死亡村とは
まるで、金田一耕助の小説に出てきそうなタイトルである。
殺人事件が次々と起き、アガサクリスティーの小説「そして誰もいなくなった」のように、登場人物が1人もいなくなるような村のようなイメージである。
中国には「死亡村」と名づけられた村がいくつかある。そこでは一体何が起きたのだろうか?
いくつかのエピソードを紹介しよう。
雲南省景東県にその死亡村はあった。街の中心部から60キロほど離れた小さな村である。
1993年から毎年、村人が奇病を発症し始めたのである。
政府は医師の一団を送って調査を開始した。
医師はあらゆる手段を使って解決しようとしたが、診察しながらも8人が亡くなったという。結果、原因が判明しないまま迷宮入り案件となった。
最終的にこれ以上死者を増やさないために、全ての村人を引っ越しさせたという。
四川省の死亡村
四川省にあるこの村には27戸115名の村人がいた。そして1996年から恐ろしい奇病が流行り始めた。
この奇病は突然村人を襲ったという。持病もなく健康だった男女が急に体の不調を訴え始め、命を落とし始めたのである。
初めは眩暈から始まり、脱力感、体全体の倦怠感へと症状が進む。その後、ひどい引きつけを起こし、口から泡と血を吐きながら地面に倒れ、早ければ20分、もって1時間で死亡した。まるで死神が命を奪っていったかのようだったという。
そして亡くなった患者の体を調べてみると、非常に奇妙なことがわかった。
女性の乳房は男性の胸のように収縮し、逆に男性は性器が収縮して女性のそれのようであったという。
「ホルモンに急激な異常をきたす奇病」という調査結果が出たが、正確な原因については未だ解明されていない。
この奇病は、人だけなくニワトリにも感染したという。奇妙なことに泡と血を吐きながら地面に倒れるとすぐに死んだが、地面ではなく木板などに倒れた場合、ニワトリは泡と血を吐きながらも、死ななかったという。
それを発見した村人が同じように対処したところ、ニワトリと同様に命を取り留めたのである。
人の場合は約100日後に再発したが、この対処法は多くの人の命を救う結果になったという。
ウイグル自治区の死亡村
ウイグル自治区のこの村でも、世にも恐ろしい奇病が流行した。
患者の胸や腹に、白と黒の斑点が沢山できるのである。そして四肢にはブロッコリーのような出来物がびっしりできたという。
もし集合体恐怖症の人が見たら、一瞬で気絶してしまいそうな光景である。
そして、その奇病にかかった患者はガンの発症率がとても高かったという。さらに心臓、脳の血管に重大な問題を抱えてしまう傾向もあった。
発症する人には共通点があり、発症した全ての人たちは同じ区域に住んでいた。その1千平方キロ内の区域に住んでいる村人の20万人がこの奇病を発症した。
この奇病は約10年余りの間、村人を煩わせたという。
そして効果的な治療法がなかなか見つからず、多くの村人はこの地を離れた。
この奇病には後日談がある。
調査によると、奇病を発症した人たちが住んでいる区域の「水」に異常があったのである。水質検査をしてみるとフッ素とヒ素が異常な数値を示していたという。
政府は奇病が発生する度に、多くの医師や専門家を投入して調査をしてきた。
はっきりした原因はなかなか見つからなかったが、1つの結論に達したという。
現在の中国では生物病が「化学病」へと変化してきているという。つまり中国の発展に伴って、科学物質や農薬、食品添加物を過度に使用したことにより、環境が破壊され生態の汚染が進んでしまったのである。
これは当然のことながら、人体にも悪影響を及ぼす。
自然環境が汚染されると、数々の見たこともないような奇病が生まれるのである。
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