漢方
筆者が住む台湾では、漢方を扱う中医が人気である。
街の至る所に漢方を扱う薬局があり、店先には数多くの漢方の材料が並べられている。
カウンターの後ろには大きな古びた棚があり、棚の引き出しには高麗人参や様々な木の実、薬草などの漢方の材料が入っている。
薬局の前を通ると漢方の独特な匂いが漂ってくる。かなり強烈な匂いだ。
中医からの処方箋を持って薬局で漢方を処方してもらうケースがほとんどだが、免許を持つ薬局では患者の脈を見てそのまま漢方を処方することもある。
筆者は2022年10月に、台湾でコロナに感染した。
その際にもコロナに効くという漢方を飲んだのだが、これがまたとてつもなく不味かった。漢方の苦さ+薄荷の香りがきつく、しかも一袋の量が多すぎるのである。コロナの苦しみよりも、漢方を飲む苦しみの方が勝っていた気がする。
漢方のおかげか意外と回復は早かったのだが、その後、無理をして溜まった仕事をこなしたせいもあって後遺症にかなり苦しんだ。毎晩喘息のような症状に悩まされた。
日本で「肺清」という漢方を飲んでみたのだが、なかなか効果がなかった。
台湾に戻って中医に診てもらったところ、気管が狭くなっていることが原因だと脈を見て言われた。「体を冷やすものは一切食べてはいけない」と言われ、冷蔵庫から取り出したものは必ず一旦火を通して食べるといった生活が、二ヶ月程度続いた。
その時、中医から出された漢方は身体を温めるもので、かなり強烈な生姜の匂いがした。全体的に赤っぽく、サラッとした赤土の様な感じだった。しばらくはその漢方のせいで食欲もあまり出なかった。
日本人に比べると、台湾人は小さい時から漢方を飲み慣れている。とても上手に漢方を飲むのである。
台湾人にコツを効くと
「喉に入ってしまうと咳き込んでしまうため、舌の真ん中ぐらいの位置にのせて水の膜で丸く包むようなイメージで飲めば、苦みを感じる前に飲み込むことができる」
と教えてくれた。
しかし「水の膜」とは一体どういう意味なのか、なかなかイメージがつかめなかった。
漢方の苦みを軽減する飲み方
当時、毎日漢方に苦しめられていた筆者は、なんとか上手に漢方が飲めないかと現地で模索した。
今回は、その方法の幾つかを紹介しよう。
●舌が苦みを感じないうちに飲み込む
口の中に入れたら、一刻も早く飲み込むという方法である。
これは前述した「水の膜」というイメージが分かる人には適しているだろう。
●漢方と一緒に甘いものを摂取する
漢方の原料は全て自然物なので、一緒に摂取して良いのは自然の物だけだ。
「はちみつ、黒糖、棗」など自然由来の甘味料は漢方と一緒に飲んで良い。だが、その量は微量にすべきであり、漢方の量を超えてはならない。
服用後のお口直しで食べると良いかもしれない。
筆者はあろうことか漢方服用後、チョコレートを食べていた。
●漢方服用後、ぬるま湯を飲む
漢方服用後「ぬるま湯」を飲むことで、口の中の苦みを軽減することができ、しかも漢方の効き目も良くなるという。
単純だが、これが一番お手軽で効果がありそうだ。
「良薬は口に苦し」という。漢方は自然由来のため効き目は緩やかだが、体に負担をかけない。人が元々持っている治癒力を高め、緩やかに治療できる最も体に適した治療なのだ。
台湾人が漢方を好むのも、そういった理由がある。
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