海外

【50年連続で不自由な国ランクイン】 中国の身分証における監視社会の実態とは

不自由な国

中国の身分証における監視社会の実態とは

画像 : 自由度を現した地図  緑が自由度の高い国、紫が不自由度の高い国 ※Freedom House

1941年に設立されたアメリカの非営利組織である「Freedom House : フリーダムハウス」は、50年にわたってあらゆる国の「自由度」について調査している。(※参考 https://freedomhouse.org/)

調査の対象は195の国家と15の地区で、中国は50年連続で「不自由」な国としてランクインしている。

その主な原因としては、共産党国家のもと少数民族が迫害されていることや、ウイグル族の子供たちが中国語の学校へ強制的に入れられていることなどが挙げられる。
また習近平政権下でのインターネットやメディア規制の厳しさや、近年のコロナ対策も取り上げられている。

街の必要以上の厳しい閉鎖によって、国民の最低限の権利や生活の保障もままならなかった状況も加味されている。 また街の至る所に監視カメラが設置され、それは国民の安全を守るためだけでなく、国民を監視するためにも使用されている。政府はそのシステムに入り込むことが可能で自由に操作できる。 政府に何か不都合なことをした人物はカメラによって監視され、急に失踪したり居場所がわからなくなるのである。

そして中国政府は宗教をも弾圧している。政府が認めない宗教は異教として弾圧されて迫害される。国家を第一にしない宗教は邪悪な宗教とされるのだ。

表向きには人民の自由を謳っているが、公安の宗教担当の私服警官が常に目を光らせているのである。

ちなみに日本は自由判定を受けており、第8位にランクインしている。

国民の生活

中国人はそれぞれ身分証があり、18桁の身分証番号がある。

個人情報がたくさん詰まっており、全てと言っていいほどの中国人が18桁の番号を暗記しているのである。

私たち日本人は最近になってマイナンバーが普及し始めて個人情報が番号化されたが、どれくらいの人がその番号を覚えているだろうか?

中国人が身分証番号を暗記している理由は、身分証番号を使う機会が非常に多いためである。

中国の身分証における監視社会の実態とは

イメージ画像 : 中国人身分証

例えば、バスや電車を使って国内旅行へ行くとしよう。

まずバスに乗って駅まで向かう。バスのチケットを買うときに身分証が必要となる。そして駅に着いて電車に乗る時にも身分証が必要なのである。

その情報はすぐに政府のシステムへ届き、どんな人物がどこへ何時に到着するかも全て監視されているのだ。

政府は探したい人物の居場所を簡単に突き止めることができる。その時間に駅で待ち伏せしておけば良いのだ。

14億人にも上る国民の情報は瞬時に処理され、各駅各空港へ届く。どこへ逃げようとも逃げ場はなく、国民が不自由を感じるのも無理はない。

少数民族の監視

筆者は一度、中国の西の果てに旅行に行ったことがある。貧乏旅行だったため、30時間ほどかけて寝台列車での旅だった。

途中砂漠を通ったり、石油を掘っている場所を通ったりとても興味深い景色が多かった。

中国の身分証における監視社会の実態とは

画像 : 新疆ウイグル自治区の中のウルムチ市の位置 wiki c

ウルムチというウイグル族の街へ旅したのだが、駅での持ち物検査はとても厳しいものだった。二度の荷物検査を経てやっと駅の改札を通ることができるのだ。

検査の際、発火性があるということからマニュキュアが没収された。駅を出る時にも指紋と顔認証の検査システムを通る必要があった。

ウルムチでは外国人に対しての監視もとても厳しいものだった。それは外国人がトラブルに巻き込まれる事件が多発していたからである。

筆者は友人の家に泊まる予定だったのだが、友人曰く「一晩はホテルに泊まり登録を済ませた方がいい」というのである。それはウルムチに訪れた記録を作り、何かあったらすぐに対応してもらうためだという。

監視社会ではあるが、仮に被害者側になった場合でもすぐに対応してもらえるという意味では、プラス面も確かにある。

とはいえ、全ての人が同じというわけではないのである。

ウルムチはとても美しい街で食べ物もとても美味しい所だったが、その場所で毎日、ウイグル族の失踪者が絶えないという話を聞き、心を痛めた。

中国の若者は、自由な台湾を見て羨ましがるという。

このような発言も中国では公には許されないのである。

参考 : Freedom House(https://freedomhouse.org/

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 「中国空母が太平洋で同時展開 」台湾有事を見据えた米軍牽制の戦略…
  2. 中国にとって台湾侵攻が困難な理由とは?気象条件、地形、軍事力不足…
  3. スタンフォード監獄実験【実は仕組まれた実験だった?映画化もされる…
  4. Appleが世界企業に成長した意外な理由とは? スティーブ・ジョ…
  5. 最初に世界遺産に登録されたものは何なのか?
  6. 【サダム・フセインの誤算】 冷戦終結がもたらした湾岸戦争
  7. 「ポケット戦艦」と呼ばれた軍艦について調べてみた
  8. 世界で最も恐ろしい言語とは?

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

戦国時代は討ち取った首で吉凶を占っていた 【恐怖の首実検】

首取りとは戦国時代の合戦では、武士は倒した敵方の首を斬って持ち帰った。この「首取り」は武士の…

『絶滅したはずのライオンが生きていた』幻のバーバリライオン、モロッコ王室が守っていた

再発見された奇跡のライオン2025年4月、ダイアウルフのクローン誕生に関する話題が注目を集めたよ…

西太后に嫌われ、24歳で井戸に投げ込まれた「悲劇の才女・珍妃」

清朝末期の動乱と西太后の専権19世紀末、中国の清朝は列強の圧力にさらされ、かつての強大な国力を失…

「北欧のフェルメール」と称された ヴィルヘルム・ハンマースホイ【ハマスホイとデンマーク展】

ヴィルヘルム・ハンマースホイとはヴィルヘルム・ハンマースホイ(Vilhelm Hamme…

建門院徳子の生涯 について調べてみた【生きながらにして六道を見る】

平清盛の娘、高倉天皇の中宮、そして安徳天皇の母として知られる建礼門院徳子。徳子の生涯について…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP