■シュガーレス・ノンシュガー食品の真実
スーパーマーケットやコンビニ等で目にするシュガーレス・ノンシュガーの飲料や食品。
これらは直訳すれば「砂糖がない」という意味になるため、太りたくない人や虫歯が気になる人、そして血糖値の上昇に気を使っている人達が手に取りやすくなっている。
今回は、そんな「糖ひかえめ」食品の実際に迫ってみよう。
■シュガーレス・ノンシュガーの定義とは?
さて、カロリー控えめで身体に優しいと思われがちなシュガーレス・ノンシュガー食品。
実際のところはどうなのだろうか。
まず、この表記には法律上の根拠がある。
シュガーレス・ノンシュガーと表示することが許されているのは、その食品100g当たりに含まれる「糖類」が0.5g以下の商品に限られている。
逆に言えば、100g当たり0.5gぴったり糖類が含まれていれば、それでもシュガーレス・ノンシュガー・無糖・糖類ゼロと表記できてしまう。
「糖類」とは何か。誰にもよく知られている砂糖のほかにもブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖といった糖類がある。
私たちは何となく「砂糖が入っていないから体に良いだろう」という感覚で手に取るシュガーレス・ノンシュガー商品だが、実際には砂糖やその仲間が100g当たり0.5gまで含まれている可能性がある。
シュガーレス・ノンシュガー表記のない通常の飲食物に比べれば確かに「糖がない」とは言えるけれども、だから「虫歯にならない」「太らない」「血糖値が全く上がらない」などということは無い点に留意したい。
■甘味料の種類
さて、シュガーレス・ノンシュガー製品の特徴がある。それは
「本来、甘みを感じる食品の糖類を別の甘味料で置き換えてカロリーを低減させている」ことだろう。
砂糖やブドウ糖、麦芽糖などの「糖類」の代用として用いられる甘味料には以下のようなものがある。
<人工甘味料>
・アスパルテーム
・サッカリン
・アセスルファムK
・スクラロース
主な用途:清涼飲料水・菓子
特徴:自然界に存在しない。中には発がん性等の健康リスクが議論されたものもあったが、現在使用されているものについては健常な人が常識的な量摂取する分には問題ないという説もある。
<糖アルコール>
・キシリトール
・エリスリトール
・マルチトール
・ソルビトール
・マンニトール
・還元水飴
・還元パラチノース
主な用途:ガム・キャンディー
特徴:これらは総じて小腸から吸収されにくく、多量摂取すると便がゆるくなるケースがある。
砂糖よりも血糖値の上昇が少ない傾向あり。口内で酸を作りにくいため虫歯になりにくいともされる。
<天然甘味料>
・ステビア
主な用途:清涼飲料水・スナック菓子
特徴:単なる代替甘味料としてだけでなく、医学的研究によってさまざまな健康効果も報告されている。
しかし一説によれば安全性を疑問視する意見もあり、他の甘味料同様、摂取すべきかどうかについては賛否は分かれる。
15年ほど前に比べると近年利用されている商品は少なくなった。
糖類の代わりとして用いられる甘味料は以上のように多岐にわたる。
■代替甘味料を摂取するメリット、デメリット
これらの甘味料を糖類の代わりとして摂取するメリットは何だろうか。
消費者感情として第一にあるのは「カロリーを抑え糖質カットしたい」という意識であることは間違いないだろう。
また、適切な甘味料を使い分けることにより、血糖値コントロールやう蝕(虫歯)予防に一定の効果があるという医学的エビデンスも出ている。
一方、それらの甘味料のデメリットもある。
人が食事をするのは栄養補給のため、そして味覚を楽しませることが主な目的だ。
甘味のある飲食物の中には、あくまで砂糖だから得られる満足感があり、砂糖抜きでは物足りなく感じることも多くある。
味の物足りなさを量で補おうと、結果食べすぎてしまう場合もある。
それだけではない。代替甘味料(特にアスパルテーム)は腸内細菌叢のバランスを崩すことが報告されており、カロリー0のはずなのに肥満等を招いてしまう可能性があると示唆されている。
それでは本末転倒だ。それなら最初から砂糖を使って満足感を得た方が賢いのではないか、という話になってくる。
■カロリー0でも使い過ぎず賢く
砂糖もその他の甘味料も、とりすぎは身体に害をおよぼす可能性がある。
れはどの食品や薬品についても同じことで、異なるのは「どこからが摂りすぎか」「害とはどんなものか」といった点になってくる。
それについて、私たちは確かな情報を持っているわけではない。
そのため、どこかの誰かが主張する情報を信じるほかない。
インターネット、書籍、TV番組など様々な情報源があるが、基本的には持病や特殊な体質がない限り、糖類も代替甘味料もその他の食品も「適度に・美味しく・バランス良く」摂取していけば大きな間違いにはならない。
現代社会ではカロリー過多や糖質過多が叫ばれている。
それは単に、糖質の摂取を他の甘味料に置き換えてカロリーダウンをすれば済むという問題ではない。
ジャンクな食生活の中毒になっていないか。
過剰なストレスを適切に発散できているか。
ほどよい運動を行い、心身の調子を整えられているか。
そういった側面を見直して、カロリー・糖質だけに振り回されない賢い消費者でありたい。
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