自然&動物

イルカに秘められた能力とは? 「新しいメンタル治療として話題のイルカセラピー」

動物と触れ合うことで心が癒され、生活に必要な活力が養われる効果が発揮されている『アニマルセラピー』は、ストレスの減少だけでなく筋肉機能のリハビリや、認知機能低下の予防の効果が期待される療法である。

『アニマルセラピー』という言葉は日本独自の表現であり、一緒に暮らす愛犬や愛猫との交流もセラピーの一種と考えられている。

人間と動物の信頼関係を築く福祉活動に属する『アニマルセラピー』は、病院や施設、自宅に動物たちを招く方法が一般的だが、セラピーを必要とする側が自ら動物たちに会いに行く方法もある。

その代表的な例として「イルカセラピー」が挙げられる。

広い海をイルカと一緒に泳ぐことで心の安定と筋肉機能の改善に繋がるといわれ、『ドルフィン・アシステッド・セラピー』という正式名称を持つ医療界からも注目を浴びている療法だ。

壮大な自然の中で体験できる新しいメンタル治療として、多くの場所で実施されている。

イルカに秘められた能力とは?

イルカに秘められた能力とは?

頭が良く家族愛も強い社交的なイルカは、聴覚がとても優れた動物だ。

イルカ同士のコミュニケーションは互いに発する『超音波』と『アイコンタクト』で行っていることから、イルカは『テレパシー』が使える動物だという人もいる。その言葉通り、イルカが海の中で発する『超音波』は、人間の健康状態までも察知できる特殊能力が備わっているというから驚きである。

また、水族館などで聞く高い笛のようなイルカの鳴き声や、じっと目を見つめる仕草、空高くジャンプしたり、体を揺らしたりするイルカの行動一つ一つも、感情を相手に表現するコミュニケーションの一環といえる。

イルカの性格にもよるが、違う種類同士で生活を共にしたり、危険が迫れば互いに助け合うこともあるという。海では基本的に群れで行動しているイルカは協調性も高く、相手との信頼関係を築くことを得意とする。

人間以上に好奇心が強いイルカが自ら人間に寄り添う姿は、とても微笑ましい。

「イルカセラピー」を通して心を開く切っ掛けになれば

発達支援プログラムの役目を果たしている「イルカセラピー」は、イルカという動物を通し人間の様々な症状改善を促す療法として、日本だけでなく海外でも熱心に取り組まれている。特に精神疾患の治療や発達教育の向上を目的に行われているため、世界中から「イルカセラピー」を望む多くの家族がセラピーに参加している。

主に精神的な不安による意思表示の困難や、意欲や活動性の低下が見られる人がセラピーの対象者となる。

もちろん最初から全ての人が「イルカセラピー」に上手く対応できるわけではない。初めての状況に戸惑いや恐怖を感じることも多く、環境に慣れるまでに時間を要する場合も少なくない。家族の懸命な協力と人間と動物の交流の架け橋を担う『アニマルセラピスト』の支えがあって、やっと実現できる療法だ。

患者への理解、忍耐力が必要とされる「イルカセラピー」だが、人間の心理状態を把握したイルカとの距離をゆっくりと保ち、セラピーを心から楽しめる瞬間を一つずつ増やしていく過程こそ、最大の治療法といえる。

イルカとの交流が奇跡的な効果を発揮する

イルカに秘められた能力とは?

人間に寄り添い、共に支え合う行動が取れるイルカとの交流を深めることで、自分の感情を自由に表現できる能力や前向きな思考が身についたという効果がいくつも報告されている。

イルカに触れてみたい。』という気持ちが人間の気力を高め、一緒に泳ぐことで体を動かす切っ掛けにもなり、体力を強めるリハビリ治療へと繋がる。

水中という日常と駆け離れた空間と、身近に触れることが難しいイルカという動物である2つの要素が、人の好奇心や達成感を味わうことに効果を発揮しているようである。

日本とハワイが繋ぐ「イルカセラピー」プロジェクト!!

年齢や性別、健康状態に分け隔てなく、世界中の全ての人が一人でも多く「イルカセラピー」に参加できるように、イルカとの触れ合いに特化した『ドルフィンヒーリングプログラム』が、日本の沖縄とハワイを舞台に動き出している。

医療従事者や、移動の手配をサポートするボランティアが同行するツアープログラムのため、家族も一緒にハワイや沖縄の魅力を堪能できる楽しい内容となっている。旅行会社から気軽に申し込むことが可能で、国内外の選択ができるのも嬉しい。

・沖縄とハワイを舞台に実施されている『ナイア ドルフィンヒーリングプログラム』
https://www.naiadolphin.com/study_tour/

イルカと出会える確率が平均で90%以上といわれるハワイは、日頃から人間とイルカが共存して暮らす環境が整っている。

イルカの他にも海に生息する魚やウミガメとの出会いも待ち受けているが、ハワイ州の法律によりウミガメへの接触は厳しく禁じられている。

イルカに秘められた能力とは?

ハワイの海で見られるウミガメ

今後の「イルカセラピー」の活動にも期待が高まる

イルカの特性を知り尽くした『アニマルセラピスト』の信頼できるサポートもあり、環境や安全に配慮したイルカとの触れ合いが楽しめる「イルカセラピー」。

知れば知るほど謎の多いイルカだが、人間に対し警戒心を見せず人懐っこい性格であることは確かだ。

医学では解決できない人間の精神的な癒やしを提供し、不安から一歩踏み出す勇気をイルカが与えてくれていることも間違いない。

人々の笑顔や喜びを引き出す不思議な魅力を持ったイルカが、これからの『アニマルセラピー』において、第一線で活躍していく存在であることにも変わりはない。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. ウェディングドレスの歴史について調べてみた
  2. 2050年には食べられなくなる?食卓から消えるかもしれない3つの…
  3. 猫は友達の名前と顔を覚えることができる ~研究結果が明らかに
  4. 平成元年(1989)の出来事「この年歴史はいろいろ変わった」前編…
  5. 悪魔達と聖人の壮絶な戦い 「各国の代表的な悪魔達」
  6. 象への虐待について調べてみた 「タイやインドの観光の陰」
  7. 日本の洗濯と洗濯機の歴史 「昔の洗剤~洗濯機の進化」
  8. 【日本の低賃金問題】 なぜ失われた20年になったのか? 「合理性…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

ただの遊び人じゃない?頼朝公の挙兵を助けた悪友・藤原邦通のエピソード【鎌倉殿の13人】

鎌倉文士(かまくらぶんし)と言えば、明治時代から昭和中期に鎌倉にゆかりのあった文豪たちをイメージする…

なぜ九州の『宇佐神宮』が 伊勢神宮と共に「二所宗廟」として扱われたのか?

宇佐神宮は、全国4万6000千社以上ある八幡神社の総本宮である。6世紀に宇佐の地に八…

世界と日本の「バレンタインデー」の違い 【バレンタインの起源】

新年を迎え、正月の一連行事を無事に終えた頃に店頭に姿を見せるのは、ショーケースの中に並べられ…

デパートメントHについて調べてみた

東京には知られざるアンダーグラウンドな物事が数多くあります。変◯さん、自己表現したい皆さん、…

奈良時代 ~平城京から平安京へ【遣唐使の再開】

奈良時代は、710年に平城京へ都が遷ってから平安京に遷都するまでの期間を指す。長岡京の10年…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP