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ディズニーパークの城のモデル「ノイシュヴァンシュタイン城」について調べてみた

ウォルト・ディズニーの思いが込められた城

ディズニーパークには、ランドマークとなる城がパークの中心にそびえ立ち、豪華な建築様式で多くの来場者を魅了し続けている。

 

ディズニーパークの城のモデルが「ノイシュヴァンシュタイン城」であることはディズニーファンにとっては有名な事実だが、世界に全6か所あるディズニーパークの城は統一されていない。

 

(画像引用 wikipedia)
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マジック・キングダム(フロリダ)、東京ディズニーランドの2か所は「シンデレラ城」。

ディズニーランド(アナハイム)、ディズニーランド・パリ香港ディズニーランドの3か所は『眠れる森の美女』の城がシンボルとなっている。

上海ディズニーランドの城は”Enchanted Storybook Castle
” (魔法にかけられたおとぎの城)と名付けられ、全ディズニープリンセスが集まる城とされている。

 

なかでも注目すべきなのは、1953年から制作が始まり1959年に公開された『眠れる森の美女』に登場する城である。

1955年に開園した最初のディズニーランド(アナハイム)で『眠れる森の美女』を宣伝する目的もあり、この城がシンボルとして採用されたという背景があった。

(画像提供 えだきむ)

ウォルト・ディズニーが童話原作のアニメーションに携わった最後の作品でもあり、思い入れもひとしおだろう。

ハーブ・ライマン(イラストレーター)によってデザインされた「眠れる森の美女の城」は、ノイシュヴァンシュタイン城に感化された。

 と公式にも発表されており、夢の国の城にまで影響を与えることになった。

 

ディズニーの城のモデルとなった、この「ノイシュヴァンシュタイン城」は、どんな人物がどのような目的で建てたのだろうか。

 

ドイツのノイシュヴァンシュタイン城

ドイツ南部のバイエルン州フュッセンの近郊に、中世風の美しい城がある。

切り立ったペラート峡谷のはるか上方にある岩山に高々と立ち、周囲を威圧するかのように美しくそびえる「ノイシュヴァンシュタイン城」だ。

 

(画像引用 wikipedia)

現代では、「ロマンティック街道」というドイツの観光街道があり、ヴュルツブルクからフュッセンまでの全長約350㎞がドイツ南部のバイエルン州を南北に縦断している。

中世の面影を残した城や都市が点在し、その街道上にこのノイシュヴァンシュタイン城は存在する。

城の名にある「シュヴァン(shwan)」はドイツ語で「白鳥」を意味し、まるで森に降り立つ美しい白鳥のような白亜の城でたいへん優美で気高い。

ドイツの旅行誌などには必ずといっていいほど記載されており、誰もが憧れ訪れてみたい場所だろう。

 

ノイシュヴァンシュタイン城は19世紀後半、バイエルンの国王ルートヴィヒ2世が建築させた。

 

(画像引用 wikipedia)

 

美観を第一に考えて建築されているので、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック建築とさまざまな建築様式が取り入れられている。

 

外観だけでなく城内もこだわり抜かれている。
豪華絢爛な王座の間、精巧な織物に見事な刺繡を施したファブリックが寝室を彩り、当時としては最新設備を備えた蛇口は温水冷水が流れた。

 

居間を抜けると地上4階になんと洞窟があるというから驚きだ。

ルートヴィヒ2世が愛してやまない音楽家リヒャルト・ワーグナーが作曲したオペラ『タンホイザー』にでてくるヴィーナスの洞窟を再現して造られている。

 

実は他にもワーグナーの影があちらこちらに散りばめられており、ルートヴィヒ2世の熱烈なワーグナーへの想いがこの城を造らせたといっても過言ではない。

 

ルートヴィヒ2世の数奇なる生涯

ルートヴィヒ2世は幼い頃、史実やドイツの英雄伝説であふれていた壁画や中世を思わせる豪華な装飾に囲まれて育ち、鋭い感受性を身につける。

父、マクシミリアン2世の急死により若干18歳で王位に就いたルートヴィヒ2世は、凛々しい顔立ちでバイエルン最年少の最も美しい王と言われ、民衆たちは魅了された。

 

もともと政治にはわりと無関心で、統治する努力はするものの1864年より即位して2年後には都会生活に嫌気がさし、あらゆる機会を利用して山間へ逃げ出してしまう。

ドイツでの覇権をめぐっては、かねがねオーストリアとプロイセンが対立するなか、ルイ14世に象徴される絶対権力を理想としたが叶うこともなく、政治情勢も彼の心を荒廃させた。

 

幼少期に親しんだ中世の騎士や音楽にのめり込み、空想世界へ逃げるルートヴィヒ2世にも出会いはあった。

宮廷劇場の若手俳優カインツとの同性愛関係、公女ゾフィとの婚約。

しかし、やはり「自由がほしい」と結婚式を延期し、最終的には婚約破棄するなど、王という立場を考えず思いのままの恋愛を繰り返す。

 

その後も複数の女性に心酔するが、ルートヴィヒ2世にとって「ある人」との出会いが国家の財政を揺るがし、自身の命をも失う結果をもたらしてしまことになる。

 

その相手こそが前述した音楽家、ワーグナーである。

 

(画像引用 wikipedia)

 

上記でもご紹介したが、ノイシュヴァンシュタイン城はワーグナーへの友情というよりは「愛の証」として建てられたものだった。

ワーグナー自身はささげられながらも、この城を見ることなくこの世を去ってしまうが、ルートヴィヒ2世はこの城が完成しないうちから住みだし、ワーグナーを想いながら空想の世界に浸っていたという。

 

1868年から約20年間で、彼はノイシュヴァンシュタイン城以外にもいくつか建物を建築するよう命じ、そのために建設に膨大な資金が投じられた。

財政を危惧したお付きの者たちは、複数の医師に「王の精神は異常な状態にある」という診断書を作成させ、廃位となり幽閉の身となってしまう。

 

監視のもと、ベルク城付近で付き添いの医師とともに湖畔を散歩するが、その後、姿を消し、二人そろって溺死体となって発見された。

ルートヴィヒ2世が自殺を図り、それを医師が止めようとして事故となったともいわれているが、現場を見たものはおらず原因は不明のままである。

 

君主としての理想の喪失、愛する友人との永遠の別れなどにより、「夢想の住人」となり果てたルートヴィヒ2世の唯一の夢を実現したのが、「ノイシュヴァンシュタイン城」だったのではないだろうか。

今日も観光客たちはそんなメルヘン王が造り上げた城に魅了され、ディズニーパークの元となったこの城に集まり続ける。
ルートヴィヒ2世は今、何を思うのだろうか。

 

≪参考文献≫

『美と狂気の王ルートヴィヒⅡ世』 (マルタ・シャート著  西川賢一翻訳 講談社)

 


『ルートヴィヒⅡ世の世界 オーバーバイエルンとシュワーベンにある城と王宮』 (ペーター・O・クリュックマン著  竹内智子翻訳 プレステル出版)

 


『ここだけは行ってみたい 城のある景色』 (手塚史 ピエ・ブックス)
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