国際情勢

【テロ組織】イスラム国(IS)が復活する恐れはあるのか?脅威が再び注目

2019年にシリアで壊滅したとされるテロ組織「イスラム国(IS)」だが、その脅威が再び注目されている。

国際社会はISの壊滅を祝ったものの、近年、アフガニスタンやアフリカでの活動再活発化や、オンラインでの過激思想の拡散が確認されており、完全な終息には程遠い状況だ。

今回は、IS復活の可能性とその背景、国際社会の対応について分析する。

ISの現状と活動の再活性化

画像 : ISILの最大版図(灰色)2015年6月時点 Tan Khaerr CC BY-SA 4.0

ISは、2014年から2017年にかけ、シリアとイラクで広大な「カリフ制国家」を築き、世界に恐怖をまき散らした。

しかし、米主導の連合軍やロシア、クルド人勢力の攻勢により、2019年に最後の拠点バグズを失い、指導者アブ・バクル・アル=バグダーディも死亡した。

画像 : イスラム国のバグダディ氏 2004年、米軍に拘束された際のバグダーディー public domain

これにより、ISは組織として壊滅したと見なされた。

だが、2020年以降、ISはアフガニスタンやサハラ以南のアフリカで勢力を拡大。

特にアフガニスタンでは、ISホラサン支部(IS-K)がタリバン政権への攻撃を繰り返し、2021年のカブール空港爆破事件では米兵13人を含む170人以上が死亡した。

アフリカでは、モザンビークやナイジェリアでIS系武装勢力が勢力を拡大し、資源豊富な地域での支配を強めている。

これらの動きは、ISが依然として戦闘能力と資金源を保持していることを示す。

過激思想の拡散とオンラインの脅威

画像 : イスラム国の旗 public domain

ISの復活を後押しする要因の一つが、インターネットを通じた過激思想の拡散だ。

ISはソーシャルメディアや暗号化された通信アプリを活用し、世界中の若者をリクルートしている。

特に、欧米や中東の疎外された若者層に対し、「カリフ制」の理想を掲げたプロパガンダが効果を発揮している。

2024年の国連報告書によれば、IS関連のオンラインコンテンツは依然として活発で、テロ攻撃を扇動する動画やメッセージが増加傾向にある。

さらに、コロナ禍や経済不安が若者の不満を増幅し、過激思想に傾倒するリスクが高まっている。
欧州では、ISに影響を受けた「一匹狼型」のテロ攻撃が散発的に発生。

2023年には、フランスでIS支持者を名乗る人物によるナイフ襲撃事件が起き、市民2人が死亡した。

これらの事件は、ISが物理的な領土を失っても、思想的影響力を維持していることを物語る。

国際社会の対応と課題

ISの復活阻止に向け、国際社会は多角的な対策を講じている。

米国や欧州連合は、ISの資金源である石油密輸や人身売買の摘発を強化。国連安全保障理事会も、IS関連のテロリスト指定を更新し、国際的な金融制裁を継続している。

また、シリアやイラクでは、クルド人勢力や現地政府軍がIS残党の掃討作戦を続け、一定の成果を上げている。

しかし、課題も多い。
まず、地域ごとの不安定さがISの活動を助長している。

画像 : モスクワ郊外コンサート会場銃乱射事件。
事件により屋根が崩壊したクロッカス・シティ・ホール Mosreg.ru CC BY 4.0

2024年3月には、ロシア・モスクワのコンサートホールが襲撃され、死者140人を超える惨事となった。

犯行声明を出したのはISの地域支部「イスラム国ホラサン州(IS-K)」であり、同組織が依然として大規模攻撃能力を持つことを世界に示した。

さらに2025年初頭、国連報告ではアフリカ・サヘル地域におけるIS系組織「大サハラ州(ISGS)」の住民虐殺増加が指摘され、国際社会に深刻な衝撃を与えた。

アフガニスタンではタリバン政権の統治力不足が、IS-Kの拡大を許している。アフリカでは、貧困や腐敗がIS系勢力の浸透を容易にしている。

さらに、国際社会の足並みの乱れも問題だ。
米国とロシア、トルコとクルド人勢力の利害対立が、IS掃討の連携を阻害している。

復活の可能性と今後の展望

ISがかつてのような大規模な「カリフ制」を再建する可能性は、現時点では低いとされる。

国際的な監視網や軍事圧力は依然として強く、資金や兵器の調達も困難だ。
しかし、小規模なテロ攻撃や地域限定の勢力拡大は十分に現実的だ。
特に、過激思想のオンライン拡散が続けば、新たな戦闘員のリクルートが進み、散発的なテロが世界各地で増える恐れがある。

今後、IS復活を防ぐには、軍事作戦だけでなく、貧困や不平等といったテロの温床となる社会問題への対策が不可欠だ。
教育や雇用の機会拡大、宗教指導者との対話を通じた過激思想の抑止も重要である。

国際社会が一丸となり、予防と対応の両輪を強化する必要があるだろう。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

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