人物(作家)

【万能の天才】レオナルド・ダ・ヴィンチ がなぜすごいのか調べてみた

レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチ wikiより引用

レオナルド・ダ・ヴィンチ は、中世で活躍した誰もが知るイタリアの芸術家である。

彼は万能の天才と言われていて、絵画や解剖学、建築、兵器開発、自然科学など様々な分野において時代を先取りしたアイデアや技法を使い、素晴らしい実績を残してきた。

今回は万能の天才と言われた男、レオナルド・ダ・ヴィンチはなぜすごいのか?を解説していきたいと思う。

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画

レオナルド・ダ・ヴィンチは、画家としての功績が最も有名である。

彼が描いた絵画で現存するものは15作とされていて、歴史上の他の画家と比べても少ない。
これは彼の完璧主義の性格が影響している。

有名な作品には、

「モナリザ」
「最後の晩餐」
「岩窟の聖母」
「受胎告知」

がある。

『モナリザに使われた技法』

レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチ最高傑作のモナリザ スフマートと呼ばれる技法が使われている

モナリザをよく見て欲しい。実はこの絵には輪郭が存在していない。

通常、人の絵は輪郭を描いて骨格やパーツを描いていくものだが、このモナリザにはその輪郭がない。

目、鼻、口、輪郭、全てが自然に馴染むように描かれている。これは「スフマート」と呼ばれる技法である。
この技法により肌の柔らかな質感が表現されている。

モナリザの微笑みはこのスフマートによって、まるでそこに存在しているかのように錯覚させるのである。

『最後の晩餐に使われた技法』

レオナルド・ダ・ヴィンチ

最後の晩餐 構図が一点透視図法 によって書かれている

最後の晩餐はダヴィンチの作品の中でも大きな作品であり、迫力のある構図の壁画である。

この作品は「一点透視図法」によって描かれており、中心に座っているキリストに視点が集中するように描かかれている。

どの位置から見てもキリストが中心に映り、絵画に奥行きを与えている。

更に描かれた人物が誰なのかを、手の表現によって判別できるようにしている。

大量に残されたメモ

彼は観察で得たことを精密なデッサンと共にメモに書き込んでいた。内容は日常の疑問や作品の構成、解剖学に関するもの、空を飛ぶための道具など、幅広かった。

メモは特徴的な鏡文字(左右が反転した文字)によって書かれている。これはダ・ヴィンチが左利きでその方が書きやすかったためと言われている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチのメモ

これらのメモは13000ページにものぼり、後に出版も考えていたようだが結局は出版に至らなかった。

このメモの中で「レスター手稿」と呼ばれているものは化学の内容が多い物であり、マイクロソフトのビル・ゲイツが所有している。

この手稿は1994年11月11日、ニューヨークで行われたクリスティーズのオークションで、ビル・ゲイツが3080万2500ドル(2019年の物価で5322万2898.79ドル)で落札し、世界で2番目に高価で売れた本となった。

解剖学と観察力

レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖のメモ

彼は絵画工房に弟子として修行していた時代から、解剖学の知識を積み上げていた。

彼は死体の解剖が行われていると聞くとそこに足を運び、自らも現場に立ち会い詳細にメモとデッサンを書いていた。自らの絵画を描く際に「人物の体の動き、表情、筋肉の動き」をよりリアルに描けるように研究に励んだのである。

解剖が行われていない時は、夜な夜な墓地に行って死体を掘り起こし、自分の工房に持ち帰って解剖していたほどである。
彼の解剖学は現在のバイオメカニクスの先駆的研究であり、臓器や胎児、セックス中のメモも残されていた。

最後の晩餐、聖ヒエロニムス、モナリザ」には解剖学で得た知識が特に生かされており、聖ヒエロニムスは未完の作品ではあるものの、性欲を抑えるために自らの体に石を打ち付けるヒエロニムスの苦悶に満ちた表情を描いている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

聖ヒエロニムス

兵器開発者として

当時ミラノに勢力基盤を持ち、イタリア統一の野望を持った軍人・チェーザレ・ボルジアに、ダヴィンチが軍事顧問として招かれた時期があった。

この時に書いた町の地図はとても精巧にできている。

ダ・ヴィンチが描いたイーモラ市街の地図

更に兵器のアイデアも多く残している。

・グライダー

鳥やコウモリの翼をヒントに考案した兵器。
人がこの兵器を背負う形で装着し、滑空する事で空を飛ぶといったものである。

・ヘリコプター

ヘリコプターの原型であり、中心にあるハンドルを回すことで布が張られたプロペラが回転して揚力を得る機械。あまりに斬新的過ぎて実用には至っていない。

・戦車

連発する事が出来なかった当時の銃の問題を解決するために、沢山の銃身を配置して連続発射できるようにした。
これらの銃身は甲羅のような装甲に覆われており、敵からの攻撃から身を守り接近することが可能で、攻防一体の兵器になっている。

・カタパルト

城に対して石を投げ込み城壁を破壊するもの。彼の設計したカタパルトは巨大であった事が特徴である。

これらは有名な物の一部である。

当時は先進的すぎて実用化されなかったものも多いが、アイデア自体は現在でも使われているものばかりである。

レオナルド・ダ・ヴィンチの逸話

天才であるレオナルド・ダ・ヴィンチには、数々の逸話が残されている。

・絵画の師匠に実力で勝つ

彼はヴェロッキオという絵画の工房の師匠がいた。ダヴィンチと共同である作品を制作したが、ダヴィンチが担当した箇所の出来があまりにも素晴らしかったので、ヴェロッキオは筆をおいてしまったという。

・レオナルド・ダ・ヴィンチは語学と暗算が苦手であった

彼は外国語は全く習得できなかった。更にあれだけの兵器や装置を開発したにもかかわらず、暗算はできなかった。

・完璧主義過ぎて仕事が終わらない

絵画の完成度は非常に高い物ばかりであるが、完成している作品は少ない。

あの「モナ・リザ」さえも死ぬ間際まで手を加え、より完成度の高い作品を目指していた。

・天才ではあったが当時の社会での評価は低かった。

彼の作品の評価は後世で評価されたものが多く、16世紀のイタリア社会では「納期を守れない男、絵画の決まりごとが守れない男」(宗教絵画には決まりごとが多かったが彼は斬新な作品にするためにそれを守らず、何度も修正するように言われている)と言われ、評価が低かったようである。

当時の芸術の中心はローマであり、彼が晩年にフランスに行ったのはローマでは相手にされなくなったことも理由としてあげられる。

・同時代の画家からの評価は非常に高い

アンギアーリの戦いの模写

同時代の有名な画家たちからは評価が高かったようで、ラファエロ、ヴァザーリ、ルーベンスは彼の作品に大きな影響を受けており尊敬していた。

ラファエロによる「モナリザ」の模写や、ルーベンスの「アンギアーリの戦い」の模写が残っている。

ミケランジェロの弟子であり、画家、彫刻家のジョルジョ・ヴァザーリは、このような言葉を残している。

多くの人々がそれぞれに優れた才能を持ってこの世に生を受ける。しかし、ときに一人の人間に対して人知を遥かに超える、余人の遠く及ばない驚くばかりの美しさ、優雅さ、才能を天から与えられることがある。霊感とでもいうべきその言動は、人間の技能ではなく、まさしく神のみ技といえる。レオナルド・ダ・ヴィンチがこのような人物であることは万人が認めるところで、素晴らしい肉体的な美しさを兼ね備えるこの芸術家は、言動のすべてが無限の優雅さに満ち、その洗練された才気はあらゆる問題を難なく解決してしまう輝かしいものだった。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、天才たちに認められる天才であった。

 

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