中国史

清朝の姫たちは爪がものすごく長かった 「西太后の爪は20センチ」

清朝

画像 : 爪カバー wiki c

中国の長い歴史の中で、数多くの王朝が興っては消えていった。
その封建統治の最後の王朝が清朝である。清朝には300年の歴史がある。

清朝の皇帝を取り巻く女性たちのドラマは数多く製作され、放送されてきた。
皇宮にいた姫たちの美しい衣装や装飾は、一際目を引くものである。

その中でも特徴的な装飾が「甲套 : こうとう」と呼ばれる爪のカバーである。

一種の装飾品であるが、その一つ一つがとても凝ったデザインで、豪華な作りとなっている。

爪の意味

指の爪の長さは、その人物の運気に大きな影響を及ぼすと信じられていた。

長ければ長いほど、幸運が訪れるという。

当時の男性も、爪を長くしている女性は、脆く、優雅で品があると見なしていた。
皇帝も同じで、姫たちのその美しい爪と爪カバーを愛でていたという。そして数多くいる姫たちを見分ける一つの目印にもなっていた。

そして中国には「体は親からもらった大切な贈り物であり、爪であってもむやみやたらに無駄にしてはならない」という考え方があった。

宮廷の姫たちが爪を長くしていたのも、その様な背景があったのである。

長い爪を守るため

画像 : 西太后の爪カバー wiki c

姫たちが爪カバーをつけていた理由は、「長い爪を守るため」であった。
小指と薬指の2本の指につけている。

現代の私達からすれば、爪を伸ばしていると大変不便である。何をするにも邪魔になってしょうがない。

ところが皇宮に住む姫たちは不便ではなかった。身の回りの事は女中が行い、自ら手を動かす事はほぼなかったからである。

爪カバーの長さから推測されるに、彼女たちの爪は相当長かったようである。
爪カバーを愛用した事で知られる西太后は、なんと20センチほどもあったという。

専門の女中が毎日とても慎重に西太后の爪をケアしていたそうで、牛乳に浸し、お湯に浸し、西太后が満足するまで続けられた。

豪華な装飾品の一つ

西太后の爪カバーはとても豪華であった。基本的には金でできており、その上にたくさんの宝石が散りばめられていた。

自らの身分の高さを表すため、ただの皇后ではなく強大な権力をもっているということを表したかったのである。

爪を長くしているということは、とても優雅で申し分のない環境で生活しているという事を強調するものだった。

一般市民から見た「不便」は、上層階級の女性にとっての「優雅」を意味していたのである。

身を守るため

爪カバーには他にも重要な使い方があり、ただ美しく身分を表す象徴ではなかった。

自分の身を守るための武器でもあったのである。爪カバーの先端は非常に尖っており、触れると怪我をするほどであった。

優雅な装飾品は攻撃力も兼ね備えており、か弱い姫たちの武器にもなり得たのである。

西太后はなんと、麻酔薬を爪カバーに塗っていたそうである。

小さく美しいその装飾品は、一方で恐ろしい武器にもなったのだ。

 

  • Xをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

草の実堂Audio で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 古代中国の女囚はどう尋問されたのか?屈辱の刑と妊婦への拷問猶予
  2. 奴隷出身の李信は、なぜ大将軍を目指せるのか? 【漫画キングダムか…
  3. 洪武帝について調べてみた【中国最大の下克上と功臣の大粛清】
  4. 『中国の観光地が渋滞で限界突破』 万里の長城が満員電車状態、砂漠…
  5. 習近平について調べてみた【下放された青年期】
  6. 西太后は1日でどれだけの贅沢をしていたのか?衝撃の現代換算額
  7. 古代中国の謎民族「毛民」、仙人となった「毛女」……毛にまつわる不…
  8. 始皇帝が追い求めた不死不老の薬~ 肉霊芝とは 【20億年前から存…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

針ヶ谷夕雲 ~禅を学び「相抜け」の境地に至った剣豪【生涯52戦無敗】

針ヶ谷夕雲とは針ヶ谷夕雲(はりがやせきうん)とは「真新陰流」の開祖・小笠原長治の門人で、…

原子爆弾の歴史 〜世界で唯一原爆投下を経験した日本

原子爆弾(以下、原爆)は、第二次世界大戦末期に世界で初めて使用されました。アメリカによる広島…

『選挙の現場』一般市民が担う「投票立会人」を体験してみた

「投票立会人をやってみませんか?」2月8日の衆議院議員総選挙に向けて、自治体からそん…

25万人の凍死者が眠るバイカル湖 【悪魔のクレーター 世界最古の湖】

バイカル湖は、ロシアの南東に位置し、世界でもっとも深い湖として知られている。シベリア…

古代の農業の歴史 「最古の農業は23000年前」

農業の始まりどの国においても、農業は重要な位置を占める。人類は元々狩猟採取を行なって生き…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP