健康

抗うつ薬はくせになる?調べてみた

令和2年。新しい時代になったが今もうつ病などの精神疾患には偏見がつきまとう。

そのうちの一つが「薬に頼らず気の持ちようで直せ」というものだ。

また、ネットでは、自然派の人や精神科の薬に反対派の意見も多く見られるため

抗うつ薬はくせになるから自然な治療法に切り替えた方がよい
精神科の薬を飲む人はODをして自殺を図るのではないか

というイメージを抱いてしまう人もいる。
抗うつ薬はくせになる?調べてみた

実際のところは、どうなのだろうか。今回は、抗うつ薬について見ていこう。

■うつ病と抗うつ薬

うつ病 はすっかりポピュラーな精神疾患となった。

しかし、肝心の発病原因については現在まだ科学的に解明しきれていない部分が多く残る。
それでも、たゆまぬ研究の結果として、脳神経細胞同士の神経伝達機能が障害されて起こる疾患であることが判明している。

抗うつ薬は、そこへ化学的に働きかけてうつ症状を改善しようとするものである。

1950年代に開発された抗うつ薬だが、世代を重ねるごとに研究が重ねられ、より副作用が少なく安全なものが出てきている。

<抗うつ薬の一覧>
モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)
三環系抗うつ薬(TCA)
四環系抗うつ薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
セロトニン遮断再取り込み阻害薬(SARI)
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

このうち、SSRI以降の抗うつ薬が現在では主に処方されている。

■抗うつ薬の効き方

抗うつ薬は飲んですぐ効果が出るものではない。

飲み始めてしばらくは副作用が強く出るため、一週間ほどは効いている感じがしないのに、吐き気や眠気、ふらつきなどが出る。
この期間は不快で不安に感じることもあるが、焦ってはいけない。

じきに副作用は落ち着くので、そこから効果判定までは様子見だ。
早くても2週間、遅くて8週間ほど経ってから効果が見えてくる。

この時点で、気分の安定や意欲の向上など、効果が出ていれば続けて長期間服用していく。

もし効果が出ていない場合は、
医師の見立てが違う(典型的な「うつ病」ではなかった)
あるいは薬が合っていない(別の抗うつ薬なら効く可能性有り)
などが考えられる。

精神科に限らず他の診療科でも、治療薬の微妙な違いや使い分けに関しては高い専門性が必要となる。

まして、目に見える数値や画像で初見が得られないメンタル系の病気ともなれば、その鑑別や最適な薬の決定などは更に難しくなる。

もし効果のある抗うつ薬が処方されなかったとしても、その医師が悪い医師ということには必ずしもならないのだ。

■抗うつ剤はやめられる

効果が出た、効果が出ない、いずれの場合であっても、薬を急に変えたり中断したりすることは危険である。

医師の指示に従わず素人判断で薬を増減することは、副作用のリスクだけでなく、元々のうつ症状をぶり返したり、悪化させることにもつながる。
基本的には2~3か月ほどかけて、医師の指示通り容量を少しずつ減らしていく。

抗うつ薬が有効であり、症状が消えたケースの場合、治療は成功してめでたしめでたし、と言いたいところだ。

が、再発を予防するために1~2年ほど継続して服薬するケースもある。いずれにしても、医師の指示に従おう。

抗うつ薬はくせになる?調べてみた

精神系の薬に対して正しい知識のない人の中には、
漠然と「くせになる怖いもの」「飲まない方がいいもの」と信じている人もいる。

しかし、現行の抗うつ薬はそういう性質のものではない。

やめたければいつでもやめられるし、うつ病の苦しさで日常生活に支障が出るくらいなら、飲んだ方が良いのだ。

急な中断による離脱症状は、医師の指示通りに減らしていけば心配は不要。
一番恐ろしいものは、素人判断や、用法・容量を守らない飲み方だ。

■周囲の人ができること

このように、抗うつ薬の使用は原則として慎重になされる。
医療は進歩し、法律も改正され、昔よりもはるかに抗うつ薬を取り巻く状況は安全になってきている。

現代において一番危ないのは、周囲と本人の無理解だと言って差し支えないだろう。
うつ病は、アドバイスや表面的な慰めでは治らない。

発症させてしまった時点で、気の持ちようのレベルを超えている。
心の病気でも、治療の主体は本人、処方をできるのは医師だ。
本人の体感や考え、自由意志を最大限尊重し、周囲の人は本人を「支える」だけだ。

支えるといっても、どう接したらよいか分からずぎこちなくなるかもしれない。

うつ病になる背景としては、脳や精神への負担を上手に逃がせない本人の性格傾向が影響していることがある。

つまり、本人に余計なことを言って新たなストレスを感じさせないよう、あたたかい気長な気持ちで見守ることがまず必要になる。
もし可能であれば、本人が抱えたストレスを吐き出せるよう、静かに話を聴くことも有効だ。

「精神科の薬は危険だから飲まない方が良い」そんなデマに左右されそうな時は、妄信せず、様々な情報をもとに判断する。

そういった冷静な姿勢は、うつ病当事者であってもそうでなくても、必要なものであることは間違いないだろう。

なにごともイメージで決めつけず、固定観念を持ちすぎず、

「私の認識はこうだが、本当はどうなのか」
「今、目の前にいる人はどうありたいのか」

こう自問自答できる姿勢を持ち、うつに負けない人であろう。

 

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