江戸時代

「名刺」は江戸時代の武士も使っていた

「名刺」は江戸時代の武士も使っていた
社会人であればほとんどの人が使っているであろう名刺

名刺と聞くと「スーツを着たサラリーマン同士が名刺交換する」イメージが思い浮かぶが、元々は西洋文化のような印象も受ける。

しかし実は江戸時代にはすでに使われていたのである。

名刺の起源

ヨーロッパでの名刺の起源は16世紀のドイツである。訪問先が不在だった時に訪問を知らせるために置いたことが始まりとされている。

最古の起源は紀元前3世紀頃の中国で、「」「」と呼ばれた細長い竹木の板に名前と来訪要件を書き、目上の人などへの取り次ぎを依頼するため使用人に渡していたという記述が「史記」に記されている。

「名刺」は江戸時代の武士も使っていた

画像 : 朱然の墓 wiki c 猫猫的日记本

現存する最古の名刺は、三国時代の呉の武将・朱然の名刺で、1984年に発見された墓の副葬品の中にあったという。

日本人の最古の名刺

日本で確認されている最も古い名刺は、江戸時代に松岡藩士がロシア帝国の通商交渉人に渡したもので、ロシア国立古文書館に現存している。

名刺は江戸時代に使われ始め、幕府の役人などが自身の名前を記した和紙を取次役に渡したり、不在時に置いて帰ったりしていたという。

当時の武士も現代のサラリーマンのように名刺を持ち歩いていたのである。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 真里谷円四郎 「千勝無敗のへらへらした最強剣豪」
  2. 水戸黄門は辻斬りをしていた!? 「不良少年だった水戸光圀の恐ろし…
  3. 江戸時代に3D作品を作った奇人〜 司馬江漢の生涯 「生きながら自…
  4. 葉隠(はがくれ)【戦前は軍国主義のそしりを受けるも忠義を説いた書…
  5. 平賀源内 〜エレキテルで知られるも実は文学者でもあった才人
  6. 【千社札を広めた男】 江戸時代の奇人・天愚孔平とは 「大ボラ吹き…
  7. 【江戸はグルメ激戦地だった】 子供から大人まで魅了した江戸の料理…
  8. 「吉原が燃えても誰も消さなかった」火消しが動かなかった衝撃の理由…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

ジャパンカップの歴史を調べてみた【驚異の世界レコードタイム アーモンドアイ】

ジャパンカップ(3歳以上オープン 国際・指定 定量 2400m芝・左)は、日本中央競馬会(J…

豊臣五奉行のメンバーとその素顔 「石田 浅野 前田 増田 長束」

豊臣秀吉が死の直前に制度化した五大老と五奉行。大大名の五大老と違い、五奉行の面々は、秀吉子飼…

【光る君へ】 紫式部が生きた平安時代はどんな時代だったのか? 「女性の地位が低下」

紫式部とは紫式部は生没年不詳、本名不詳の平安時代の作家であり、百人一首の57番にも選ばれ…

武田勝頼は愚将ではなかった? 信長・家康・謙信からの評価とは

天正10年(1582年)3月11日、甲斐天目山にて武田勝頼主従が自刃。ここに戦国大名としての武田家は…

【交尾のしすぎでオスだけ集団死】 絶滅危惧種の小型カンガルー

一生に一度しか訪れない繁殖期に、メスとの交尾に3週間明け暮れた末、オスたちが一斉に死を遂げてしまうと…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP