国際情勢

『トランプ自動車関税25%』関税率が10倍に!日本の自動車メーカー未曾有の危機

2025年3月26日、衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。

トランプ米大統領が、4月2日から輸入自動車に25%程度の関税を課すと発表したのである。

この決定は、特に日本車にとって壊滅的な打撃となりかねない。
トヨタ、日産、ホンダなど、日本の自動車メーカーはアメリカ市場を主要な収益源としてきたが、この「関税爆弾」が炸裂すれば、その基盤が揺らぐ。

今回は、日本の自動車産業が直面する危機の全貌に迫ってみたい。

日本の自動車メーカーにとって悪夢の「トランプ関税」

画像 : 四輪車用のHマーク public domain

日本の自動車産業にとって、アメリカは最大の輸出先だ。

2024年のデータでは、年間約5兆円の自動車輸出額を記録し、トヨタだけでも約170万台を販売。プリウスやRAV4など人気車種はアメリカで広く支持され、日本経済の生命線となっている。

しかし、25%関税で車両価格は急騰し、3万ドルの車が3万7500ドルに跳ね上がる。消費者の購買意欲が冷え込み、日本車のシェア(約40%)が韓国車やテスラ、ヒュンダイに奪われる恐れがある。
販売関係者たちは「品質と価格のバランスが崩れる悪夢」と嘆いている。

生産拠点の「アメリカシフト」が解決策とされるが、トヨタやホンダはすでに米国に工場を持つものの、輸出依存車種も多く、短期間での切り替えは困難だ。サプライチェーンの再構築には数年と巨額投資が必要で、4月2日に間に合わない。

さらに、現地生産が増えれば日本国内の工場稼働率が低下し、雇用にも影響が及ぶ。愛知県豊田市などでは輸出減への懸念が広がり、下請けや非正規労働者の削減が危惧される。

約550万人の雇用を支える産業だけに、失業の連鎖も現実味を帯びる。

大手自動車メーカーはトランプ関税の直撃を受けるしかない

画像 : ドナルド・トランプ public domain

円安(1ドル=150円前後)が輸出企業の利益を支えてきたが、関税25%でその恩恵は吹き飛ぶ。

トヨタの2024年度営業利益4兆円超も、関税の影響で1兆円以上が消える可能性がある。
加えて、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策で日米貿易摩擦が再燃し、鉄鋼や電子機器への関税拡大も懸念される。

日本政府の対抗策はトランプの強硬姿勢を前に、効果が未知数だ。
自動車メーカーの新戦略
危機の中、トヨタはEVシフトと現地生産拡大を急ぎ、日産は中国や欧州市場の開拓でアメリカ依存を減らす戦略を進める。しかし、成果には時間がかかり、短期的な打撃は避けられない。

3月26日の東京市場ではトヨタ株が5%安となり、投資家の不安が広がる。アメリカでの日本車離れが進む一方、国内販売強化が予想されるが、内需だけでは輸出減を補えず、値下げ競争でメーカーの体力が削がれる可能性もある。

トランプの関税は、日本車の価格競争力喪失と市場縮小という二重苦をもたらすだろう。

政府と企業が連携した対策が急務だが、4月2日が迫る中、時間は少ない。
この未曾有の危機を乗り越えられるのか、日本の自動車産業は正念場を迎えている。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

アバター画像

エックスレバン

投稿者の記事一覧

国際社会の現在や歴史について研究し、現地に赴くなどして政治や経済、文化などを調査する。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 『中国の悲願』タイの「クラ運河」計画とは? 東洋のパナマ運河への…
  2. 「自由の女神」がある場所はニューヨークではなかった
  3. 外国人が理解しやすい「やさしい日本語」とは
  4. 世界初!アルバニアで「AI大臣」が誕生。汚職対策に期待と不安の声…
  5. 中国にある死亡村とは? 【謎の奇病、男女が入れ替わる?】
  6. 『プロ野球初の外国人選手』 スタルヒンの野球人生 ~300勝投手…
  7. 人類が根絶できたウイルス「天然痘」の歴史と被害
  8. 「新型コロナから5年」中国のワクチン外交を振り返る

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

武士を捨てた荒木村重の子・岩佐又兵衛 【呪怨の絵師の生涯】

岩佐又兵衛とは慶安3年(1650年)、豪華絢爛にして個性溢れる絵巻で知られた江戸時代初期…

「放屁論から男色本まで」平賀源内のあまりに破天荒すぎる創作世界とは

「戦いのない大河」とも評され、これまで歴史に関心のなかった層からも「おもしろい」と高い評価を受けてい…

片倉小十郎(景綱)とは ~伊達政宗を東北の覇者に押し上げた腹心

伊達家の参謀格の武将 片倉小十郎片倉景綱(かたくらかげつな)とは、東北の覇者となった伊達…

「皇帝ネロ」は本当に暴君だったのか? 【ローマ帝国】

ローマ帝国の第5代皇帝にして、「暴君」の代名詞としても歴史に名が残るネロ・クラウディウス…

アステカ帝国滅亡の元凶~ 裏切りの悪女・マリンチェとは

幼少時代マリンチェとは、15世紀末頃に現・コアツァコアルコス地方(メキシコ合衆国ベラクル…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP