健康

なってからでは遅い!?糖尿病の予防法

糖尿病。脂質異常症や高血圧と並ぶ、生活習慣病。

メタボリックシンドロームの構成要素となりうる糖尿病は、日頃あまり話題には上らないものだが悪化すると心臓病、腎不全、脚部の壊死や失明にもつながる危険な病だ。

糖質制限等も話題となった今、改めて糖尿病の正体とその予防法を見ていこう。

なってからでは遅い!?糖尿病の予防法

糖尿病とは

そもそも、糖尿病とは何か。
それを把握するために、シンプルなメカニズムを理解する必要がある。

ヒトは食事をすることにより、炭水化物を摂取する。
炭水化物は腸でブドウ糖となり、血液の中に混ざる。
血中にブドウ糖が入り、血糖値がわずかに上昇する。
血糖値に反応し、膵臓がインスリンを分泌する。
インスリンは肝臓・筋肉・脂肪の各組織に働きかけ、エネルギー源であるブドウ糖を各細胞内に取り込ませる。
これにより、健康なヒトの血糖値は上昇しすぎず、一定の範囲内におさまる。

食事をし、それがエネルギーとして活用されるためには以上のはたらきが必要となるが、ここで鍵となる「インスリン」に問題が起きると、ブドウ糖が活用されない。
それにより血糖値が異常に高くなる。これが糖尿病だ。

インスリンの問題には二種類ある。

一つは、膵臓がうまくインスリンを分泌できなくなるパターン(分泌低下)。
もう一つは、分泌されたインスリンがうまく作用しなくなるパターン(抵抗性)だ。

このいずれかが起こった場合、治療が不可欠となる。
自然に治癒することはなく、放置すると高血糖が血管や神経を傷つけ重症化していく。
また、急激に血糖値が上がりすぎると昏睡状態に陥ることもある。

決して油断のできない病、それが糖尿病だ。

4つの糖尿病

さて、ひとくちに糖尿病と言っても実は幾つかの種類に分けられる。

それらは、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠糖尿病その他の糖尿病だ。

なってからでは遅い!?糖尿病の予防法

I型糖尿病

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるが、免疫反応が起こることによってその細胞が壊れて起こるものだ。

β細胞が完全に壊れてしまうと、最終的にはインスリンの分泌が不可能となり、生命維持のためにはインスリン注射が必要になる(インスリン依存状態)。

I型糖尿病の特徴としては、

・若年で発症することも多い
・急激に起こるケースが多い
・やせ型の体型が多い

というものがある。

II型糖尿病

こちらは一般にイメージされやすいパターンで、実に糖尿病の9割を占める。

これは、生まれつきインスリンの分泌が少ないOR組織内で効きにくい体質があり、そこに幾つかの因子(食べすぎ、肥満、運動不足、ストレス)が引き金となって血糖値が上がるものだ。

簡単に言えば、生活習慣が悪すぎるとインスリンが効きにくくなっていくということだ。

II型糖尿病の特徴としては、

・中高年に多い
・気づかぬうちにじわじわと進行する
・肥満体型が多い

というものが上げられる。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、女性に限定された特殊なものだ。
これは本当の糖尿病ではないが、妊娠中に高血糖が判明したケースのことを指す。

基本的に妊婦の場合、糖が胎児の栄養として奪われるため、食前の空腹時血糖値は妊娠前より低くなる。
一方、胎盤から分泌されるホルモンが影響しインスリンが効きにくくなるため、食後の血糖値は上がりやすくなるのが特徴だ。

このケースの多くは、出産後元の値に戻るが、この妊娠糖尿病といわれた経験者は将来糖尿病になる可能性が高いとも言われる。

その他の糖尿病

これは、非典型的なものが原因となって起こる糖尿病だ。

具体的には、遺伝子異常、内分泌系の疾患、膵臓病、肝臓病など多岐にわたる。

I型糖尿病もそうだが、生活習慣とは関係なく起こることもあるのが糖尿病の怖さでもある。

糖尿病の予防法

では、どうすれば糖尿病を予防できるか。リスクを低減させることができるか。

基本的には摂取カロリーの制限と運動が主なものになる。

特にII型糖尿病の場合、食事療法運動療法は必須だ。

肥満体型の場合、まずは体重を5%減量するのが目標だ。

特に、血縁者に糖尿病患者がいる場合は要注意であり、また、肥満・高血圧・脂質異常症(LDLコレステロール高値など)心臓血管病につながる危険因子がある場合、意識的に予防に取り組んだ方がよい。

なってからでは遅い!?糖尿病の予防法

食事療法といっても、無理なダイエットや特殊な健康食品を摂取する必要はない。
自分の年齢、体格、日頃の運動量に見合ったカロリーを算出し、医師などと相談の上食事を決める。

肥満体型の場合、血糖値を下げるためだけでなく、動脈硬化予防のためにも食事内容の管理による減量が重要になってくる。
食後血糖値の急上昇を防ぐためには、食物繊維が多い野菜類を先に食べることが薦められる。

そうは言っても野菜を摂りづらいという場合、水溶性食物繊維を含んだ特保の飲料を飲むことも有効だ。

運動療法も、強度の筋トレや息が切れるようなランニングの必要はない。
基本はウォーキング。15分〜30分ほどのウォーキングを一日二回、一万歩が目安だ。

勿論、ウォーキングは物足りない、つまらないという人はより充実した運動プログラムを組むのも良い。
運動をする際に消費カロリーが注目されがちな風潮があるが、効果はその他にもある。

運動は血液中のブドウ糖を有効利用するだけでなく、筋肉組織の維持・発達や中性脂肪値低下、善玉コレステロール増加といったメリットもあるのだ。

どうせなら未然に予防を

9割を占めるII型糖尿病は生活習慣病であり、予防においても治療においても食事制限と運動が欠かせない。

医療機関で判明するまで放っておく、高血糖気味であることを知っていても無視する、というようなことをしていると飲み薬による治療が必要になってくる。

そして行くところまで悪化すると、インスリン注射のお世話になる羽目になる。
医療費がかかり、煩わしく、健康上の不安もつきまとう状況だ。

発病のメカニズムや治療法が分かっているのであれば、未然に予防するのが賢明だ。

医師に指示されてから取り組むよりも、先手を打って健康状態をコントロールする。

そういったマインドで少しずつ取り組めば、糖尿病のリスクは自力で遠ざけられる。

 

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