海外

「16歳で生贄に」 古代チベットの恐ろしい儀式と双子姉妹の悲劇 「太鼓にされた姉」

世にも恐ろしい儀式

歴史が証明するように、人間は時に「宗教」や「信仰」によって、狂気じみた行動を取ることがある。

信仰の名の下に、おぞましい行為が「聖なる儀式」として行われることさえあるのだ。
何に信仰を持つか、どんな宗教を信じるのかは、非常に重要な問題である。

今回は、かつてチベットで行われていた恐ろしい「聖なる儀式」について紹介したい。

阿姐鼓

阿姐鼓」とは、直訳すると「お姉ちゃんの太鼓」を意味する。
単純に考えると、お姉ちゃんの所有する太鼓のように思えるが、実際にはそうではない。

この「阿姐鼓」には驚くべき逸話があるのだ。

「太鼓にされた姉」

チベットの姉妹 イメージ画像

チベット高原のある貧しい家庭に双子の女の赤ちゃんが生まれた。姉は生まれつき聾者(ろうしゃ ※聴覚障害者の一区分)だった。

姉妹が16歳に育ったある日、姉が僧侶たちに連れ去られた。姉妹はその後、再び会うことはなかった。
妹は毎日母に「姉はどこへ行ったの?」と尋ね続けたが、母は答えなかった。

しかし、妹はその後も諦めずに姉を探し続けていた。

ある時、高い山の上で姉の歌声が聞こえた気がした。妹はその声の方へ歩き始めたが、いくら歩いても姉の姿は見つからなかった。

途中で出会った老人に尋ねたところ、老人はこう答えた。

彼女は儀式で使われる太鼓を作るために殺された

妹が聞いたのは、なんと姉の皮で作られた太鼓の音だった。その音色が悲しい歌声のように妹に届いたのだ。

恐ろしい「聖なる太鼓」の制作過程

「太鼓にされた姉」

画像 : 阿姐鼓 イメージ public domain

この話は作り話ではない。

チベットでは、人体から楽器や杖など様々な法器が作られていた。「人皮鼓」もその一つであり、密教の本尊であるヘールカの法器と考えられていた。打ち鳴らすことが目的ではなく、その存在自体が重要だったとされている。

選ばれる者は神聖な少女でなければならず、主に聾者が選ばれた。

もし聾者でなければ耳を貫かれ、聾者にさせられた。さらに残酷なことに彼女たちは舌を切られた。これは耳も口も使えないようにすることで、悪いことを聞くこともなく、悪い言葉を吐くこともできないようにするためであった。

彼女たちは極めて聖なる存在でなければならなかったのだ。

選ばれた少女たちは皮膚を美しく保つため、背中には毎日特殊な薬が塗られ、16歳になると体に水銀を流し込まれた。
全身が水銀に浸った後、意識が残る中で皮を剥がされる。意識のある中で剥がされることで、「生と死」の感覚を味わわせるというのだ。

最後の瞬間まで、彼女たちは敬虔な態度を保つことが求められた。

人皮鼓

画像 : イメージ public domain

そしてその皮で太鼓が作られた。

選ばれた少女たちは神聖な「巫女」として扱われたが、自分の宿命を知っても悲しむことも苦しむ様子を見せることも許されなかった。
そして両親は悲しむどころか、これを「光栄」と考え、一家にとっての祝福とみなしていたのだ。

現代人の感覚からするとあまりに理解しがたい伝統であるが、この聖なる儀式は、少なくとも1000年にわたって続けられてきたと考えられている。

1950年、中国人民解放軍がチベットに進駐し、現在ではこれらの法器は「当時のチベットの階級制度が生んだ残酷な遺物」と位置づけられている。

そのため、中国政府の支配に抵抗するチベット人にはこの法器の存在自体を否定する空気があり、現代においては作成の目的や利用の実態についての詳しい情報を引き出すことは困難となっている。

最後に

1995年、この双子の姉妹の逸話「阿姐鼓」を元にして作られた音楽アルバムが、ワーナー・ブラザース・レコードからリリースされた。

中国語アルバムとして初めて全世界で発売され、60カ国以上で200万枚以上のセールスを記録した。

このアルバムは、チベット文化に基づいて制作され、チベット族の風土民情を中国語で表現している。

歌手の朱哲琴の美しい歌声は、多くの人々の心を打ち、世界中で称賛されている。

参考 :
Tibetan Buddhists use human remains to create ritual artifacts – BEYONDbones
活剥皮灌水銀割掉舌耳,16岁少女做成的 | 知平

 

  • Xをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

    • 名無しさん
    • 2024年 10月 27日 1:56am

    世界史は面白い。学校では学ぶことのなかった歴史を読み深めることが出来る。
    しかしながら昔の話とは言え、凄く残酷で悲しい話だなと思った。
    私は現代に生まれることが出来、生きづらさを抱えながら生活をしている人々があまりにも多い今の世の中ではあるが、断然幸せで安全な生活を送ることが出来ているのかもしれないなと思った。
    むしろ、今現代を生きている人々は、恵まれ過ぎていることに慣れっ子で、そのことに気付いていない人が多いのかもしれないなとも思った。

    0 1
    0%
    100%
    • 名無しさん
    • 2025年 4月 06日 6:00pm

    中国政府のプロパガンダに利用されてますね
    ウソも百回言えばホントになる。

    1 0
    100%
    0%
      • 名無しさん
      • 2025年 4月 13日 10:26am

      0 1
      0%
      100%
      • 名無し
      • 2025年 12月 17日 3:56am

      作詞家の方もチベット仏教に詳しくなく、想像で書いたらしい。

      1 0
      100%
      0%
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. いろいろ食べるぞ!台湾の原住民 【飛魚の目を生で食べるタオ族】
  2. ポル・ポト失脚後も続いたカンボジアの悲劇 「毛沢東とスターリンの…
  3. 【売春婦からファーストレディへ】 アルゼンチン大統領夫人・エビー…
  4. オーストラリアの真夏のクリスマスはどう過ごしているのか? 「クリ…
  5. 日本人が間違いやすいネイティブ英語②【食べ物・野菜編】
  6. 『G7広島サミット』を振り返る ~ゼレンスキー大統領の広島訪問、…
  7. 軽いジョークがキッカケで生まれたソジェー共和国。その歴代大統領を…
  8. 【世界人口削減?】ジョージア・ガイドストーンの謎 「10のメッセ…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

征夷大将軍・坂上田村麻呂の子孫を調べてみた 「世界に羽ばたく商人も輩出」

中学・高校の歴史の教科書では、平安時代初めの章に坂上田村麻呂(さかのうえの たむらまろ)の行った蝦夷…

秀吉の「一夜城」は、どうやって建てられたのか? 「そもそも本当に存在したのか」

豊臣秀吉の若い頃のエピソードには、かなりユニークかつ凄まじいものが含まれている。その中で…

実は死刑よりも残酷だった「島流しの刑」 〜流人たちの過酷すぎる生活

日本史上でよく知られる「島流しの刑」。この刑罰は、現代でいえば終身刑や無期懲役に近い部分もあ…

日本のリニアモーターカーはなぜ開通に時間がかかるのか?

2027年の開業を目標として開発が進むリニアモーターカーですが、近年では中国などでも一足先に「リニア…

姫路城について調べてみた【白さの秘密に迫る】

2015年、約5年半もの期間を費やした「平成の大改修」が終わり、築城当時の白鷺(しらさぎ)の…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP