、エルフとは、「身体能力が高く、知識に富み、魔法を使う、人間ほどの背丈をした、耳が尖った種族」とされており、不死、もしきは非常に長い寿命を持ち、事故にあったり殺害されたりしない限り、数百年から数千年の寿命を持つ種族、と設定されている。

これらの“エルフ”像は、のちのファンタジー作品に大きな影響を与え、特に日本では、エルフと言えば、トールキンの作品の中に出てくるようなイメージが、ステレオタイプとして認識されている。

その他、ドワーフとは、人間よりも少し背丈が小さく、頑健な種族のことを指し、トロールとは北欧の妖精の一種で、巨漢を持ち、醜い容貌をしている。

また、『ホビットの冒険』『指輪物語』の中で大いに活躍する、ホビットという種族については、身長120cmほどの小さな種族で、平均寿命は100歳ほどである。
平和と食事を何よりも愛し、石投げや弓矢の扱いが上手い、とされている。

フロド・バギンズ wiki(c)Mark J. Ferrari 

『指輪物語』は、きわめて温厚な種族であるホビット族の青年・フロドが、世界を滅ぼすとされる【サウロンの指輪】を手にいれたことで、世界を揺るがず戦争に巻き込まれていく…という壮大な物語なのである。

トールキンから影響を受けた作家たち

『ホビットの冒険』、『指輪物語』がこの世に生み出されてから、多くの素晴らしい作品が生まれた。

特に、ファンタジー作品の金字塔ともいえる、アメリカの女性作家ル=グウィンが執筆した、『ゲド戦記』シリーズ。
そして、2000年代に世界的な大ヒットを記録した、イギリスの女性作家J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズが、その代表であろう。

また、スタジオジブリの宮崎駿監督も、トールキンの作り出した世界観に、大きな影響を受けているという。

トールキンの生み出した世界は、今日でも私たちを楽しませ、今もなお多くのファンに愛されているのである。

 

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歴史小説が好きで、月に数冊読んでおります。
日本史、アジア史、西洋史問わず愛読しております。

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