海外

なぜオランダには風車がたくさんあるのか?

オランダ風車 イメージ画像

オランダといえば、真っ先に思い浮かぶのは風車とチューリップである。

風車は古来より世界中の国々で使われてきたが、特にオランダに多くあるイメージがあり、実際に現在でも数多く存在するのである。

なぜオランダに風車がたくさんあるのだろうか?

風車の歴史

風車の起源ははっきりとはしていない。

最古のものだと紀元前3600年にエジプトで使われていた記録がある。

現在では発電の動力として使えるが、電気が生まれる以前は灌漑や排水、製粉などにも使われていたようだ。

オランダ国土の4分の1は干拓地だった

オランダは九州と同じくらいの大きさであり、干拓によって国土を広げてきた歴史がある。

干拓とは遠浅の海や干潟、湖沼などの水を抜き取って陸地にすることであり、主には農地を広げるために行われる。

画像 干拓前の状態 wiki c

画像 干拓後の状態 wiki c

オランダ初期の干拓は小規模なものが11世紀ごろから始まり、16世紀頃から本格的な開拓が始まった。排水路や水門を作り、雨水や地下水などを風車の動力で海に排水し、国土を堤防で囲んで海や湖を干拓して国土を広げていったのである。

「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」

という格言まで生まれたほどである。

その結果、干拓地は国土の4分の1となり、干拓地の大半は海面より低いという。

つまりオランダは「常に排水に気をつけていないと土地が水に沈んでしまう危険」があるのである。

その時代の排水動力の主力は「風車」であり、干拓地の水没対策として「風車」が多く生産されたのである。

最盛期はオランダ全土に約9000もの風車があったという。

その後、電力や火力など多くの動力が生まれ風車は廃れていったが、オランダには現在でも主に観光名所として約1000の風車が存在している。

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 中世ヨーロッパの信じられない育児方法 「布で巻き固める、酒で寝か…
  2. 雨の日になぜフィリピンのインターネットが遅くなるのか? その謎に…
  3. 【サダム・フセインの野望】 なぜイラクはクウェートに侵攻したのか…
  4. 【奇跡の鶏マイク】 頭部を失った鶏が、なぜ1年半も生きたのか?
  5. 第一次世界大戦前における各国の立場【WW1シリーズ】
  6. 『インド人女性5億人を救った』アルナーチャラム・ムルガナンダム …
  7. 近年の米中関係を振り返る ー中国にとって厄介だったバイデン政権
  8. 【豪華客船からケーブル敷設船へ】 巨大すぎた蒸気船グレート・イー…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

AT車についての簡単な疑問 「ニュートラルって使う?」

軽自動車の爆発的な増加で、車の所有者もひとり一台が当然のようになっています。大都市圏では公共…

松平春嶽について調べてみた【本人は否定した幕末の四賢候】

本人は否定した幕末の四賢候の一人松平春嶽(まつだいらしゅんがく)は、幕末に越前の福井藩主を務…

【三国志の豪傑】 張飛は目を開けたまま寝ていた? 「肝臓が悪い人に多い」

張飛言わずと知れた三国志の豪傑 張飛人間味のあるその性格と、人間離れした力や戦闘…

【クリスマスに現れる恐怖の悪魔】クランプスとは ~ヨーロッパ各地で復活する恐怖の行事

街がイルミネーションで輝く12月。店頭にはクリスマスツリーや赤い衣装のサンタクロース…

前漢の皇帝が酔って侍女と過ごした「一夜の過ち」が、漢王朝を200年延命させる

一夜の過ちが歴史を変えた前漢の皇帝が、酒に酔った勢いで侍女と過ごした一夜。この出来事が、…

アーカイブ

PAGE TOP