日本語の敬語が5種類に増えた
現代の若者は敬語が使えないと言われるが、筆者も含め、実は社会に出ている多くの大人も正しい敬語が使えていないとされている。
日本語の敬語は複雑で、なんとなく使っている人が多いのではないだろうか。
日本語や韓国語には体系的な敬語がある。
韓国語の敬語は絶対敬語なので、ある対象に対して使う敬語はシチュエーションが変わっても使う敬語は変わらない。ところが日本語は相対敬語であるため対象は同じでも、シチュエーションによって敬語を使い分ける必要がある。これが外国人学習者を悩ませる理由である。
2007年に文化審議会国語分科会から「敬語の指針」が答申され、3分類から5分類に変わっている。
旧「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」から → 新「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ」「丁寧語」「美化語」に変わったのである。
謙譲語が2つにわかれ、丁寧語が「丁寧語」と「美化語」に分かれた。
謙譲語Ⅰは旧謙譲語の意味とだいたい同じで、自分を低めて相手を高めるもの。
謙譲語Ⅱは自分側の行為やものごとを、相手に対して丁重に述べること、である。
丁寧語は「です、ます、ございます」、美化語は「お」つけ言葉「お酒、お箸、お手洗い」などである。
自然に使っている言葉も実は敬語の一種だと知ると、それを習慣化してくれた日本語教育のありがたみを感じる。
中国語は敬語がない?
複雑な日本語の敬語に比べて、中国語には体系的な敬語がない。
筆者も中国語を学び始めて久しいが、「中国語の敬語は何か?」と聞かれると
「䓟」你(あなた) の丁寧な言い方。
「請」(どうぞ)など動作につけて丁寧さを演出する。
このくらいしか思いつかない。
中国語母語話者でないので究極通じればOKなのだが、円滑なコミュニケーションのための礼儀はどの国の人にもあって然るべきと思うので、今回改めて調べてみた。
実は多くの中国人は「中国語にも敬語がある。中国も礼儀を重んじている」とコメントしている。ところが、いくつか上げられいた敬語は日本のそれとは用法や概念が異なっていた。
日本は動詞を直接変化させて敬語を作る。「御」をつけて名詞まで飾ってしまう。
では中国語はどうだろうか?あるいくつかの語が尊敬や敬意の意味をなすという。つまり礼儀正しい言葉ということだ。
いくつか例を上げてみよう。
「高」高就 : 相手の職業を尋ねる時に使う丁寧語高齢。高齢者を敬って使う場合は、高見 : 相手方の意見 高堂 : 相手方の父母
「貴」貴姓 : 相手の名前を聞くときに使う。
「寶」(日本語では宝に相当する) 寶號 : 相手方の店舗。
「光」光臨 : 客人がやってきた時に使う。歡迎光臨「いらっしゃいませ」という意味。
こうして見ると、相手に敬意を表すのに縁起が良く聞こえの良い漢字を使っていることがわかる。
そして日本語の謙譲語のように自分を低めて謙遜を表し、同時に相手を高め敬意を示す語も存在している。
「愚」愚兄 : 若者が自分自身を指して使う言葉(日本語にも共通している)。 愚見 : 自分の意見。
「小」小人 : 地位の低い人が自分について話す時に使う言葉。小店 : 自分の経営している店を謙遜して使う言葉。
「笑」笑納 : 贈り物を送る時に使う。「ご笑納下さい」と同じ意味。
「恩」恩師 : お世話になった先生に対して使う。
社交辞令
筆者が在住している台湾に関しては、日本統治時代の名残か社交辞令で話す人が中国よりも多い気がする。
客套話というのだが、先日興味深い出来事があった。
よく買い物に行くお店のおばさんの娘が結婚するというので「おめでとうございます」と言うと、筆者が独身なのを気の毒に思ったのか「私は独身がいいと思うけどね~自由だし。あなたが羨ましい」と言ってきたのである。まさに客套話である。
その他、家に招待せれた時も「手ぶらできてね」言われるが、これはあくまで社交辞令である。
とはいえ、敬語も社交辞令もコミュニケーションを円滑にするための言葉である。他人同士が気持ち良く過ごすためにはどこの国でもある程度必須なものと言えるだろう。
漢文だと自分と相手の呼び方で敬意を表すけど、それを知っていれば違和感はないね
当たり前の話だけど、日本語にもそのまま当てはまるものもあるし
現代日本語の敬語の特徴は自分を含めた周辺の人間を「ウチ」と「ソト」に分けて、「ソト」に対して敬意を払うという部分にあるけど、その「ウチ」「ソト」をどこで区切るのか、というのが一番難しいと思う