思想、哲学、心理学

フロイトの半生とヒステリー治療について調べてみた

「心理学界で知らない人はいない、ジーグムントフロイトの半生とヒステリー治療」

フロイトの半生とヒステリー治療について調べてみた

※クラーク大学にて前列左からフロイト、スタンレー・ホール、ユング。後列アブラハム・ブリル、アーネスト・ジョーンズ、フェレンツィ・シャーンドル

ジーグムント・フロイト(Sigmurd Freud)と言えばオーストリアの心理学者であり、精神分析学の創始者である。

心理学の世界で知らない者はいないだろうとも言える、心理学の祖だ。彼は、1856年から1939年までの生涯を送り、最後は末期がんに侵され安楽死を望み、モルヒネの大量投与によって9月23日夜、ロンドンにて83歳でその生涯を終えた。

なぜフロイトは心理学界で有名なのか

S,フロイトといえば知らない者はいないと言えるほど有名なのは、彼が心理学の世界においてその存在を無視できないほどの発見を多々し、現在においても精神分析学において重要な視点を担っているからだ。

彼はもともと、脳神経や脊髄神経細胞の研究をしていた。そして後、脳性まひや失語症の研究、コカインの研究、そして1885年彼が29歳のとき、ヒステリーの研究で有名なジャン=マルタン・シャルコーのもとで催眠によるヒステリー治療を学んだ。

※ヒステリーについて、臨床講義を行うシャルコー

これは彼に「催眠でもとりのぞけない物がある。本人が意識していない部分で、何かしらの強い力が作用している」という考えを与え、後の無意識という発想につながっていった。

自由連想法

フロイトの半生とヒステリー治療について調べてみた

自由連想法とは、何かしらのある言葉を与えられた時に、その言葉から心に浮かぶままに言葉を連想していく方法である。

日本で「マジカルバナナ」というゲームが流行ったことがある。「バナナといったら?」がスタートで、バナナから連想されるものを「黄色」「黄色といったらレモン」「レモンといったらすっぱい」というようにその物から連想される事柄をリズムに合わせて次々とつなげていくゲームである。

自由連想法は、言葉同士が全くつながっていなくても良い。例えば「靴」という単語に対して「昨日夕飯にビーフシチューを食べたの」というような連想でも全く構わない。というより、一見連想していないような事柄でも「靴を履こうとした時に火にかけていたビーフシチューの存在を思いだし慌てて止めに戻った」という事実があるかもしれない。

重要なことは、本人にとってその単語から連想される事柄であることだ。

自由連想法と精神分析

ソファーやベッドなどくつろげる空間に横になり、そっと目を閉じて連想を行う自由連想法

この自由連想法は、人間には無意識という層が存在し、我々が普段認識している意識という層は氷山の一角のようにわずかであり、その海の下には見えないけれどかなり広大な氷の固まり=無意識という層が存在している。そしてこの無意識の層は我々人間に多大な影響を及ぼしているという考えのもとに作られている。

フロイトは数々のヒステリー症状の治療において、決して嘘やごまかしではなく本人が認識していない何かがある。それを意識することでヒステリーの症状は改善する。と考えた。

そしてその認識していない何か(無意識)の層には、人間にとって根本である抑圧された欲望や自我、超自我、言い方を変えると「天使と悪魔」のような極端な意思が存在している。

我々人間が欲望のままに生きれば、社会やルールは破綻する。そうならないために我々は適度にはめを外し自由を楽しみ、それでいてきちんと仕事や学業にはげみルールや社会的マナーを守る。しかし日常の中ではその無意識にいる欲望を意識することはない。それどころか、意識することすらできない。

意識には、常日頃から意識している意識の層と、普段は無意識の層に存在するが意識することで意識の層にあがる前意識、そして意識することすらできない、認知していない層にある無意識にわけられる。

フロイトは自由連想法により、意識していない前意識や無意識を表層化し本人に気づかせることでヒステリー症状を改善するこの治療法を精神分析と名付けた。

ヒステリーの治療例

フロイトの半生とヒステリー治療について調べてみた

当時ヒステリーとは、急に叫びだす、怒り出す、手がつけないほど暴れだすという症状以外に、部屋に引きこもる、食事を食べなくなる、風邪ではないのに身体がだるい、怪我ではないのに身体が動かない、幻覚や幻聴などの現在でいう引きこもりや鬱、神経症や心身症などの症状もまとめてそう呼んでいた。

そのため、フロイトのもとにも様々な身体的には病気や怪我がないのに異変が起こっている患者が訪れた。

そんなある時、フロイトのもとへエリザベートと名乗る女性がやってきた。

彼女は三姉妹の末娘であり、父親が病気で倒れた際も献身的に看病した。その後、父親が亡くなり姉二人は結婚、末娘のエリザベートは同じく身体の弱い母親と暮らすことになった。

久方ぶりに母親と三姉妹が避暑地で休暇を過ごしていると、エリザベートの両足が激しく痛み歩行が困難になった。これは、父親を看病していた時におきた右足の激痛に酷似している。その後、エリザベートが二番目の姉の夫と散歩に出かけた時も同じような強い痛みが足にはしり、二番目の姉が妊娠出産の影響で持病の心臓疾患を悪化させ亡くなってしまった時、ついに動かないほどになってしまった。

車椅子にのってフロイトのもとにやってくるエリザベートは、フロイトによる自由連想法で「二番目の姉」「姉の夫」に関することを話すときに足に激しい痛みを訴えた。その後も、無理のない範囲で連想を続けてもらうと、やがて彼女は「姉が亡くなったことで、義兄と結婚できるのではないかと思ってしまった。」と語った。

エリザベートは、姉が亡くなった葬儀場でそのようなことを考えたが、すぐにそんな思いは持ってはいけないと無意識の層に封じ込めた。その結果、彼女の抑圧された欲望は足の痛みとなって表出したのだ。

彼女の足の痛みは、初め父の看病の時に表出したが、それも「デートに行っていたら父の病が悪化した」ことから感じた苛立ちと罪悪感や自責感であり、足の痛みは彼女が父親の看病をしているときに父親の足を自分の右足に乗せて、包帯を交換していたことからだろうと推測された。

これはフロイトによるヒステリーの治療例で最も有名な例であり、その後彼女は抑圧された感情を表出し意識し昇華することで、足の症状はなくなり再び歩けるようになった。

フロイトの精神分析がその後の心理学に与えた影響(まとめ)

フロイトの精神分析は、無意識という意識できない層の発見により発展した。

無意識化に存在する欲望にはどのような物があり、それを抑圧することでどのようなことが起こるのか。そして現代においても、無意識が起こす人間の行動はむしろ意識層より重要視されている。

カウンセリングにおいても、無意識を表出させることや本人に自覚させ受け入れさせることは最も大切にしている事だ。フロイトは、心理学界において決して無くなることのない功績を残した人物であり、その名と意思はこれからも引き継がれていくことだろう。

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