マレーシアの「ジョホール州」という存在を知ったのは今から3年前のことだ。
私がマレーシア旅行を計画する過程で、マレーシア国内の地域を調べたことが切っ掛けだった。それから3年の月日が流れた2020年の秋に、私はこの「ジョホール州」に生活の拠点を移し、実際に移住生活を送っている。
目次
シンガポールへの玄関口であるマレーシアの「ジョホール州」
マレー半島最南の場所に位置するマレーシアの「ジョホール州」は、隣国『シンガポール』と『ジョホール・シンガポール・コーズウェイ』という1本の橋で繋がっている。
「ジョホール州」は、マレーシアとシンガポール間を陸路で国境越えが可能な地域であることから、物価の高い『シンガポール』への就職を希望し、マレーシアから国境を超えて働きに出る人も多い。
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうまでは、ジョホール州内のショッピングモールは常に、シンガポールからの客足で賑わいを見せる光景が広がっていた。
気軽に家族で足を運べる国外日帰り旅行の定番コースでもあったからだ。
新型コロナウイルスにおける出入国規制の規制に伴い、観光客で溢れ返っていたショッピングモール内は閑散としている日々が続き、無期限の休業や撤退を余儀なくされる店舗も相次いだ。
モール全体が閑散としているこの雰囲気を2年ほど間近で見ていると、その寂しさにも慣れてきてしまっている自分もいる。
免税地区として貴重なスポットでもある「ジョホール州」
マレーシアの免税区として一番有名なのは島全体が免税となっている『ランカウイ島』だが、「ジョホール州」にも免税区(Duty Free Zone)と呼ばれる地域がある。
マレーシアに駐在している日本人や長期移住者が多く利用しているスポットでもある。
ただし免税地区で購入した商品を国外へ持ち込むとなると、入国先の課税対象となるため注意が必要だ。
「ジョホール州」の免税区は、ショッピングモールとホテルが併設されているため、実際に向かう際は『ブルジャヤ・ウォーターフロントホテル(Berjaya Waterfront Hotel)』と行き先を伝えるとスムーズに到着することができる。
逆境の中でも観光業の発展と開発に期待がかかる「ジョホール州」
「ジョホール州」が誇る最大のテーマパークとして名を馳せているのが、2012年にオープンしたアジア最初の『レゴランド・マレーシア』である。
常夏の国マレーシアに特化した水族館やプールに、レゴランドホテルまで併設されているため、子供から大人まで思う存分楽しめる『レゴランド・マレーシア・リゾート』として親しまれている。
『レゴランド・マレーシア』は、設立当初から気軽に隣国に行ける立地を活かしシンガポールからの集客に狙いを定めていたこともあり、マレーシア国内にしては高めの価格設定ではあるが、出入国規制の壁が立ちはだかる今、マレーシア国内旅行には打って付けの場所として再注目されている。
マレーシアに駐在している家庭では、真っ先に足を運びたい期待のテーマパークとして話題になっているそうだ。
そして都州であるジョホール・バルから1時間ほどで到着する人気リゾート地『デサル・ビーチ(Desaru Beach)』も「ジョホール州」を代表する観光名所のひとつである。
「ジョホール州」の自然を体感できる南シナ海に面した『デサル・ビーチ』は、繰り返されるロックダウンの影響を受け営業再開の見通しが経たずにいた。
しかし、経済活動再開を目的に規制が緩和されている2021年12月時点では、家族でマリンスポーツを楽しむ様子や、美しい『デサル・ビーチ』の自然を背景に結婚写真の撮影を行う人々の姿が目立ち、リゾート地復活への明るい兆しが見えてきた。
世の中の流れがいつ通常に戻るか予想のつかない日常の中で、限られた範囲で工夫を凝らしながら楽しめるレジャースポットに注目が集まっている現在のマレーシア国内では、テーマパークや自然を題材とした「ジョホール州」の観光意欲に期待を寄せているようにも感じられる。
首都に引けを取らない多国籍に特化した食品の充実化
経済活動が再開される中で、特に勢いを増しているのがマレーシアにおける『コンビニ文化』の導入だ。
その大半を占めるのが、マレーシア国内でも約190店舗を構える日本のコンビニエンスストア企業『ファミリーマート』と、2021年今年の4月よりマレーシアに上陸を果たした韓国の人気コンビニエンスストア企業の『CU』だ。
特に『CU』は、首都クアラルンプールでのオープンを皮切りに、「ジョホール州」での店舗展開にも乗り出し、2021年11月までにマレーシア国内で24店舗の開店に成功しながらも、各地で新店舗開業の準備を進めている。
日本同様に気軽にコンビニに立ち寄れる環境がマレーシアに定着してきているのには、食を通して海外の文化に触れる目的のほかに、長期移住者への配慮も少なからず含まれていると私は実感している。
首都クアラルンプールに対抗するように多国籍に対応した食品の充実さが増した「ジョホール州」は、アフターコロナを見据えたビジネス展開に期待と希望を抱いているように思えるからだ。
気軽な国境往来が戻るその日を信じて
混乱が続くコロナ禍の中で、自由な出入国がままならない現状を踏まえ、日本への本帰国を決める長期移住者や駐在員の知らせが多く聞こえてくるようになった。
生活や学業、そして遠い日本で生活を続ける家族のことを考えての苦渋の決断でもあるが、それと同時にマレーシアに支社を構える日系企業では、駐在する日本人社員の人員不足が問題となっている。今後も、ビジネス目的での入国は引き続き継続されるとはしても、新しい変異株の出現の度に、見直されるビザ取得や出入国のハードルは高くなる一方で、状況次第では従来のような家族全員での移住は難しくなる確率も高い。
そんな中でも2021年の下半期に入った頃から「ジョホール州」では、隣国『シンガポール』との条件付きの国境往来を実現させたりと厳しい環境の中でも、少しずつ前に進もうとしている動きが見受けられるようになった。
世界的にマスクのない生活への道のりは長く険しいものかもしれないが、『移住したい国NO.1』という功績を14年間連続で守り続けてきたマレーシアの強みを維持するために、手探りながらも奮闘し続ける私の第2の故郷・マレーシアの「ジョホール州」の更なる活躍を願っている。
この記事へのコメントはありません。