大正&昭和

マヨネーズは昔「1700円の高級品」だった 【日本では大正時代に初めて発売】

マヨネーズ

画像 : マヨネーズ ※photoAC ヨッシーくん

現在、日本のどこの食卓にもあるであろうマヨネーズ

「マヨラー」という言葉が生まれるほど美味で大人気の調味料・マヨネーズであるが、いつどこで生まれたのだろうか?

マヨネーズの起源

マヨネーズは18世紀以前から、スペイン領地中海西部のメノルカ島で愛用されていた。

当時イギリス領だったメノルカ島に、フランスのリシュリュー公率いる軍勢が攻め込み、イギリス・スペイン連合軍を包囲した。

布陣を終えた公爵は、メノルカ島のマオンという港町で、とある料理屋に入った。

そこで出された肉料理にかけられていた調味料は卵、油、レモン果汁を使ったソースであり、その美味しさに感激した公爵が後に「マオンのソース」としてパリで広めたという。

それはパリで「Mahonnaise(マオンネーズ)」と呼ばれ、その後「Mayonnaise(マヨネーズ)」となったというのが、通説である。

日本では最初全然売れなかった

日本でマヨネーズが初めて販売されたのは、キユーピーが発売した「キユーピーマヨネーズ」であり、1925年(大正14年)3月9日である。

マヨネーズ

画像 : キューピー創業者中島董一郎氏 public domain

アメリカで缶詰の勉強をしていたキユーピー株式会社の創始者・中島董一郎氏がアメリカでマヨネーズを知り、帰国後に日本で製造を開始した。

しかし当時は電動ミキサーがなく、製造過程で混ぜ合わせるのに大変手間がかかった上に、材料の卵も高価だった。

よって当時のマヨネーズの販売価格は128グラム入りで50銭、現代価格で換算すると約1,700円近くに相当する高級品になってしまったのである。

しかも百貨店でしか買えなかったので、初年度の出荷量はわずか600キロで、全然売れなかったという。
アメリカでは当時から日常的に生野菜が食べられ、マヨネーズもソースとして人気となったが、大正時代の日本では生野菜を食べる習慣がほとんどなかったのも要因である。

しかしその後、積極的な開発と広告活動が実を結び、1941年(昭和16年)の年間出荷量は500トン近くとなった。

太平洋戦争の頃にはすっかり普及し、大日本帝国陸軍の給食でもマヨネーズは生野菜に合うソースとして愛用されていたという。

参考文献 :もののはじまり おもしろ雑学

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 日露戦争から45年間、日本海軍と共にあった装甲巡洋艦 「出雲」
  2. お子様ランチを大人が注文できない理由とは?
  3. 大勝利と大敗北・日本海軍と丁字戦法
  4. 「田畑政治ゆかりの地」案内板設置全11ヶ所へ行ってみた
  5. 【文豪たちをメロメロにさせた魔性の美人記者】波多野秋子 ~人気作…
  6. 江戸時代の肉食文化 について調べてみた【肉は薬?!】
  7. 日本人と「あの食べ物」の出会いとは? 【カレー、アイスクリーム、…
  8. 26歳で夭折した「永遠の乙女」及川道子 〜恋人の事故死、結核…清…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

家に住みついて幸運を呼ぶ、世界の不思議な『座敷童子』系の妖精伝承

座敷童子(ざしきわらし)という妖怪の話を聞いたことがある人は多いだろう。この妖怪は東…

日本初のサンタクロース『三太九郎』 〜義理人情を重んじる北国生まれの男だった

キラキラしたイルミネーションやカラフルなツリーのディスプレーなど、街中が華やかに彩られるクリスマスシ…

中国の『債務帝国主義』とは「低中所得国を巨額融資で支配する?」

世界各地で進むインフラ建設の背後には、中国が掲げる「一帯一路」構想がある。道路や鉄道、港湾の…

始皇帝陵で「ヨガのポーズの人形」が発見される

新たな発見2011年6月4日、更に詳しい発掘調査が開始した。「百戲俑坑」の位置は…

カメハメハ大王について調べてみた 「太平洋のナポレオン」

<画像提供:えだきむ>ハワイ諸島の起源ハワイといえば、リゾート地として日本…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP